責任を取る理由を作らせてくれよな〜
――しばし後
「あ痛テテテテ!」
イモムシを大八車に積み込んだ後、アーミルとエスリーンに手伝ってもらい、皮膚に張り付いた服やマントを引き剥がす。
ナンとか服を脱ぐコトが出来たワケだが……。
う〜む、こりゃダメだな。無理やり引っぺがしたせーで布地がボロボロになっちまった。もう捨てにゃいかんか。
まー、予備はあるから着替えりゃいーケド。
って、肌が赤くなっちまったよ。ヒリヒリしてるし。また椿油塗っとこ。
後は……髪か。
カチカチになってかなりパンクなアリサマだ。
コレをどうにかするには、切らにゃあかんか。下手すりゃ五分刈り? ソレは嫌だな……。
まぁ、その辺は後で考えるとして、だ。
まずは一匹捕らえたな。
コレである程度コツは掴めたかな。
「ちょっと! はやく服着てよ!」
真っ赤な顔のエスリーンに服を投げつけられる。パンツ一丁だったか。
もっと見てもいいんだぜ? って、キモいかそりゃ。
そして場所を変えつつ三度。
巨大イモムシを計四匹捕らえる事が出来た。
粘液を食らう事もなく、無事捕獲完了だ。
さて、今日はこんなところか。
まだ日は高いが、リシュートに帰るにも時間がかかる。そろそろ潮時だろう。
――リシュート北門
夕日に照らされる中、俺達は街へと帰り着いた。
手続きを終え、街へと入る。
衛兵の一人が荷物を調べようと覆いを捲り上げ、同僚共々パニックを起こすというアクシデントはあったが……
俺のせいじゃねェよ? 止めとけって言ったのにさ〜。
――街中
まずは一旦“祈りの小径亭”へと向かい、荷車を下ろす。
そしてラクダを預けに行かなきゃならん。
「僕が行くからいいよ」
とアーミル入ったが、そーいうワケにもいかんだろう。
俺達三人は連れ立って畜産ギルドへと向かった。
その間、ラクダの扱い方を教わる。
そして試しにちっと手綱を引かせてもらう。が……ツバ引っ掛けられちまったぜチクショウ。
やっぱしシロウトじゃ扱えんか〜。
初心者だし、まずはウマとかからだな。
つか、着たばかりの服を洗濯せにゃならんというね……。
そしてラクダを預けた後は宿に戻り……
「あら? エスリーンちゃんじゃない? あと、ソースケ君も」
聞き覚えのある声。
そこにいたのは、普段着を着たトゥラミシュ。正直、会いたくなかった相手だ。つか、神殿近辺に行かなきゃいいと思ってたが……計算外だ。
「トゥラミシュさん、お久しぶりです」
そんな事情を知らないエスリーンは素直に挨拶を返す。
「どうしたの? ソースケ君。ヘンな顔して」
おっと、警戒したのを見咎められた?
「いや……普段着のトゥラミシュさんは初めてだったので、ちっと見とれてしまいましアイテテ」
エスリーンにツネられる。
いやリラだな、コレ。上手いことフォローしてくれたか。ヨシ、誤魔化しは完璧だ。
が、ちと力入れすぎじゃね?
『つい、ね。すまない』
とか言ってやがるが……
「上手ね。ところで、その方は?」
「はい。“アルタワール傭兵斡旋所”のアーミルと申します」
……あ、ちとマズったかも。
「これはご丁寧に。私はトゥラミシュ。バフティアール神殿に仕える尼僧です」
そして彼女は俺達の方へ顔を向ける。
「ところで、二人はサフリシャントへ行ったと聞いているのだけど……」
やっぱし聞いてたか。
「あ〜、最初はそのつもりだったんですが、先立つものが要りまして……もうちょいアルタワールで働こうかな、と」
「そうだったの……」
彼女は何か言おうとし、口を閉ざした。
「ところで、こっちにはいつまでいるの?」
「えっと……今受けてる仕事は食材の調達なんですが……」
荷車を示した。
「とりあえずアレが一杯になったら戻ろうかと思ってます」
「そう……もし時間があれば、神殿にも顔を出してね」
彼女はそう言うと、にっこりと微笑んだ。
う〜ん、取り越し苦労だった?
と、その直後、彼女はアーミルの顔を見た。が、それは一瞬の事だった。
気がつくと彼女は踵を返し、雑踏の中へ去って行った。
今……彼女の瞳が怪しく輝いた様な気がしたんだが。気のせいか? いや……
「あぁ……綺麗な人だ」
って、アーミルよ。オマイは彼女がいるんじゃねェんかい。
……思わずチョップでツッこんじまったい。
――祈りの小径亭
俺達は用意された湯で身体を洗うと、食堂へと向かった。
結局髪はどーにもならんかった。マンガの主人公にありがちな、毛先がはねたよーな髪型のまンまである。とりあえずバンダナ巻いてごまかしてるが、いずれナンとかせにゃいかんか。
エスリーンとリラは相変わらずである。
リラも慣れてくれりゃーいーんだが。
で、夕食だ。
今日のメインデッシュは大サソリのシチューだ。昨日獲ったヤツはわりかしデカいだけあって、まだまだ肉は残っている。
後は、春巻きっぽいのや羊肉入りの饅頭っぽいのが出た。
今日はちっと中華風?
そーいやラーメン食いたいな。持ってきた本には、小麦粉でウドンとか作る方法載ってたケドさ。ちっと料理習って作ってみるか?
――食後
相変わらずアーミルは店主夫妻と料理談議に花を咲かせている。
多分俺達に気を使ってくれてるんだろーな。遠慮せんでもいーのに。
ともあれ、好都合だ。話しておかなきゃならねェコトがあるしな。
「なぁ、トゥラミシュさんの件だが……」
「……どうしたの?」
「ちょっと話しにくいんだけどさ……」
名前を口にはしたものの、どこまで話すべきか?
『実はな……』
俺がためらってる間に、リラがあっさり話しよった。
「そんな!? でも、あの時は……」
ちょっ、いきなり悲しそーなカオすんなよエスリーン。俺がヒドいコト言ったみたいじゃねーか。
「……わかったわ。もしそうなったら、覚悟を決めないといけないわね」
いや、だからさ……
「ソースケ君? ちゃんと責任はとらないとダメよ?」
と、ティシアさん。
ナンか誤解されてる!?
「人をこんな身体にしておいて……ひどい話よ」
え、エスリーン、何を!? って、リラか!? リラだな貴様! ……って、ハラを撫でんな!
「式挙げるのなら、いい場所紹介してあげるわよ?」
あー、もう分かったって。ケド、その前にその責任を取る理由を作らせてくれよな〜。




