40、訪問者
模擬戦から三週間がたったある日のホームルーム、
「いよいよ三日後に一学年で行われる演習の授業が行われる。皆さんは四人一組のチームは出来ていますか? もし出来ていないならあと二日で仲間を集めておいてくださいね! 集まらなかったら先生が勝手に忌めちゃいますからね」
と言うことでホームルームは終了となった。
二週間前のドレイクの模擬戦以来俺は注目の的になった。
三日後に行われる演習授業、ここで組チームメンバーへと俺を誘ってくる生徒も多く少し困っていた。
既に組むチームは決まっている。
レーナとリーラの二人と組むことになっている。
ただ、それでも俺入れて三人で後一人足りない状況。
中途半端な奴は組みたくないし、どうしたものかと考えていると、一人の男子生徒が俺の元へとやって来た。
またいつもの勧誘かと思ったら、
「君が一年生最強のサージ=ルード君だね」
「君は、誰かな。それと僕が最強とか言っていたけど、本の色を見て言っているのかい」
「そうだね。それが本来の君の本の色ならね」
こいつは一体何者だ。
同じクラスではないようだ。
俺の本の色にも気づいているような感じがする。
「それはどういう意味だい」
「君がその質問をするのかい? ここで全てを話しても俺はかまわないけど、君が困るのではないかな?」
「っち! 場所を変えようか」
「そうだね。そこの二人も一緒でいいよね」
「ああいいさ」
俺とレーナ、リーラ三人は男の言われるまま場所を移すことに。
その道中、
「サージ様、彼は一体何者なのですか!?」
「俺が知るわけないだろ。急に声を掛けられたんだから」
「私の鍛錬」
「話が終わったやるから少し我慢してくれ」
男のことに疑問を示すレーナと、鍛錬の時間が無くなることを悲しむリーラ。
そんな二人との会話を横目で見てくる男。
「なんだよ」
「別に、なんだかいい光景だと思っただけっさ」
男は口角を上げて少しニヤニヤしている。
そしてやって来たのはいつもの場所。
「なんでここに」
「別にいいじゃない」
男は学院長室に入って行く。
「やっと来たか」
中に入ると同時にハクアの声が聞こえてくる。
ハクアはこの男の正体を知っているのか?
「学院長、失礼致します」
「別にそんなかしこまらなくていいんじゃないかな」
こいつは何を言っているんだ!
「君は何を言っているのかな? ここは学院長室だよ。流石に挨拶もなしに入るわけにはいかないだろう?」
「そうか。君なら問題ないと思うけどね」
「一体君は僕の何を知っていると言うのかな?」
「そうだね。ここでなら話しても問題かな、サージ=ルードいやサージ=ゲイル君」
「どうしての俺の昔の前を知っているんだ!」
「それにその白い本だけど、幻影魔法で変えているだけで虹色の本だよね」
本当にこいつは何者なんだ!
俺の転生前の名前に、本の色にすら気付いている。
しかも幻影魔法を使っている事にすら気付いている。
「流石にアルフレッド家の次男との戦いの時に最後に使った魔法、あれは流石にやりすぎだよ。君なら、中級魔法でもあれを防げただろうに」
ニョルニルにも気づいている。
確かにニョルニルは強力な魔法ではあるが、知る者はそこまで多くない。
理由としては使い手が少なすぎる事にある。
神級魔法自体使い手は少ないがその中でもニョルニルの使い手極端に少ない。
そして、魔法の種類が書かれた本などにも載っていないことで知る人が殆どいないのである。
だが、この男はそのことを知っている。
「お前は一体何者なんだ」
「後ろの二人は名前くらいなら聞いたことないかな? フェンラー家の無能の話を」
その言葉にハッとした顔をしている。
「グリュー=フェンラー様ですか」
「そうだよ」
フェンラー家と言うことは、勇者パーティーにいた守護神、グリーン=フェンラーの子孫ということになる。
グリューは俺の正体に気づいているだ。
「だが、そんな君がなぜ俺の正体を知っているんだ。ハクアにレーナ、リーラにしか話していないはずだが」
「それはまずこの本を見てもらえるかな」
グリューは自分の本を見せてくれる。
本の色は灰色、真ん中には盾の紋章が刻まれているがそれ以外の色もなければ、紋章も一つだけ。
そのことに対して驚いているのは俺だけでレーナもリーラも納得した顔をしている。
「噂には聞いておりましたが、本当にそうだったのですね」
「貴族界隈では有名、だけど信じてなかった」
「そうだよね。僕も小さい頃はこのことで苦労したよ」
「君がフェンラー家の無能と呼ばれる理由について分かった。だが、それと君が俺のことを知っている理由にどうつながるのかな」
別にフェンラー家の者だからと言って俺の正体を知っている理由にはならない。
それに、その本俺には少し引っかかるところがある。
「そうだね。サージ君の言う通り君の正体を知る理由にはならない。だけどこういったらどうかな、僕は前世の記憶を持っていると言ったらどうだい」
「そんなの嘘よ!」
「本当だよ。まあこれは偶然だったけどね」
それからグリューは昔のことについて話し始めた。
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