前途多難
その後は何もなく下校となった。
「じゃーな」
「ん、また明日」
なんとなく、トーマス氏と打ち解けていた。本来相容れない陽の気を放つ人間。木陰でひっそりとする方が好きな私とは逆ベクトルだというのに不思議だ。圧倒的なコミュ力、これが陽キャか。
この後はフィオネに校内を軽く案内してもらい下校の予定だ。
携帯端末を取り出し、連絡をしてみる。
この、携帯端末は異界の勇者の所持品を基に作ったらしい。この世界にある科学で動く物は異世界人の知識と現物によってできている。そのためか、色々とチグハグな面があったりする。
「?」
おかしい。いつもならワンコールで必ずでるフィオネがでない。
まだ、終わっていないのか。とりあえず、2年の教室へ向かおう。
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2年の教室があるのは隣の校舎だ。
しかし、ここで問題が発生した。私はフィオネのクラスを知らないのだ。普段はフィオネから向かいに来てくれるので聞く必要がなかった。
2年の先輩に聞いてもいいのだか、親衛隊の人とかだったら、絶対に面倒臭そうなので自力で探すしかない。
「あっ」
いた。
しかし、声をかけれる状況ではなかった。兄さんがいたからだ。
「なんでだよ!?」
ジャック•アレイスター、私の兄だ。容姿は私と似ており、兄弟だと分かるだろう。
だが、性格は違う。兄は傲慢な性格をしており、私を見下している。
そして最も厄介なのが、フィオネのことが好きなのだ。
「あんな絞りカスより、俺のほうが良いに決まってるだろ!」
本人がいないからと、酷い言い草だ。
「冷静に考えろよ? ギリギリで滑り込んだ雑魚フェイトより、成績優勝な俺のほうが良い」
「何度も言っていますが、貴方に興味がありません。 私が仕えるのはフェイト様だけです」
フィオネがキッパリと言う。
「後、こちらも何度も言っていますが、私の前でご主人様のことを悪く言わないでください。 とても不愉快です」
フィオネは軽蔑する様に目を細め、一瞥する。
だか、兄さんのここで引き下がらなかった。変にプライドが高いからだろう。普通なら美少女に軽蔑の視線を向けられて平気なのはマゾかバカぐらいだ。ちなみに兄さんはバカだ。
「いいか、フェイトはここを卒業したら、アレイスターから追い出される。 あいつに未来はないんだよ」
確かにそうだ。私はこの学園に通わしてもらう条件として、卒業後はアレイスターからの除名をしなければならない。
「私はアレイスター家の資産目的で、ご主人様に近づいたわけではありません。 失礼します。 ご主人様をこれ以上待たせることはできませんので」
冷たい態度のまま兄さんの横を通りすぎるフィオネ。
さて、なんも知らない風を装い、出て行こうか。
「あっ、フィオネーーー」
「大変お待たせいたしました」
まるで、私が出てくることが分かっていたのだろう。フィオネが頭を下げてくる。
「い、いや? 私もさっき終わったところだから」
「なら、良いのですが」
絶対わかってるな、コイツ。
「おい、フェイト。 フィオネと今すぐ、別れろ」
「ん? はい」
フィオネと少しだけ、距離をとる。
「違ーえよ。 分かってんだろ? お前とフィオネじゃ釣り合わないってよ!」
兄さんは昔からこうだ。たくさんのものを持っておきながら、私のものまで取ろうとする。
「それだったら、兄さんは釣り合いとれてるの?」
「少なくとも、お前よりな」
私と比べても仕方ないと思うのだが。
「それは、フィオネが決めることでしょ?」
ごめんよ、フィオネ。君に丸投げしちゃう情けないご主人様で。苦手なんだよ、この人。
「ご主人様、行きましょう。 人が、集まって来ました」
「あ、うん」
フィオネに手を引かれ、立ち去ろうとする。後ろでは
兄さんが睨んでくる。
絶対なんかしてくるやつだ。




