35、少女の悩み
「サージ様! サージ様、どうされたのですか」
俺は昔のことを思い出してぼ~としていたようで、そのことで俺に何かあったのではないかとレーナが思い俺のことを呼んでくれていたようだ。
リーラも少し不安そうな顔でこちらを見ていた。
「昔のことを思い出していただけだよ」
「昔の事ですか?」
「そうだ。リーラの話を聞いていて、聖女のことを思い出してな」
「ご先祖様の事ですか? でもあのお方は回復魔法の天才。私の悩みとは程遠い人ですよ」
「そうだと思うか」
「はい! だって、聖女様と呼ばれるほどに人を癒し、勇者パーティーのメンバーとして魔人王の封印にも参加して、貴族位いただけるほどの功績を残した人です。そして、王都に教会をつく人々を癒していた人が私のような者と同じ悩みなど持っているはずがない」
この世界に今ある聖女の話は全て回復魔法を使って人々を癒してきた話ばかり。
冒険者としてソロで戦っていたことなど一切残っていない。
たぶん、リーラの家にもそのような書物は残ってないのだろう。
「確かにみんなが知っている聖女の話しか知らないならしょうがないだろうな。でも本当の聖女は回復魔法を人に掛けるのが苦手だったんだよ。今のリーラのようにな」
「嘘です! そんな話一度も聞いたことがありません」
「そうですよサージ様、いくらリーラさんを元気づけるためだとは言え、そんな嘘ついたらダメですよ!」
予想した通り信じてくれてないようだな。
まあ、多くの人を回復魔法で癒して有名になったからこそ聖女と呼ばれるようになって、名が残っているんだよな。
そんな聖女のことを元々は人に回復魔法を掛けるのが苦ってだったとか言っても信じてもらえないわな。
「信じるも、信じないも自由だが、確かに聖女がリーラと同じ年の頃は苦手にしてたぜ」
「ほ、本当にですか?」
「ああ、俺が聖女に初めて出会ったのもその頃だからな。あの頃の聖女は回復魔法を使った身体強化を使い冒険者をしていた。今のリーラのようにな」
「な!」
図星をつかれて驚いている。
「どうしてのそのことが分かったのですか!」
「人に対して回復魔法を使えないリーラが冒険者としてやっていくには自分で戦えることが大前提だが、その本の色を見る限り使えるのは回復魔法と付与魔法の二種類だろう。聖女と全く同じだ。最低限冒険者として一人で戦うなら火魔法や風魔法と言った攻撃系の魔法属性を持っていないと無理だろう。それなのに、ダイアウルフを五体も倒している。つまり、自身の肉体で戦って倒したということだろう」
「サージ様の言う通りです」
観念したように話し出した。
「私は小さい頃から人に回復魔法を掛けることが出来ませんでした。ですがその代わりに自身の筋力などを活性化させて身体能力を上げることは出来たのです。その上、その限界もなぜか手に取るようにわかりました」
それは凄いな。
普通の人はその限界値が分からずに体をボロボロに壊してしまったりするのに。
リーラはそれが最初から分かっていたとなれば問題なく使えるだろう。
「ですが、私の家は代々大聖堂の管理とそこに来る人達を癒す家業を生業としています。そんな家系に人を癒すことの出来ない回復魔法師が必要だと思いますか?」
「必要ないだろうな」
「サージ様そんなストレートに」
リーラが俺に問いかけてきたときの顔はとても真剣で、俺にそのことを言って欲しいと言う目をしていた。
確かにレーナの言う通りストレートに言い過ぎたかもしれないが、リーラがそれを求めていた。
「いいんですレーナさん。サージ様の言う通り、そんな私を家族は邪魔者扱いしてきました。親からも姉二人からもです。味方なんていませんでした」
ある意味では俺は家族に恵まれていたわけだな。
いくら才能があってもそれが認められるものならいいが、そうでないことが殆どだ。
それはレーナも同じだろう。
そういう意味ではレーナもリーラも同じなのかもしれないな。
「それで、よく勇者学院に入ることは許してもらえましたね」
「そうですね。ですがこれは親たちが私にくれた最後のチャンスなのです」
「最後のチャンスですか?」
「はい。この学院での三年間でシュクベル家に受け継がれる魔法を習得することが出来るかどうかを試しているのだと思います」
「その魔法とは、ライトフルキュアヒールの事か?」
「そうですが、よく知ってますね」
「ああ、その魔法は聖女のが作ったオリジナル魔法で将来子供出来たら受け継がせるんだって言ってたからな」
「そうだったのですか。私の姉二人はこの学院に所属している間にライトフルキュアヒールを習得しています。そのため私にも同じことをすれば認めてやると言われて勇者学院の試験を受けさせれました」
そう言うことならリーラを助けることが出来るかもしれないが、強制はできない。
「もしも、リーラが人に回復魔法を掛けれるようになるとしたらどうする」
「そんなことできるはずがありません。私だっていろいろと試してきましたがダメでした」
「俺は昔聖女に同じアドバイスをしたことがある。それをヒントに聖女は人に対して回復魔法が掛けれるようになった。今の俺なもっと的確にアドバイスできるだろう。どうするかはリーラ次第だが、もしこの提案に乗るなら、聖女が作り出して俺以外に教えなかった回復魔法を教えるがどうする」
「その魔法で家族を見返すことができますか!」
真剣な目で俺を見つめるリーラ。
「ああ出来るだろう。それどころか新たな聖女と呼ばれるだろうな」
「よろしくお願いします!」
リーラは俺の弟子になった。
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