16話入学と委員長
三章開始
そしてまた書き方が変わりますが長い説明文は読み飛ばす(書きたくない)タイプの人間なのでここから劇的に変わる事はないと思います。
冷が運転する車で学校へ向かい、裏の駐車場に車を停めて静かになった職員室で担任の先生に挨拶する。
先生は茶色の髪を腰まで伸ばした、赤いジャージと白いシャツを着た昔の体育教師みたいな女性だった。
「初めまして、相藤優希です。これからよろしくお願いします、先生」
そう笑顔で挨拶すると、先生は頬を染めながらゴニョゴニョと答える。
「あ、ああ、担任の鮫島だ……よろしく」
その後先生と教室まで行き、先に先生だけが中に入ると騒がしかった話し声がパタリと止んだ。
「分かりやすいなお前ら。お望み通り、編入生を紹介するぞー。相藤、入ってこい」
「はーい。初めまして、相藤優希です。皆と仲良くなれたらいいなと思ってます。よろしくお願いします」
そう笑顔で挨拶すると、皆は頬を染めたまま一切動かなくなる。
「「「……」」」
(カッコいい……)
(妊娠、結婚、出産)
(ああああああ!)
「相藤の席はあそこな」
妄想の世界へトリップしている皆をスルーして窓際の一番後ろの席に座り、隣の席の前髪で目が隠れている女の子に話しかける。
「よろしく、メカクレちゃん」
「えっ、あっ、その……」
「仲良くしよーね」
握手しようと手を差し出すと、キャパシティーがオーバーしたのかこっちを向いたままフリーズして動かなくなった。そんなことに一々反応していられないと先生は話を続ける。
「んじゃ、一時間目は予定を変更して自己紹介の時間にする。一番……一番!」
「は、はい! わたしは――」
出席番号順にチラチラこっちを見ながら行われる自己紹介を聞きながら、誘惑相手の目星を付けていく。
最初に興味を惹かれたのは、茶色のポニーテールを犬の尻尾みたいに揺らしている健康的な体型の活発そうな女の子。
「はいはーい! あたしは犬飼 夏希っていいまーす。好きな食べ物はハンバーガーでー、趣味はパルクールでーす。よろしくお願いしまーす」
次に興味を惹かれたのは、さっき挨拶した隣りの席の黒い髪を前髪だけ伸ばした貧相な体型の陰の者っぽい女の子。
「あの、さ、さっきはごめんなさい。ワタシは倉李 杏、です。よろしくお願い、します」
「改めてよろしく、杏」
「杏!? ……プシュー」
(((いいなぁ……)))
名前で呼ぶとまたフリーズした。
その次に興味を惹かれたのは、黒い髪をおさげにして肩にかけている真面目そうな眼鏡の女の子。
「斉藤 栞です。好きな食べ物はお寿司、趣味は読書です。このクラスの委員長を務めているので、困った事があれば私に相談してください」
最後に興味を惹かれたのは、制服を着崩している長い金髪でスタイル抜群な派手目のギャル。
「はーい。ウチは茶野 麗奈っていいまーす。好きな食べ物は肉系で~、趣味はオシャレとか? とりまよろしく~」
最終的に強く興味を惹かれたのはこの四人だった。
「全員終わったな。こっからは質問タイムだ。相藤に聞きたいことがあるやつは手を挙げろー」
「……先生、相藤くんの許可無しにそーゆーことするのは良くないと思います」
「許可があるからやってるに決まってんだろー。さっさと手ぇ挙げねえと終わりにするぞー」
「……では、僭越ながら私が」
そう言って委員長は立ち上がると、覚悟を決めた顔でこっちに振り返る。
「何々? 委員長は僕のナニを知りたいのかな~?」
「あの、好きな食べ物を……」
「う~ん、唐揚げかな~」
「ありがとうございました」
「どういたしまして?」
普通に答えると、僕が優しい男子だと理解したのか皆も少しずつ手を挙げ始めた。
「……あの、じゃあわたしも」
「わたしも、質問していいですか?」
「いいよー、何でも答えてあげる」
(((な、何でも!?)))
その後、休み時間が終わるまで質問に答えたり連絡先を交換したりして皆と少し仲良くなった。
放課後、先生に呼ばれたので着いていくと職員室で部活に関する話をされる。
「相藤。お前、部活に興味はあるか?」
「ありますよ」
「そうか、ならコレ。四月に配られた各部活のパンフレットだ。お前が望むなら、体育館でもう一度デモンストレーションをさせるが……」
「いえ、そこまではしなくていいです」
「そうか、もし部活に入るならその前に先生に報告しろよ」
「分かりました」
「ちなみに、先生のオススメは水泳部な」
(((チッ)))
という訳で、明日から少しずつ部活見学を始めることにした。それはそれとして、さっき約束した通り委員長に学校を案内してもらおう。職員室を出て、待ちきれないと眩しい笑顔を浮かべている委員長と合流する。
「おまたせー」
「い、いえいえ、全然待ってませんから」
「じゃあ、案内よろしくね。委員長」
「はい!」
ーーーー
編入生が男子だと分かった瞬間、私たちは叫び散らかした。その熱狂は学校中に響き渡ったと言われても信じられるくらいには凄まじかった。
でも、件の編入生くんはもっと凄い男性だった。
私たち女に見られても怯えないどころか目を合わせてくれるし、普通に会話してくれるし近づいても怒らないし、質問したら答えてくれるし周りがうっかり下品な話をしても許してくれるし。
まさに女の理想を詰め込んだ、神様がこの世界を救うために遣わされた御使い様だと言われても信じられるくらいには凄い男性だった。そんな彼に、私は委員長だからという理由で学校案内という大役を任された。
あれは放課後、帰り支度をしていた時の事。
「委員長~、この後暇?」
「はい、凄く暇です」
彼に話しかけられた私は、引かれないよう喜びの気持ちを隠して冷静に答えた。
「ならさ、学校の案内してほしいんだけど」
「もちろん、いいですよ」
そう答えると彼は嬉しそうに笑った。初めて見た男の人の笑顔は凄く爽やかでカッコよくてでも年相応の可愛さもあって……とにかく最高だった。
「ありがとー。お礼に僕のこと、優希って呼ばせてあげる」
「ええ!? いいんですか!」
「いいよー」
「ありがとうございます!」
今思えば全然隠せていなかったが、何も言われていないので多分セーフの筈だ。その後は周りに注目されながら色々な場所を案内した。
保健室とか更衣室とか体育館とか……案内ももう終わりかと寂しくなっていると、優希くんから行きたい場所があると言われる。
「あっ! あれないの? 空き教室みたいなやつ」
「ありますけど……私と二人きりですよ?」
女と男が同じ部屋で一緒に過ごす、その危険性を理解していないのだろうか……私が守護らないと。
「え~? 何するつもり~?」
「な、何もしません……」
「本当かな~?」
「本当です!」
一瞬イケない妄想をしてしまったが何とか誤魔化し、空き教室に入り電気を点けるとガチャリと鍵が閉められる。
「あの、優希くん?」
「ん~?」
優希くんの顔を確認すると、彼は蠱惑的な笑みで私を見つめ返してきた。
驚きと期待で身体を硬直させていると一歩、また一歩と距離を詰められ正面から抱きしめられる。男性特有のいい匂いと硬い感触に飲み込まれていると、彼は私の胸を触り始めた。
「委員長の胸、柔らくて気持ちいいね……」
「んっ……優希くん……」
一瞬で発情した私は、無断で彼の腰に手を回しお尻を揉み始める。すると、お腹の辺りで何か硬いものが膨らんできた。
(これって、そーゆーことだよね……私なんかで、興奮してくれてるんだ……)
今すぐ触りたい気持ちを唾を飲んでなんとか抑え、確認のために彼の顔を見上げると……その柔らかそうな唇に視線が吸い込まれた。
したい……そう思って見つめていると、察してくれた優希くんが私の顎に手を添えて顔を近づける。心臓の鼓動がいつもより聞こえる中、数秒唇を重ね……それが終わると、今度は私の服に手を……。
「優希くん……私……」
「いいよ、委員長の好きにして……僕も、委員長のこと好きにするから」
「……うん」
最初 本好き
↓
斉藤 栞 (さいとう しおり)
真面目おさげ眼鏡の思春期お猿さん。本は紙派。
学年一位でありその真面目さから編入生のお世話係を任されている。
あの後垢抜けるためにコンタクトに変えようか迷ったが眼鏡似合ってるねと言われていたのでやっぱり止めた。




