おい、まさか!
――地下室
俺の吐息。
そしてトゥラミシュの喘ぎ。
軋むベッドの音。
俺はなんとも言えぬ快楽の中にいた。
トゥラミシュの柔らかな身体をかき抱き、幾度も、幾度も……
彼女と身体を重ねるたびに奥底から“力”が湧いてくる様だ。
それはもしかしたら、先刻のアーミルの様になりつつあるのかもしれんな。
そういえばこれは、ホットスポットとリンクした時の感覚と似ているのかもしれねェ。
しかし違う点といえばリンクの場合は“力”が泉の様に湧き出してくるのに対し、彼女との交合では、ポンプで無理やり送り込まれてくる様だ。そして彼女はこの部屋のすぐ近くにあると思われる魔力溜まりから力を吸い上げているらしい。
そういえば、思い出した。
あの柱の中を落下し、俺が気を失う直前に、何か強い魔力を感じたな。
おそらくその“質”あるいは“波長”は、彼女から送り込まれてくるものと似ている。
もしかしてここは天蛇の塔の地下で、俺はその魔力黙りの近くに落下したのだろうか?
じゃあ、あの空間は一体何だったんだ?
そしてその魔力溜まりとホットスポットの関係はなんだ?
魔力の“質”が微妙に違うというコトは、別物か? いや……似てはいるんだ。似ては……。
俺は頭の片隅で考えを巡らしつつも、彼女との行為に没頭していった。
…………。
どれほどの時間が経ったのだろうか?
廊下が騒がしい。
しかし俺は、意識の片隅でそれを感知しつつも、彼女との行為に没頭していた。
一方で冷静に状況を観察しつつ、もう一方では熱に浮かされた様に彼女を求めている。
どーいうワケか頭と身体が上手く連携せん。
ナンっつーの? 本能が勝手に身体を動かしてて、理性がそれを外から観察してるってカンジ?
まー、俺はナニもせんでも気持ちイイからいーケド。
とはいえ……そろそろヤバいかもしれん。
俺の中の魔力が飽和しつつある気がする。
つか、彼女から送り込まれる魔力……その中には俺の魔力も含まれている様だ。
俺の魔力が彼女に吸収され、それが増幅されて送り返されている……そんな感じだ。
早いところナンかせんと、このままじゃ俺が爆発しちまいそーだ。
ケド……もしかして、手遅れ?
身体の自由がきかん。もはや俺の理性は、暴れ馬状態の本能をコントロール出来なくなりつつある。クソッ、このままンじゃ……
「何すんのよ! 離しなさい!」
廊下からの女の声。聞き覚えがあるな。
……って、エスリーンんんっ!?
ちょっ、ヤバす。今来られたら……
血の気がひいていく。
そして、俺の望みもムナしく、彼女はこの部屋まで来ちまったよーだ。
扉の向こうに現れる影。
あー、来ちまったよ。オワタ……
脳内でorz。
いや……見える人影は三つだ。
エスリーンと、その左右で彼女を拘束する聖堂騎士。
彼女の腕を拘束するのは、サムエルとかゆーオッサンと、もうちょい若いヤツ。
そしてエスリーンの服は数カ所切り裂かれ、また破けており、かなり際どいところが見えている。
って、まさか……
いや、無いか。
エスリーンは半ギレ状態で元気一杯。
一方、両脇の二人は焦点を失った目でこちらを眺めている。そして……その腹やら首のあたりから顔を覗かせる、コウカイヒルもどき。
あー、アレに寄生されちまったか。しかも脳までやられてコントロールされてるっぽい?
俺が柱の中の立坑に落ちた後、ヤツの体内から這い出たアレにやられちまったのか。
まー、そんなトコだろーナ。
そこにいるのは二人だけだな。っつーコトは、こいつら除いてここに来た騎士は全滅したんかねェ?
俺にとっちゃ、顔を知ってる騎士達がいなくなるってのは、いいコトではあるんだが……
いや、いい。
それよりも、だ。
エスリーンの目が、ベッドの上の俺達を捉えた。彼女の顔がこわばる。
「な……ナニしてんのよ、アンタ! 誰よ、その女!」
ブチキレるエスリーン。あ……俺死んだ?
『全く、君というヤツは。目を離すとすぐにコレだ』
つかリラよ。お前さんがそれ言うか。
「ふふ……来たのね、エスリーン」
トゥラミシュがエスリーンを振り返り、艶然と笑った。
「ソースケに何してんのよ、アンタ! ……って、そんな、トゥラミシュさん!?」
驚愕するエスリーン。
まー、驚くよな。あの清楚なシスターがこんなコトしてるなんてさ。
「そんな……トゥラミシュさんとソースケが、そんな関係だったなんて……」
目に見えて落ち込むエスリーン。目尻に涙まで浮かべてら。
ショックを受けてるっつーコトは、俺を憎からず思ってくれてるとゆーコトでいーんかな?
が、しかし……
「……そうよね。私ってこんなんだから、女としての魅力が無いのよね」
なにやら呟いてやがる。つか、ナンか不穏なドス黒いオーラが……。
『すまない、ソースケ。万一の時は覚悟しておいくれ。私ではどうにもならん』
ちょっ、リラよ。そりゃないぜ〜。
「ふふっ……あなた達だけお預けってのもひどい話よね。少し楽しませてあげなさい」
と、騎士二人が動いた。
エスリーンの服に手をかけ、引き裂く。
おい、まさか!
「い、嫌〜〜!」
エスリーンの悲鳴が部屋中に響き渡った。




