Case;06 第二章『ユーティカ教団①』
【テレビ】
お天気キャスター「…天気は以上です」
ニュースキャスター「はーい、お天気担当の○○さん、ありがとうございました!続きまして…」
話を続けようとするキャスターの横に裏方の人間が駆け寄る。耳打ちで話し終えると…
ニュースキャスター「速報です。東都の住宅街の公園で、マジシャンの『パンドラ』さんが見つかりました」
公園の映像が流れる
ニュースキャスター「意識不明の状態で、身体的にはいくつもの傷が確認されている模様です。また、傷自体が致命傷ではないですが、周辺には多数の放火の跡があることから、一酸化中毒によるものではないかと思われます。現場の方につないでみましょう。現場の××さん?」
現場のキャスター「…はい、こちら××です。今現在、こちらのほうでは、警察が現場検証を行っている最中で、周辺には規制線や、ブルーシートで中の情報はわからないようになっています」
ニュースキャスター「周辺で気付いた事とかありますか?」
現場のキャスター「…はい、現場では放火の跡でしょうか、所々黒くなっている所があるのと、心なしか少し焦げ臭い臭いがしています。あとは、子供たちの仕業でしょうか、BB弾が散乱しています。」
ニュースキャスター「はい、わかりました。また何か、わかり次第連絡お願いします」
現場のキャスター「…はい、了解しました。現場からは以上です」
ニュースキャスター「はい、××さんありがとうございました。続いてのニュースは…」
【何処かの山奥の施設】
会議室のような場所で机に5人、床に20人以上の老若男女がテレビを眺める
白い服を着た男「教祖様、今のテレビの内容はどう思われますか?」
教祖と呼ばれた者「そうですね。私の心眼の結果からすれば…今の内容は神からの祝福によるものでしょう…」
白い服の女性「おお!この事件は、やはり…」
教祖と呼ばれた者「ええ、ギフトを得た『選ばれし神の使い』の方たちの殺し合いでしょう…なんと醜い…」
教祖と呼ばれた者の妻「ええ。ですが、われらが神…『ユーティカ』様はそんな者たちにも祝福をくださいます。無論、私たちにも…」
セイヴァー齋藤「『セイヴァー齋藤』の名をもって告げる…
信託である!
我らが『ユーティカ教団』が、『神からの祝福』を用いて…我が神『ユーティカ』様の神子である『齋藤 天草』様が…この現代に蘇った『天草四郎時貞』となるのだ!!」
セイヴァー齋藤と名乗る男が鼓舞する
ユーティカ教団員「「「「おぉーーーー!!!!」」」」
その鼓舞に答えるかのように団員も声を上げる
セイヴァー齋藤「我らが『ユーティカ教団』…死をもいとわぬ強い意志で!団結しよう!!」
ユーティカ教団員「「「「団結しよう!!!!」」」」
ユーティカ教の教え、第十説『死とは、神への謁見するための手段であり、生前の罪を許して戴く事である』
【居酒屋】
二人の警察官が居酒屋で飲み明かしている
後輩「もう飲めません!」
先輩「んだと!?飲めねえってか!まだたったの5杯目だろうが!!」
後輩「飲めないって言ったじゃないっすか!!」
先輩「ああん!?やるってーのか!」
後輩「やるって言うなら…とことんやりましょう!!」
胸ぐらをつかみ合う。店員も止めようとするが、気迫に押されて止めるに止められないでいた…
先輩「それじゃあ、覚悟しとけよ…!」
拳を握りこみ、後輩に殴り掛かる
テレビ「~~~~」
テレビで今夜の公園での事がニュースで流れる
先輩、後輩「…」
時が止まったみたいに拳が止まる。周りの空気まで凍てついたように止まる
先輩「…情報が早いな」
後輩「あまりにも早すぎます。…私たち警察側にスパイがいる…?」
先輩「馬鹿野郎。警察なんて組織はな…疑いだしたらキリがないもんだ」
後輩「それもそうですね」
先輩「酔いがさめちまった。おう、親父!勘定!」
金の支払いを済ませて二人が居酒屋を後にする
先輩「なんだか、飲みなおしてえな…来るか?」
後輩「いえ、これで帰ります」
先輩「そうか、とりあえず気を付けて帰れよ!」
後輩「先輩こそ、飲みすぎないでくださいね!」
先輩はわかってるわかってると言わんばかりに手を振って居酒屋街に消える
【柊家別荘アジト】
朝が来て、みんなが集まる
一色「おはよう、千ちゃん」
弓鶴さん…いえ、色ちゃんとは昨晩寝る時に色々話をして打ち解けた
千奈「おはよう、色ちゃん。みんなは?」
欠伸をしながら訪ねる
一色「うん?帰ったよ。私も今から帰るところ」
千奈「なら、途中まで一緒に帰ろ?」
一色「うん!」
ニコニコしながらアジトを後にする二人。最寄り駅までは少し距離があった
【最寄り駅】
一色「少し…ハァ、遠かった…ねぇ…ハァ」
息を荒くしている色ちゃん。インドア派なのかな?
千奈「運動不足?」
一色「いや、早いよ!千ちゃん!」
普通に歩いていただけなんだけどなあ…
とりあえず、帰ろう…母に「友達の家に泊まりに行きます」って割と強引に家を空けたから…怒られるかな…
千奈「ただいま…」
母「お帰り…ちょっとリビングに来なさい」
そこからしこたま怒られた…
【自室】
ピピピピピッ♪
デバイスの着信音が響く
千奈「誰だろ…あ、造さんからだ」
ピッ♪
デバイスを開いて電話を取る
千奈「もしもし、どうしました?」
英二「千奈ちゃん!今は大丈夫かい!?」
造さんが慌てたような声で話しかける
千奈「え?はい、どうしたんですか?本当に」
深呼吸して、少し落ち着いて話を切り出す造さん
英二「いいかい?僕たちレコードは、アジトに集まったメンバーで全員じゃないんだ」
千奈「え?はぁ・・・」
英二「各地でコードマンの情報を探っている『捜索班』、情報をこっちに流す『仲介班』、集めた情報まとめて全員に情報を流す『情報班』、そして、僕たち実力派がコードマンとしての動きを行う『実動班』」
千奈「結局、構成人数はどれくらいの人数いるんですか…」
英二「正直、館長以外わからないんだ…」
千奈「それで?本題は何ですか?」
英二「捜索班の一部から連絡があった。コードマンが集まったカルト教団…『ユーティカ教団』が見つかった」
千奈「カルト教団!?こんな時代にですか?」
英二「そうなんだ。しかも、情報が正しいならば…少なく見積もっても三人はコードマンだ」
千奈「三人も!?って、多いのかわからないです…」
英二「あー、そうだね。ここ三日間だけでも結構な人数に会ってるもんね…。実際、ここは都市部だからってのはあるんだけど…それを抜きにしても結構な人数に会ってるからね。本来ならば、各都市圏内ならば、一人いるかいないかだね」
千奈「ってことは、私みたいに突然コードマンになって…短期間でコードマンの人に5人に会うってなかなか無いことなんですね」
英二「そもそもとして、『コードを他人に譲渡する』なんて…書いてあっても、やる人はいないと思うよ」
千奈「なぜですか?」
英二「…コードは、その人の潜在的欲望が叶えられたもの…っていうのはわかるね?」
わかる。というか、私のイダテンは…早くなりたいという私の願望そのものだもの…
英二「僕もそうだが、自分の欲望が実現できる。または叶えてくれているモノを手放すことはそうそう出来るものじゃない。欲深いからね」
千奈「欲深い…」
唯姉さんはどうだったんだろう…
英二「あ、話が逸れてしまっていたね。それで、だ。さっきの教団はこっちに向かって来ているらしいんだ」
こっちに?なぜ…?
英二「理由は、簡単さ。千奈ちゃん…昨日のパンドラとの一件がニュースで取り上げられたんだ」
千奈「え!?」
そんな…じゃあ、捕まるの!?
英二「でも情報はすべて得たわけじゃないみたいなんだ。単に『何者かに襲われたパンドラ』ってことになってるみたいなんだ」
…まだ、大丈夫なんだ…
だけど…やっぱり、いずれかは捕まるのかな…私…
英二「…もしも捕まるかどうか気にしてるならば、気にしないでいいよ」
千奈「えっ?」
見透かされたような一言に驚く
英二「そもそも、コードが絡んだ事件は立証ができないんだ。そして事件の再現性も限りなく低い」
千奈「それは、被害者が…」
英二「そう。目覚めないからだ。だから、気にしなくていいんだ」
少し胸のモヤのようなモノが晴れる
英二「とりあえず、作戦会議だ。今からアジトに来れるかい?」
千奈「はい、向かいます」
私は、スポーツバックに様々な準備をし、家を出た
今は、少しでも急がなければ…
そんな気持ちが背中を押していた…
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