もしかしてイナカモン扱いされた!?
――祈りの小径亭
エスリーンと朝食をとったのち、俺達は市場に面した神殿へと向かうことにした。
朝早くから賑わう大通りを連れ立って歩く。
「朝からずいぶん賑わってるな。アルタワールもそーだったけど、ここはそれよりも上だ」
「そりゃね。この辺りじゃ一番の交易都市だもん。ところでさ、ソースケって……」
「な、何?」
べ、別に今日は胸とか触ってねぇゾ。リラがいたしな。
「前から思ってたけど、いろんな事詳しいわりには、このあたりの事情とか知らないよね。どこの出身?」
「えっと、それは……」
さて、ドコまで話すべきか。騎士団連中以外にも、異界人を嫌ってるってヤツもいるらしーしナ。エスリーンがそうじゃないっていう保証はねェ。
特に姫巫女、女神の代理人の候補者なワケだしな。
「あっ……ゴメン。話したくなければ、いいよ。その……都会とかに出ると、出身地隠したがる人もいるし……」
へ? って、もしかしてイナカモン扱いされた!?
いやまー、そっちの方が都合いーかもしれんケド。いーかもしれんケドさ……。
正直に話すべきか、イナカモン扱いに甘んじるべきか……。まぁイイや。リラに相談してみるか……。
――神殿
俺達は市場に面した青タイルの神殿へとやってきた。
正式名、バフティアール神殿。一千年前の魔王戦役時代の司祭にちなんだ名だそーな。ミーラーン・ウルスの墓所も、このなかにあるらしい。
さて、ハリムのおっさんの知り合いのナースィルとかいう司祭はいるんだろーか? アポ取ってないしな。つか、この世界にそーいう習慣があるんか知らんケド……。
まぁ、今日明日中には会えるだろう。多分。
俺達は、神殿の入り口に、鳥居のよーに立つ二本の柱の間を通ると、その敷地に足を踏み入れる。
神殿の前の広場は礼拝に訪れる人たちが行き交い、賑わっていた。
そして巨大なアーチ状の門をくぐって神殿へと入った。
大理石か何かの壁には様々な彫刻が施してある。神話の一場面とかかな?
まぁ、その辺はいずれ。
とりあえず神殿中央の広間へ行ってみる。ここでは、礼拝や司祭による説法などが行われているそーだ。
多分神殿関係者もそこにいるだろーから、ナースィルってヒトのコトも聞いてみるか。
と、その時……
「エスリーンちゃんじゃない?」
一人の尼僧から声をかけられる。
「トゥラミシュさん……」
「へ? 知り合い?」
「ええ。村の神殿にいた頃にね。まさかこの街で会えるとは思わなかったわ」
「ふーん」
ケッコー美人だ。年は……二十代後半から三十代半ば? ケド、もっと老成した雰囲気がある。まぁ、尼僧だからかねェ?
「そういえば、塔で何かあった様ね。聖堂騎士団までやってくるし……」
「ええ、実は……」
エスリーンが彼女に事情を説明する。と、トゥラミシュと呼ばれた女性は彼女を抱きしめた。
「辛かったでしょ?」
「ええ……」
ヒシと抱き合う美人と美少女。なかなかイイ光景である。
あっ、そーだ。ちとステイタス覗かしてもらおうっと。
ヘヘっ、ほとんどムサいオッサンのばっかしか見てねェからな〜。ステイタスといっても美人のはコーフンする。あ……エスリーンのも見たっけ。
まっ、ソレはソレだ。
どれどれ……
――――
名前 : トゥラミシュ 性別 : 女 種族 : 人間 経験レベル : - 身長 : 165cm 体重 : 51kg
体力度 : 11 耐久度 : 14 器用度 : 14 敏捷度 : 16 幸運度 : 14
精神力 : 16 精神耐久度 : 15 知性度 : 13 知恵 : 15 魅力度 : 14
HP : 25 / 25 MP : 31 / 31
攻撃修正 : +4 回避修正 : +7 速度 : 速 魔法修正 : +6 魔防修正 : +9
スキル : 短剣術3 黒魔法5 神聖魔法6 呪術4 **** 礼儀作法5
所持金 : 14015 経験点 : -
武器 : 短剣 防具 : 布の服 装備 : 服 聖印 呪具 魔道石
言語 : トゥラーン語3 レマウス語1 ゼルゲト語2 ソアン語1 アトラス語1
――――
……!
ナンだ、この人!?
年の割には、能力値と各スキルのレベルが異常に高い。黒魔術もかなりの高レベルだ。呪術まで持ってやがる。どーいうコト?
まぁ、そーいう天才的なヒトもいるんだろうケドさ。
ちと後で、リラに確認しよう。
にしても、バグってる項目はナニ? ナンか秘密でもあるん?
が、まずは目的を果たさにゃならん。
いや……この際、ハナシを聞くのはこのヒトでもいーのかもしれんナ。美人だし。
「なぁ、エスリーン」
とりあえず、声をかけて見る。
「あ……ゴメン」
彼女は慌てて身を離した。
「お友達?」
彼女は俺を身、エスリーンに問う。
「えっと……知り合いというか……」
カレシとかまでは期待せんケド、せめて友達とでも言ってくれよ。
まー、いいか。
「ソウスケと申します。アルタワールで傭兵などやっております」
“など”の方がメインだけどな〜。
「傭兵?」
トゥラミシュは驚いた様に俺を見る。
『その若さで……』っていうカンジじゃねーな。どっちかっつーと『この頼りないのが?』っぽい?
「ええ。彼女の護衛ってコトで」
「そう……。どちらのご出身?」
あっ……反応に困って当たり障りのない話題に切り替えやがったな。
ケド、コレはコレで困った質問だ。どう答えたモンか……。
「ソースケは、その……遠い国の出身で……」
かわってエスリーンが答える。
「あら、そうなの。あなたも大変ねェ」
「ええ、まぁ……」
おおう。イナカモン確定しちまったゼ。まぁ、この設定のほーがメンドくさくなくて良い?
「そういえば……エスリーン、今あなたはどこで暮らしているの?」
……ちっと待て。この人に話して良いんかいな?
チラとエスリーンに目配せ。分かってくれるといーな。
「はい。この辺りの宿を、転々と……」
おっ、理解してくれた!?
「そう……もし困ったときは、私に頼りなさいね」
「わかりました。お願いします」
エスリーンはそう言って彼女と別れ……
あ、そーいえば、肝心のコトは聞けんかったな。
まっ、ソレはナースィルとかいうヒトに聞きゃいーか。
人物、設定など
・トゥラミシュ
バフティアール神殿に務める尼僧。かつてはティフレス村の神殿にいた事もある。エスリーンの知人。
・バフティアール神殿
リシュートの市場に面して建てられた神殿。




