33、少女の正体
俺が少女の元へと行くと、
「サージ様、モンスターは?」
「倒してきたよ。だからもう大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。」
少女の美しい青い瞳には涙が浮かんでいた。
ただ、視線は入れん俺の目でなく、本に向いていた。
「その本の色は……」
俺はその一言を聞いて自分の本を見ると、色は虹色のまんまだった。
今日は元々レーナと二人での依頼の予定だったため森に入ってから幻影魔法を解いていた。
そのことを忘れて少女を助けに入ったため、今は元々の本の色の状態なのである。
「に、虹色の本。それに、さっき私のことをっミーナと呼んだあなたは一体何者なんですか?」
正直どういったものかと少し考えていた。
少女のことをミーナと呼んでしまったのは俺の不覚だった。
懐かしく思いつい呼んでしまったのだ。
「それは、何と言うかですね」
「私の中で一人、その本の色の持ち主に覚えがあります」
完全にバレた。
俺の中で確信した。
「五百年前、魔人王を封印した勇者パーティーに所属していた賢者様ぐらいです。あなたは、賢者様本人ではないでしょうが、それと何らかの関係のある人、もしくは転生者とかですか!?」
「な、何を言っているの!? け、賢者様がいた時代からご、五百年も経っているのよ! そ、そんなことあるはずないでしょ!」
レーナは何とかフォローしようとしてくれているが、動揺しすぎてフォローになっていない。
それどころか、少女は何かを確信したような顔をしている。
「魔法の天才と呼ばれた賢者様なら転生魔法くらい簡単に作り出せるでしょう。それに、勇者パーティー解散後の彼の消息を知るのは学院長様のみで、そのことを誰にも話していない。つまり賢者様がこの時代に転生してきていても何の不思議もないですよね」
少女の言葉にレーナは何も言えなくなっている。
そして俺も彼女の確信めいた言葉に何も言えない。
この少女に言い訳しても無駄だと思い、
「どうなんですか」
「君の考えは間違ってないよ」
レーナが、頬を膨らましながら俺を睨んでいる。
まあ今から俺が何を言おうとしているか分かるよな。
「ぼ、俺は五百年前、勇者達と冒険していた賢者のサージ=ゲール、今はサージ=ルート、ルート男爵家の三男で、君と同じ勇者学院に通っている一年生だよ」
「やはりそうでしたか。そして、私と同じ年ですか。では入学試験でSランク間近と言われている冒険者のレリックを倒した新入生とはあなたで間違いないですか」
「そうだね。それも俺だよ」
「これで全てのことに納得しました。それと、赤髪のあなたは、アルベノク公爵家の三女で、私と同じ勇者パーティーに所属していた先祖を持つレーナ=アルベノクさんですよね」
その言葉にレーナは驚いた。
そんなレーナとは逆に俺は納得した。
「やはりか」
「どういうことですかサージ様!?」
「賢者様、どうしてあなたは私が聖女、ミーナ=シュクベルだと思われたのですか?」
「ミーナ=シュクベルってあの伝説の聖女の!?」
「そうだよレーナ。俺が君をミーナだと思ったのは、君が彼女と瓜二つだったからだよ」
「わ、私がですか!?」
俺の言葉に少女は驚いている。
「君の持つ海のような美しい青い髪、それにその瞳の色、顔だって彼女にそっくりさ。もし違うところを上げるなら性格くらいかな」
「性格ですか」
「ああ、聖女はとにかくお転婆だったよ。元気で後先考えない行動力とかは凄かった。もし彼女なら勝てないと分かっていてもタイガーウルフに挑んでいただろうね」
「そうですか」
「確かに、聖女様とこの子は性格が違うようですね」
「この子って呼び方やめてっ下さい。私にはリーラ=シュクベルと言う名前があります」
「分かったよリーラさん。俺のことはサージと呼んでくれ」
「私はレーラでいいですよ」
「分かった。賢者様、レーラ」
何も分かってくれてないじゃないか。
「リーラさん、その~」
「大丈夫、他の人達の前ではサージ様と呼ぶ」
左様ですか。
レーナと同じで様は付けるのね。
「どうしてリーラはこんなところにいたの? ここには今モンスターが出没するってことで冒険者に依頼が出ているんだよ」
「その依頼を受けた冒険者は私で、さっきダイアウルフを五匹倒しました」
「え! 本当に!?」
「はい、その証拠に」
リーラは腰につけている袋から魔晶石とダイアウルフのドロップ品である牙を取り出す。
確かに五匹分ある。
「本当だ、凄ーい! でも確か、シュクベル家の三女って私と同じで出来損ないとか呼ばれてませんでしたか?」
「それは少し違う。家では邪魔者扱いされているだけ」
レーナとは少し違うようだが、何かわけがありそうだな。
リーラの持っている魔力はかなりの物だ。
そんなリーラを邪魔者扱いなど普通はあり得ない。
それに、リーラは、自分の力で学院の入学試験に受かっているしな。
「それは、私がケガ人に対して回復魔法を使えないことが原因です」
その一言で俺は全てを理解した俺は、昔のことを思い出した。
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