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5話 Sランク認定

説明回です。

忙しい人向けに三行でまとめると


あなたは特別な男性です

わたしは冷です

そろそろ狩るか


です。





 芦屋さんに最後までお世話してもらった後、家族の元へ戻ると一瞬で皆に囲まれる。




「ただいまー」


「ゆーちゃん、大丈夫だった!?」


「優希、変な事されてない? 本当に」


「……お兄ちゃん」


「大丈夫、凄く気持ち良かったよ」




 そう答えると




「ガーン! うう、ゆーちゃんが立派になってくれて嬉しい筈なのに……筈なのに~」




 ママはショックを受け、泣きながら感激して悔しがり。




「おのれセンターのゴミ共。優希の初めては全て私のものだというのに」




 お姉ちゃんは激怒した。必ず、かの邪知暴虐の職員を除かねばならぬと決意した。ついでに余計な事を口走った。




「……が……の……で……」




 舞は病んだ。

 



「よーしよしよしよし可愛い舞は抱っこしちゃおうね~」


「うみゅみゅみゅみゅみゅ」




 ので、頭を撫でたりほっぺをモチモチしたりして心を癒してあげる。


 途中で抱っこしたくなったのでしゃがんだら、病んでいるにも拘らず素直に両手を上げた舞を可愛いな~と思いながら抱っこしてよしよしする。




「いいなぁ、ママもゆーちゃん抱っこしたい」


「ママがしたいなら、いつでもしていいよ?」


「優希、私はされたい派だから」


「そう」


「冷たい! お姉ちゃんの事はどうでもいいの!?」


「そんな事無いよ。家に帰ったらね?」


「うん!」




 大勢の職員に家族の恥部を見られながら入り口の自動ドアを通り、車で家まで帰った。


 そして次の日




「初めまして、私は総理大臣の鶴野(つるの) 仁恵(ひとえ)と申します。本日は、相藤優希様の男性ランクに関してお話させていただきたく存じます」


「よ、よろしくお願いします」


「……」




 検査結果が異常だったので、国の偉い人と護衛らしき少女二人の黒いスーツを着た女性が家を訪ねてきた。


 昨日のお伺い電話の時点でガチガチだったママはさらに緊張を強めながら何とか答え、僕は家族から余り優しさを見せない様に言われているので無視する。


 護衛の方は口をはさむ気が無いらしく、全員がソファに座ると鶴野さんが淡々と説明を始める。




「相藤様は記憶喪失との事なので、まずは基本的な事から説明させていただきます」


「……」


「ありがとうございます。まず、男性の皆様には男性ランクというものが存在します。これはE~Aまでの五段階があり、ランクが高い程国から受けられる援助が大きくなります。ただし、その分義務も大変になります」


「……」


「具体的には、Aランクの場合毎月百万円のお小遣いが与えられますが、二十歳までに三人の女性と結婚しなければならず、人類救済も月に二度行ってもらう……といった感じです」


「へ~」


「そして、相藤様のランクはSランクとなります。Sランクとは、Aランクの一つ上ではなく例外、世界全体でも現在は四人しかいない、例外中の例外となります」


「え、Sランク?」




 鶴野さんの言葉に、家族がざわつき始める。




「相藤様の検査結果は、全てにおいてAランクのそれを大きく上回っていた為、Sランクの資格があると判断されました」


「まあ、当然だよね」


「はい。そして、Sランクの援助と義務ですが、相藤様には毎月三百万円のお小遣いが振り込まれます。そして、二十歳までに十人の女性と結婚していただき、月に四度人類救済を行っていただきます……こちらをどうぞ」




 そう言って、鶴野さんが差し出してきたのは一つのリングケースと二つのアタッシュケースだった。


 リングケースの方を開けると、赤色の宝石をそのままリング状に加工したような綺麗な指輪が入っていた。試しに指に嵌めてみるとサイズがピッタリだった。


 アタッシュケースの方は札束……ではなく、片方は同じ赤い指輪がもう片方は真っ黒な指輪が入ったリングケースが十個ずつ入っていた。その全てにチェーンが通してあり、ネックレスとして首に着けられるようになっている。




「こちらの指輪は婚約指輪となります。名称はアレですが、実際の用途はマーキング用となりますので、後から取り上げていただいても構いません。ランク毎に専用の色があり、Sランクが黒、Aランクが赤となります。ランクを隠したい場合は赤の指輪をお渡しください」


「僕の赤なんだけど?」


「相藤様の指輪は特別な造りで、数秒程人肌で温めるとその部分が一時的に黒く変色する様になっています。もちろん、相藤様が望めば通常の指輪や追加の指輪を手配いたしますので、遠慮なくお使いください。それと……」




 指輪の説明を終えた鶴野さんは、鞄から一冊の本を取り出して机に置く。




「こちらは、とあるオークションの出品リストとなっております。物以外にも様々なものが出品されておりますので、興味があれば是非。本来であれば男性の参加は禁止なのですが、Sランクである相藤様は例外となります」




 試しに見てみると、希少な生物はもちろん借金やらなんやらで人権を失った人間も男女問わず出品されていた。簡単に言えば奴隷。


 確かにこれは、男を参加させるわけにはいかないだろう。そんな事をすれば普通の女のチャンスがさらに減ってしまうし、わざと奴隷になろうと無茶をする人も出てくるかもしれない。




「次に、相藤様には新しい男性保護官を付けさせていただきます。特Aランク保護官が一人、Aランク保護官が二人、補佐にBランク保護官を五人となります。冷」


「はい。初めまして相藤優希様、わたしは特Aランク保護官の樋宮(ひみや) (れい)と申します。以後、よろしくお願いいたします」




 そう自己紹介してきたのは、総理大臣の護衛だと思っていた少女。


 彼女は、ストレートな水色の髪を胸くらいまで伸ばした中学生としか思えない体型のクールそうな少女だった。後で年齢を聞いたら十九歳だと言われた。


 見た目通りクールな性格らしく、それだけ話すとまた口を閉じた。




「男性保護官は自身のランクと同等の者が選ばれます。また、本来は外出時の護衛のみですが、相藤様はSランクの為、彼女には常に護衛をしていただきます」


「常に」


「はい、常にです。もちろん、普段は極力視界に入らない様努めていただきますのでご安心ください……そして」




 鶴野さんが取り出したのは、今度は複数のファイルだった。




「こちらは、国が選出した優秀な遺伝子を持つ女性のリストです。気に入った女性がおりましたらご連絡ください。それと、結婚人数が足りない場合はこの中から選ばれる可能性が高い、と言っておきます」


「これらは、各ランクの男性保護官のリストとなります。なるべく早くお選びください」


「こちらは土地のリストです。相藤様には、国が用意した住居へ転居していただきます。その際、専属の医師を五人、使用人を十人、最低でも選んでいただきます。こちらが医師、こちらが使用人のリストです」


「最後に、相藤様にはこちらの特別なスマートフォンをプレゼントさせていただきます。是非お使いください」


「以上で、説明を終了とさせていただきます。ご質問等ございますか?」


「別に?」


「お噂通り、相藤様はとても優しい男性のようですね。それでは、私はこれで失礼します」




 これで優しいとかどんだけだよと思いながら、家族にお見送りされる鶴野さんを見送った。


 その後、素の僕を知って困惑している冷を含む皆でリストを見ながら色々決めていく。


 まずはAランク保護官、新しい家にはトレーニングルームを設置するつもりなので筋トレが趣味のでかくて筋肉が凄いお姉さんと、事務仕事が得意と書いてある秘書みたいな眼鏡のお姉さんを選んだ。




「Bランクは……誰でもいいかな、冷に任せるよ」


「ありがとうございます」


「何が?」


「早く選んでいただいた事もそうですが、成績順に選ぶ事で、彼女達のやる気に繋げる事が出来ますので」


「なるほど」




 優秀な遺伝子リストがある事からも分かるように、この世界はかなり実力主義な造りをしている。学校でも成績順にクラスを決めて、上位のクラスのみ男子がいるみたいな教育方針を実施しているくらいだ。


 当然、エリート職である保護官や使用人を育成する学校も例外ではないので、見た目に関係なく成績順で選べるというのはかなり大きいのだろう。


 次に引越し先だが




「学校行きたいから、そこから近い所がいいよね」


「がっ……こう?」


「優希、学校は……ダメよ」


「お兄ちゃん、家でずっと一緒に過ごそう?」


「でも、結婚相手は自分で選びたいし」


「「「うぐっ」」」




 そう言うと、嫌がっていた皆も渋々納得してくれた。




「……白鳳ならいいかしら」


「そうね、保護官用の学校はボディタッチがあるし」


「そこは大丈夫なの?」


「白鳳はお嬢様高校だから、みんな淑女教育を受けてるのよ」


「だから理性が強くて、後、校舎内にも監視カメラがあったはず」


「へ~、なら安全だね」




 かと思えば、今度は白鳳学園とかいうお嬢様高校に通わされそうになる。


 皆の言う通り、白鳳の様な名門校は男子生徒もそれなり(当社比)にいるためかなり厳しく、この世界の理想である清楚な女の子しか居ないと言っても過言ではない。


 髪の長さや下着の色は指定されており、ギャルや不良といった派手な娘は居らず、淑女教育を受けている為理性が強い。そんな所に行って何が楽しいのか。




「いや、僕は普通の高校に行きたいんだけど」


「「「それはダメ!」」」


「ゆーちゃんは優しいから、みんな勘違いしちゃうわ。そうなったら……あわわ」


「優希、普通の高校っていうのは、入学初日にクラスの女子全員に襲われても文句は言えないような、狂った場所なのよ」


「ごめんねお兄ちゃん。でも、お兄ちゃんを守るためだから」




 かといって、普通の高校に通わせるのは危険が危ないと却下される。


 擦った揉んだの末、この件は保留となった。




「医者は那須さんと石山さんは確定で、他はお任せね」


「優希様を担当したお二人ですね。了解です」


「使用人もお任せで」


「かしこまりました」




 そんな感じで、皆と色々な事を決めていった。


 そして夜、普通の高校に通う為家族に自分がビッチであるとわからせる計画を考え始めた僕は、取り敢えず冷に一言言っておく。


 ちなみに、ややこしいので僕の事は名前で呼ぶようにと最初に言ってある。




「冷」


「何でしょうか、優希様」


「家族には後で指輪を渡すから、何があっても邪魔しないように」


「かしこまりました」




 さて、誰から狙おうか。




鶴の一声

鶴野 仁恵 (つるの ひとえ)

面倒くさがりな性格。

辞めたいと思いつつも有能かつ真面目な性格なのでまだまだ現役。


氷 冷やす

樋宮 冷 (ひみや れい)

戦闘の天才。

感情が表に出ない心の中が騒がしいという事も無いガチクール系女子。

身長を馬鹿にされると……。


特Aランク保護官

元はSランク保護官だったが男と同じ名称は烏滸がましいという意見が出た為変更された。


清楚 鳳凰

白鳳 (はくおう)

はくほうではない。


人類救済センター (前回入れ忘れ)

元はシンプルな名前だったが男から悍ましいという意見が相次いだ為変更された。


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