42、過去の話
「俺達の犯した罪は、お前を裏切ったことだ」
「俺を裏切ったって、あの日の事を言っているのか?」
「なんのことですか?」
「分からない」
レーナとリーラは俺とグリューが何の話をしているかよくわかっていない様子。
そんな二人とは逆にどうしたものかといった顔をしているハクア。
「グリュー様、ここでその話は!」
「いいんだよハクア。二人には聞く権利がある。それに、あの日の事は俺も後悔しているんだ」
「なんでお前が後悔しているんだ。謝るのは俺達の方だ!」
「勇者パーティーの中で一体何があったのですか!?」
「あれは魔人王を封印したことを国を挙げて祝福してくれた日の夜の事だった」
そしてグリューはあの日の事について話し出した。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
あの日、俺達勇者パーティーは国王様から祝福と報酬を貰った。
公爵の地位に、多額のお金。
そのことを素直に喜べた者は誰一人としていなかったんだ。
そのことを賢者であるサージは知らなかった。
国を挙げて行われた祭りが終わった日の夜、
「このパーティーは本当に最強だな。これからもずっとこの四人で冒険をしていたいな」
サージは少しお酒も入っていたが、心から出た言葉と俺達三人は思っていたと思う。
だが、俺達はその気持ちに答えることは出来なかった。
だから、勇者であるグレイスは、
「俺達はこれで解散だ」
とサージに言った。
だが、サージは食い下がった、
「何を言っているんだ。これからもこのメンバーで様々依頼をこなしていくんじゃなかったのか!」
その言葉に俺も聖女も下を向いて俯いているしかできなかった。
そんな俺達に変わってグレイスは、
「俺もあの時はそう考えていたが、俺達ももう年だろう。そろそろ、今後のことについても考えて行かないとダメだと思ったんだ。ミーナと、グリーンには今回の功績を称えて国から貴族の地位を与えると話が来ている。俺にもだ。それはお前もそうじゃないのか」
それでサージは一緒に冒険したいと言ってきたが、
「悪いな。俺には結婚の話が来ているんだ」
「私もなのよ。それに、私はこの街に教会を作るって夢があるの。今回国王から貰ったお金があればその夢を叶えることが出来るのよ」
俺の結婚の話は確かにあったが、サージからの誘いを断る理由にはならなかった。
聖女の夢も別にすぐに叶えたいと言う物ではなかった。
それでも俺達にはサージと一緒に入れない理由があった。
それは、魔人王との戦いの終盤、俺達三人はやられてしまい立ち上がれない状態だった。
このままでは負けてしまう。
最後に残ったのはサージ一人。
俺達全員が逃げて欲しいと願っていた。
だが、そんな俺達の思いは届くことはなかった。
けど、サージはたった一人で魔人王を封印した。
俺達の力なんて必要ないと思えるくらいに圧倒的な力で魔人王と戦って弱らせた。
その姿を俺達三人は薄れゆく意識の中で見ていた。
このまま俺達が一緒にいてはダメだと三人で話し合ってパーティーを解散することにしたんだ。
だがその翌日、サージ一人朝早くに宿から消えていたことにはびっくりしたがまた会えると信じていた。
でも、十年が経ったある日、俺達三人の元へサージである賢者様が死んだという知らせが届いた。
だがその知らせを信じる者はいなかった。
だが時間が経ってもそれ以外の知らせは届かんし、人を放っても何の情報も手に入らない。
そのことで俺達は自分達の判断を間違ったことを思い知ったがもう遅かった。
だから俺達三人は家訓を作ると同時に、家同士で関りを持たないようにした。
サージへの罪滅ぼしのつもりでな。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ここでグリューの話が終わった。
「そ、そうだったのか。だがあの日の事を後悔していたの俺も同じだ」
「サージ、お前が何を後悔すると言うんだ!」
「俺は皆の幸せを心から祝ってやれなかった。自分勝手なことをしたと思っるよ。もしあの日、勇者の話を受け入れられていたら、あのまま皆と幸せな暮らしを送れていたんじゃないかって思うんだよ」
「そんなことはない。それに、あの国王を俺達三人は許せなんだ」
そのことについては思い当たる節がある。
この世界の歴史書や勇者パーティーの事を書いた物語などに俺の名前は一切出てこない。
そんなことが出来るのは国王くらいだろう。
「俺があの日、国王から貰った貴族の地位も金を全て返却したことに腹を立てたんだろうな」
「そうだ。俺達三人がそのことを知ったのはお前が俺達の前から消えてから数年が経った頃だったよ。俺達勇者パーティーの話を本にした物が国中で発売されたんだ。俺達の手元に本はすぐに届いたんだが、その内容にはお前の名前が書かれておらず、賢者とのみ記載されていた」
「何なのよそれ! 世界を救った勇者パーティーの一人の名前を隠蔽するなんて許せない!」
話を聞いてレーナが怒るのも分かるが、あの時ことを考えるとこう言うことをしてきてもおかしくないとは思う。
「そのことについて国王に話を聞きに行ったら、お前が貴族位など全て返却しに来たと言っていたんだよ」
「国王は俺の素性を全部調べていたんだよ」
「あの事もか」
「ああ、それで国王からは、『そんなお前にも貴族の地位、しかも最高位の公爵を与えてやるんだ感謝しろ』とか言ってきたよ。まあ無視して全てを置いて城を出たけどね」
あの時の俺の態度は国王に対して少し失礼だったかもと思うが、後悔はしていない。
「サージ様の素性ってなんのことですか?」
「私も知りたいですよ師匠!」
二人が詰め寄ってくるがまだその話をする気はない。
「また今度話すよ」
「やっぱり転生してきても無理なのか?」
「ああ、どうしてもあの頃の事は話したくないんだよ」
「そうだよな」
グリューも理解してくれている。
「それよりも練習の時間」
そんな俺の事に興味ないと言いたげなリーラが回復魔法の練習をしたいとせかしてくる。
「分かったよ。そういえばグリュー、三日後の演習は一緒のチームにならないか」
「いいのか!?」
「ああ、いいに決まっているだろう。俺とお前は親友じゃないか」
「お、おお」
これで俺達のチームメンバーが揃ったのだった。
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