式
体育館にて。
私は今、非常に退屈です。よく知りもしないおじさんの祝辞が脱線し、よくわからない方へ話がいっているのだから。
そろそろ誰か、止めてほしい。もう、10分くらい話している。こういうのを見て思うが、話している人は何を思っているのだろう。
「それでは、在校生より祝辞」
壇上に現れたのはフィオネだった。
フィオネの登場に色めく、新入生たち。先程まで、眠たそうだった生徒も目がシャキッとしている。
まぁ、エルフなど簡単に拝めることなどない。基本的には雲州にしかいない少数人種なのだから。エルフは魔法の素質が皆高く、老化が遅い、美しいなどの特徴を持つ。
フィオネはその中でも、先祖返りーーハイエルフらしい。詳しいことは忘れたが、普通のエルフより特徴が顕著にでる個体を指す。
あのおっぱいもそういうことだろう。
「なぁ、本当にお前さん、同棲してんの?」
隣りの席の生徒ーー朝話しかけてきた奴がまた、話しかけてきた。
「だったら、なに?」
声を顰めてるが、不機嫌そうな態度全開で返す。もう、敬語は使わない。面倒だし。
「なぁ、後で紹介してくんね?」
「自分で、声かけてみたら?」
「バカ、無理に決まってるだろーが。 親衛隊に吊るされちまう」
「親衛隊?」
「フィオネ•アストレー親衛隊さ、知らないのかよ? 同棲しているくせに」
同棲は関係ない気がするが。なるほど、親衛隊か。フィオネクラスの美少女になると、ファンクラブ的な奴ができるのだろう。
「入学したばかりだし。 何してるの? 親衛隊って」
「決まってるだろう? フィオネちゃんに手を出そうとしている奴を陰で粛清したり、学生生活を支えたりするんだよ」
………活動内容が思った以上にキモかった。親衛隊というか、ストーカー集団だ。
「入隊したら、挨拶を返しても粛清されないんだぜ」
「………ソッスカ」
それ以外会話が続くことはなかった。
ーーーーーーーーーーーーー
入学式が終わり、教室に戻って来た。話を聞くだけなのに、疲労感がすごい。
まず、自己紹介から、始めることに。
「トーマス•アトス。 趣味は釣りとサッカー。 よろしく!」
前の席の奴はトーマスというらしい。今まで何故か、名前を聞いていなかった。茶髪を短く切り揃えており、清楚感ある身だしなみをしている。
「フェイト•アレイスターです。 趣味は読書です。 これから、よろしくお願いします」
「読書ってあれか? ラノベか?」
トーマス氏が、からかってくる。馴れ馴れしいな、こいつ。
「いや、色々だけど」
適当にはぐらかしておく。
「んだよー、恥ずかしがらなくてもいいだろー」
早く、席替えをしてほしいなー。
そのあとは、特になんもなく自己紹介は終わる。
「魔法の授業は4月中は、今までの復習を行います。 5月から実技などが始まります」
カリキュラムについて、相変わらず淡々と説明していく。
「それから、魔法科のテストは筆記と実技が両方ありますので、皆さん頑張ってください」
その後も補習対象の説明などをし、一旦休み時間に入る。
「おい、アレイスター」
「はい?」
なんか、高圧的な態度で変なのがきた。身長は私よりも高く、肩幅も結構ある。良く鍛えられている。
名前はセオドア•メルゾスみたいな感じだったと思う。
「聞いたぞ。 お前、大した実力ないくせに、家の力で入ったってな」
なにそれ、私初耳。家の力と言うが、父が私をそこまでして、入れたがりはしないだろう。きっと、兄が勝手にあることないこと言ってるせいだ。
問題は出鱈目な噂が1年に届いていることだろう。
「で、どうする気ですか?」
「気に食わないな。 大したこともないくせに、家の力で裏口入学。 女を侍らせて威張る。 調子に乗るなよ?」
大したことないっての以外何も当たっていないのだが、こうも敵意を剥き出しにされているのを見ると、話は聞いてくれないだろう。
「すみません」
軽く頭を下げる。これでは、認めたようなものだが、仕方がない。入学初日に揉め事を起こすなど論外だ。
私は大人なのだ。寛大な心で受け入れよう。
しかし、それ以上にーーーー
「フンッ、他の奴に迷惑かける前に辞めるんだな」
「あの、ちょっと、待ってください」
私は彼を呼び止める。
「なんだ? まさか、俺に勝てると思っているのか?」
「いや、そういうことじゃ……」
私は意を決して指摘する。
「鼻糞見えてますよ?」
すごく、気になっていた。ドヤっているところに水を差すのはどうかと思うが、ここは言うべきだろう。
「…………」
鼻に触れるセオドア(仮)氏。そして、ポケットからティッシュを取り出して、取り除く。
ここはフォローするべきだ。
「大物ですね」
「ーーーぶっ殺す!!」
フォローは失敗らしい。当然か。
「おーっと、と。 それ以上はダメだろ?」
トーマス氏がセオドア(仮)氏と私の間に割って入る。
「初日から問題起こすのはマズイでしょ?」
ニヤニヤとしたいやらしい顔で言う。おそらく、さっきの話を聞いていたのだろう。
タイミング良く、授業の開始を告げるチャイムが鳴る。
セオドア(仮)氏は舌打ちをして、自分の席へ戻って行く。
「もっと、空気読んだ方がいいぜ?」
「いや、話終わった後なら、問題ないかなって」
「最後のが、ダメだな」
余計なお世話だったらしい。




