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6話 妹と夜這い

という事で漸く本編開始です。

色々と……難産でした。





 とは言ったものの、別に急ぐ理由は無いので明日からどうやって誘惑していこうかなーとベッドで考えていた時、廊下の方から足音が聞こえてきた。


 今日も内緒で夜更かししているので、念の為スマホの電源を切って枕の横に置く。


 そのまま目を閉じて待っていると、足音は部屋の前で止まりゆっくりとドアが開けられた。




「……お兄ちゃん」




 入ってきたのは、ふわふわしたピンクのパジャマを着た舞だった。


 どうやら、計画を練る必要は無くなったらしい。




ーーーー




(お兄ちゃんが盗られる)




 そう思ったのは、鶴野さんという人が帰った日の夜だった。


 当たり前だけど、わたしが生まれた時にはもうお兄ちゃんが居た。


 わたしはお兄ちゃんが大好きで、よく後ろを着いて回った。お兄ちゃんも、楽しそうにわたしと遊んでくれて……。


 それが変わったのは、お兄ちゃんが小学生になった少し後だった。


 わたしはいつも通り、帰ってきたお兄ちゃんに抱きついた。




「おかえり! お兄ちゃん!」


「……離れろ」


「え?」


「いいから、離れろ」


「う、うん。ごめんね、お兄ちゃん」




 お兄ちゃんはそれだけ言って、自分の部屋に戻って行った。




(何か嫌な事でもあったのかな)




 あの時のわたしはそう思っていた。


 でも、違った。




「お兄ちゃん、おはよー」


「……」




 お兄ちゃんは、わたしと話してくれなくなった。




「ね、ねえ、お兄ちゃん」


「……チッ」




 話しかけると、舌打ちで返事される。




「あっ」


「こっち見んなよ。きもいんだよ。変態が」




 目が合うと、汚物を見るような目でボソボソと罵倒される。




(どうすれば、いいんだろう)




 成長したわたしは、学校の授業とかで男の普通を学んだ。だから、これが正常だと分かっていた。


 それでもまた、昔みたいに一緒に遊んでほしかった。




(やっぱり、無理なのかな)




 そう諦めるしか無かった。


 日を追うごとに溝は深くなり、お兄ちゃんは同じ空間に居るだけでも嫌らしく自分の部屋から出てこなくなった。


 たまたま部屋の外に出るタイミングと重なった時は、邪魔だと突き飛ばされた……。


 あんなに大好きだった筈のお兄ちゃんに、ストレスを感じる様になったある日。




「ゆーちゃん!? ゆーちゃん!」




 激しい物音が聞こえたと思ったらお兄ちゃんが階段の下で頭から血を流して倒れていた。


 それを見たわたしは……一瞬、喜んだ。




(何、考えてるの? わたし……)




 ママもお姉ちゃんも、本気で心配しているのに……わたしは、自己嫌悪でどうにかなりそうだった。




 それから三日後、お兄ちゃんが帰ってきた。




「舞ちゃん可愛いね。ちゅっちゅっ」


「お、お兄ちゃん!?」




 お兄ちゃんは昔みたいに……いや、昔以上にわたしに構う様になった。




(お兄ちゃんのお膝の上、座りたい……でも)


「舞、お兄ちゃんの上においで~」


「っ! うん!」




 チラチラ見ていたら、わたしの気持ちを察したお兄ちゃんが誘ってくれた。


 嬉しくなったわたしは何も考えずにお兄ちゃんのお膝に座る。




「舞のほっぺ、モチモチで気持ちいい~」


「うみゅみゅ。モ、モチモチじゃないし」




 そう、モチモチじゃない。わたしは太ってない……ないよね?




「腰細いな~、ちゃんと食べてる?」


「ひゃん! た、食べてるよ~」


「そ~れコショコショコショ~」


「あははははは! も~、次はわたしの番だから!」


「舞のH~」


「ち、違うもん! そーゆーのじゃないもん!」


「噓々。ほら、好きに触っていいよ?」




 腰を掴まれくすぐられたので反撃しようと振り向いたら、お兄ちゃんはチラリと服をめくり綺麗な白いお腹を見せつけてくる。


 何秒かガッツリ見てしまった気がするが、お兄ちゃんは何も言ってこなかったので多分気付かれていない……筈。




「もう! 変な言い方しないで!」


「ごめんごめん。チューしてあげるから許して?」


「え!? い、いいけど……って、どこ触ってるの!?」


「だって丸見えなんだもん。家でもちゃんと着けないと、襲われちゃうよ?」


「んっ……お兄ちゃんなら……別に……」


「え? 何て?」


「な、何でもない」




 目が合っても嫌がらないし普通に甘えさせてくれるし、平気で身体に触ってくるし寧ろ触らせようとしてくるし、ほっぺとはいえチューもしてくるし。


 わたしだって健全な女子中学生、そんな事されたら当然ムラムラもする訳で……でも、嫌われたくないからちゃんと我慢する。


 何度襲いそうになったか、お兄ちゃんは分かってない。


 でも、家族で結婚する事は出来るから、今はお互いの好きが違くてもいつか両想いになれればいい……そう、思っていたのに。




「大丈夫、凄く気持ち良かったよ」


「二十歳までに十人の女性と結婚していただき――」


「結婚相手は自分で選びたいし」




 お兄ちゃんは、記憶と一緒に女に対する嫌な気持ちも全部失った。


 だから、普通の男なら嫌がる事も平気で受け入れてしまう。




(わたしだけのお兄ちゃんなのに……ダメ! こんな事考えてるのがバレたら……)




 今の社会では、男が複数の女と結婚するのは義務であり女性同士での重婚も認められている。それが常識。


 だから、わたしみたいな独占欲の強い女は少数派で世間からは悪として扱われる。周りの女は勿論、最悪男にまで危害を加える可能性があるからだ。


 もし周りにバレれば、精神病患者として専用の施設にぶち込まれる。そうなれば、もう二度とお兄ちゃんと会う事は出来ない。


 だからわたしは、今日もこの気持ちを隠してお兄ちゃんを襲わない様ベッドの上で一人発散する。


 筈だったのに




「……お兄ちゃん」




 なぜかわたしは、ベッドでスヤスヤと寝ているお兄ちゃんを見下ろしていた。暗い部屋の中で、お兄ちゃんの顔だけがよく見える。


 バレたら嫌われるのに、絶対にやってはいけないと分かっているのに……わたしの身体は、言う事を聞いてくれなかった。


 お兄ちゃんの頬に手を添え、唇をそっと啄む。




「んむ……お兄ちゃんの唇、美味し……ぐす……んん……」




 少しの間幸せを堪能し、お兄ちゃんの顔を確認する……まだ、寝てる? 


 わたしはお兄ちゃんの手を取って、自分の身体を触らせる。




(お兄ちゃんの手、ゴツゴツしてて……自分でするのと、全然違う……)




 凄く気持ち良くて、我慢出来なくて、ベッドに登りお兄ちゃんの上に重なって全身を擦りつける……そしてもう一度、唇を近づけたその時。


 お兄ちゃんに、抱きしめられた。


 一瞬、何が起きたか理解出来なくて……理解した瞬間、絶望で涙が止まらなくなる。




「あっ、ちが、違うの、これは」


「舞」


「やだ、嫌いにならないで……大好きなの、お兄ちゃん……」


「大丈夫。お兄ちゃんも、舞の事大好きだよ」




 そう言って、お兄ちゃんはわたしの唇を奪い舌で口内を蹂躙する。




「んむっ!?」




 それだけじゃなく、そのままズボンの中に手を入れて直接触ってきた。




「ハァ……ハァ……お、お兄ちゃん?」


「舞がしたい事、お兄ちゃんが全部してあげる」


「……ほんと? 嫌いになってない?」


「何があっても、舞の事嫌いになったりなんてしないよ……だから」




 強く抱き寄せられ、耳元でお兄ちゃんが囁く。




「……お兄ちゃんで、いっぱい気持ち良くなっていいよ」


「っ! お兄ちゃん!」




 わたしの理性は、一瞬で消し飛んだ。


 相手の事を何も考えていない、一方的な性の暴力。にも拘らず、お兄ちゃんは嬉しそうにわたしを抱きしめてくれた。


 わたしはお兄ちゃんと心まで深く繋がったまま、朝まで一緒に過ごした。




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