Case;05 『あり方とお使い』
ひとしきり話しきると、落ち着いてくる
英二「…そっか。僕と別れてから、そんなことがあったんだね…」
雪斗「…おれは、瑞樹がやった行為は『よくやった』と思えるが、同時に柊館長の死は『仕方がない』とも思う」
一色「そんな言い方!…無いよ。それじゃあ瑞樹さんに託した思いは…」
英二「ちがうよ。雪斗君は人の死を軽視してその発言をしたんじゃない。そうだね?」
雪斗「…ああ。柊館長は全て見越してあの結末を迎えたんだ。仕方がないと思うのは、そこに彼女の覚悟があるからだ。…飲み込むべきなんだ。館長の死を…」
全員押し黙る
ふと、私は疑問を投げ掛ける
千奈「…すいません。ちょっと聞きたいのですが、唯姉さんはどんなコードを持っていたのですか?」
造さんがハッとして答える
英二「あ、そうか。まだ説明していなかったね」
雪斗「館長のコードは『Code;10』だ」
一色「名前は『ヴェルガモット』。『未来を見通す能力』を持っていたんだよ」
英二「ちょっとちがう。正確には『運命を本に写し出す能力』だよ。だから、自分が死んだ後までは見通せない…はず…」
なるほど、と納得する。煮えきらないのは、この展開に至るまでを予想していた唯姉さんが能力を使用せずにここまでの展開を予測して造さんをあの場所に派遣したからだろう
千奈「…聞いたついでにあなた方二人も私に能力を教えてくれませんか?」
さっきの説明でこっちの手は明かしてしまった。こっちとしても情報が欲しい
雪斗「ああ、教えるよ。俺のコードは『Code;13』だ。名前は『ツクヨミ』…能力は『切ったものの寿命を切り取る』簡単に言うならば殺す能力だ」
一色「私は、『Code;12』のコードマン、名前は『シュメル』。…能力も言わないと駄目?」
?何故そこで躊躇するんだろう
千奈「出来ればお願いします」
英二「ごめん、千奈ちゃん。一色ちゃんの能力はちょっと言いづらいものなんだ。だから、ちょっと言うのはまたの機会にしてあげて欲しい」
造さんが間に割って入る
…はたして話したく無い能力とは、なんだろうか…
まあいっか。女子に秘密は付き物だし
千奈「いつかは絶対に教えてね」
一色「う、うん…そのときが来たら幻滅しないでね?」
千奈「幻滅するほどなの!?」
雪斗「いやー、まあ…アレはな…」
英二「…」
あはは、と言わんばかりの苦笑いを見せる
俄然興味が湧く…が、まあとりあえずは、その時の『楽しみ』にしておこう
英二「ところで、千奈ちゃんはコードの数字について何か知ってるかい?」
千奈「ん?何かあるんですか?気にはなってましたが…」
私のは7。唯姉さんは10。造さんは16で上原さんは13で弓鶴さんは12…いったい…?
英二「その数字はこれに関係してるんだ」
細長い札型のトランプのようなものを出す
千奈「タロットカードですか…」
そう、握られたソレはタロットカードだった
造さんは裏を上にして机の真ん中に置く
英二「まずは、千奈ちゃんからね。『No.07 戦車』だね
柊館長は『No.10 運命の歯車』で
僕は『No.16 塔』
上原君は『No.13 死神』
一色ちゃんは『No.12 吊るされた人』
だね。ちなみに、各数字へのあり方として…
No.07は『騎馬操りし者』
No.10は『運命に身を任せし者』
No.16は『聳え立つ者』
No.13は『死を司る者』
No.12は『罪により死する者』
これは皆のあり方だ。覆すかどうかは各々がどう生きるかだよ」
一枚ずつ上から捲りながら説明をしてくれた
…『騎馬操りし者』…私はいったいどういう風に生きるんだろうか…
まずは私自身、変わらないといけない。と心に誓う
【柊家別荘】
私と弓鶴さんは、二人に買い出しを頼まれる
とりあえず近くのコンビニに飲み物を欲しいと頼まれた
ここから徒歩5分にあるらしい。弓鶴さんに付いていく
他愛もないような会話をしていると、すぐ近くの路地で二人の警察官に職質を受けた
先輩?警察官「お嬢さん達…ちょっといいかい?」
後輩?警察官「こんな時間にどこ行くの?」
話をしようと少し前に出すが、弓鶴さんは手で制止する
一色「ちょっと買い物です。冷蔵庫に何も無かったものでして、明日の弁当に詰めるお惣菜や、冷凍食品を買いに行こうかと思っています」
なるほど。確かに、無難な選択ね
先輩?警察官「ああ、そうなの?それじゃあ、夜道に気を付けてねー。色々ヤバイ奴多いしね」
後輩らしき警察官は先輩らしき警察官を見て、ゆっくりこっちをみて微笑む
後輩?警察官「それじゃあ、気を付けてね。後、あんまり夜に出歩かないようにね?」
一色「はい、ありがとうございます」
二人で頭を下げると、警察官の二人組は、ゆっくり立ち去る
千奈「ごめん、ありがとう」
一色「いやいや、大丈夫だよ。ああいうのは、ソレっぽい理由ならば立ち去るからね」
それにしては、少し立ち去るには早い気がする…
千奈「デバイスの電源入れて良い?」
デバイスを取り出す
一色「良いけど、さっきの二人組なら気にしなくて良いよ?」
千奈「え?」
一色「一応、保険はかけてあるからね」
…?
【路地:警察官】
後輩「ちょっと!先輩、何で引き下がったんすか!」
納得いかないのか、後輩が声を荒げる
先輩「良いんだよ。あんなもんでも、相手を理解するには充分なんだからよ」
先輩警察官は電子タバコを点ける
先輩「限りなくクロだ。だが、物証も無けりゃ、事件方法もわからねぇ。有るのは植物人間になった被害者だけ…」
ハァと息を吐くと、吐いた息が白い線となって空に昇る
後輩「ですが、この時間帯にあの世代の子が出歩くのは異常ですよ!」
はいはい、わかったわかった。と言わんばかりの苦い顔で後輩をあしらう
先輩「職質が関の山なのさ。それに…」
先輩、後輩「「刑事の勘が働いた」」
後輩「でしょ…」
先輩警察官が面食らった顔をする
ニヤッと笑って、肩を組んでくる
先輩「わかってきたじゃねーか!今日は呑み行くか!」
後輩「ちょっと先輩!俺は酒飲めませんよ!」
先輩「あーん?俺の酒が呑めねえってかー?ガハハッ!」
先輩が豪快に笑う。満更でもない後輩は先輩に連れられて路地を後にする…
【コンビニ帰り:一色、千奈】
一色「…うん、大丈夫そうだね」
千奈「もしかして、さっき言いにくかった能力が感知してるの?」
一色「うーん、正確には能力の副産物かな?」
…まだ弓鶴さんの能力を割り出すには、ちょっと無理かな?
結局何も無いまま、私たちはアジトに戻った…
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