34、聖女様
俺が初めて聖女であるミーナ=シュクベルと出会ったのは今と同じ十一歳の時だった。
小さな町で冒険者として生活をしていたミーナにはある悩みがあった。
それは、回復魔法使いなのに人を癒すことが出来なということ。
その時俺がミーナに掛けた言葉今でもよく覚えている。
「人を癒せなくてもいいじゃないか」
その言葉に対してミーナは、
「あんたバカなの!」
と言われたのだ。
あまり人と関わってこなかった俺は初めてバカなんて言われた。
それから話を聞いてくうちに、ミーナは自分自身は癒せると言う。
そして、その回復魔法を治癒でなく戦闘に応用していた。
回復魔法と言うのは簡単に言うと、人の体内にある回復する力を活性化させることで治癒を早める魔法のことをそう呼ぶ。
上位の魔法になればなるほど、その速度は上がっていくのだ。
ただたまに、人の回復力を活性化させるイメージが出来ないと言う者がいる。
ミーナもその一人だろうが、その代わりにミーナが身につけたのは回復力を活性化させるのではなく、体の細胞を活性化させることで一時的に力を上げる事で戦闘能力を向上させると言う物だ。
回復魔法の中でもしっかりと魔法として存在しているが、使う者などいない。
単純に危険だからだ。
自身の身体能力を向上させると言っても強化魔法のように歯止めが聞くわけではない。
一歩間違えれば限界を超える力を出して、体が壊れしまうこともある。
そんな危険事をミーナはしていた。
ただ、
「別にそんなに難しくないよ。自分の限界なんて簡単に分かるでしょ」
笑顔でそんなことを言ってきたのだ。
その言葉に俺はかなり驚いていた。
しかも十一歳の少女がどうやったらそんなことが出来るのようになるのだと不思議に思ったほどだ。
この頃の俺は色々な街や村を旅して回っていた。
その中でいろいろな回復魔法を使いにもあって来たけどミーナみたいな奴は初めてだった。
暫くの間彼女と一緒に活動をしていた。
その間に俺はミーナに教えられることは教えてはいたが改善させることはなかった。
町で目ぼしい依頼がなくなった俺はミーナに別れを告げて別の町へと旅立ったのだ。
それか十年ほどが経ち、俺は勇者パーティーへと選ばれた。
その際に、勇者であるグレイス=アルベノクから回復魔法を使えるいい奴はいないかと聞かれて時にミーナのことを思い出して会いに行ったのだ。
久々に会ったミーナはかなり成長していて、その上あの時苦手だと言っていた人に回復魔法を掛けることが出来るようになっていた。
俺はそのことに驚いたが、ミーナは「あなたのおかげです」とそれだけ言った。
俺は大したことはしていないつもりだったが、ミーナにとっては大きなことだったのかもしれない。
グレイスがミーナのことを気にいってパーティーへと誘うことになった。
ただ、ミーナが勇者パーティーに所属している間、前衛に出て戦闘をすることは決してなかった。
その理由を俺は知らない。
ミーナは誰に昔のことを語ろうとしなかったし、別に聞くほどの事もないかと思ったからだ。
ただこの頃のミーナは聖女様とは呼ばれてなかった。
またそれから数年が経ち、守護神、グリーン=フェンラーが勇者パーティーに加入して四人となった日、大きな街が魔人王の軍に襲われる事件が起きた。
俺達は国からの要請がありその事件の起こった街へと向かった。
一言で言えば悲惨であった。
ケガ人多数、死者もかなり出ていた。
俺達が到着して半日で魔人王の軍は全滅させたが、街は絶望的な状況。
誰もが終わりだと思っていた。
ただ一人を除いてわ。
「私が何とかします」
ミーナは皆が絶望に打ちひしがれるなかで、一人だけ落ち込まず前を向いていた。
俺達勇者パーティー三人も諦めていたがミーナは本に魔力を流していた。
大量の魔力。
ミーナは俺の魔力の三倍以上の魔力を持っていた。
あの時代で考えると、世界で唯一俺の魔力量超えていた人物ではないかと思う。
そんなミーナが自身の三分の以上の魔力を消費して発動させた魔法は、街にいたケガ人全員を一瞬で癒した。
そのことに街の人達は感動し、感謝して聖女様と呼ばれるようになった。
そして、その聖女という名は瞬く間に世界中に広がり聖女様と呼ばれるようになったのだ。
リーラが回復魔法を他人に掛けることが出来ないのはミーナと同じじゃないかと思っていたときにこんな昔のことを思い出してしまったのだ。
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