そんな、バカな!
「アンタが、まさか!」
俺の叫びに、目が覚める。
ン? 俺は一体どーなってんだ?
気がつけば、どこともしれん薄暗い場所で寝転がって……ドコだ、ココ?
身体を起こして周りを見回し……って、アレ? 動けん。
ちょっ、なんでや!
何やら手首足首に何かハマってるし。まさか捕まっちまった?
って、しかも服着てねぇ!?
こりゃ完全に捕まっちまったか。やっぱ聖堂騎士団の連中?
うーむ、このままじゃ俺どーなるんだろーな。
魔女狩りとかやってた連中の同類だろ? となると、拷問にかけられた挙句に町の広場で火炙りとか?
うっわ、サイアクだ。
こりゃ何としてでも脱出せんと。
「ふんっ!」
両手両足に力を込め……
あれ? 外れん。ちょっ……筋力20越えで外せんとか、どんな強力な枷なんだよ! もしかしたら、猛獣を拘束するための枷なんかな? どーやらビミョーに魔力を帯びてるっぽいし。
さて、どーする?
でも、もう少し力が強けりゃ行けそーナンだよな。枷は鉄っぽいけど下は木の板みたいだし。
おっと、そーいえば。
一応レベルアップしたか。さて……
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名前 : 仁木壮介 性別 : 男 種族 : 人間 経験レベル : 12 身長 : 166.5cm 体重 : 53kg
体力度 : 30 耐久度 : 22 器用度 : 26 敏捷度 : 23 幸運度 : 20
精神力 : 20 精神耐久度 : 19/20 知性度 : 20 知恵 : 20 魅力度 : 20
HP : 58 / 64 MP : 31 / 51 / 52
攻撃修正 : +52 回避修正 : +45 速度 : 速 魔法修正 : +42 魔防修正 : +37 / 38
スキル : 剣術10 槍術1 斧術1 投擲術2 格闘3 黒魔術3 神聖魔法3 危険感知 2 暗器術 1
所持金 : 0 経験点 :8242
武器 : なし 防具 : なし
装備 : なし 所持品 : なし
言語 : トゥラーン語2 ゼルゲト語1 ソアン語1 アトラス語1
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とりあえずこんなトコロか。
まずは体力を30に。オーガーとかそれぐらいの筋力だ。
まー後は敏捷と魅力度に割り振り。脱出するには敏捷度と器用度がモノをいうだろーしね。魅力度は役に立つかワカランが、とりあえず。
そして剣術は待望のレベル10。“剣聖”を名乗ってもイイかもね〜。
……誰も信用してくれんか。まー、実績が無いとダメだよね。
それはともかく、とっとと脱出だ。
この枷をぶっ壊さにゃな。
さて、深呼吸。
そして精神を統一して……
「フン!」
力を込めると、両手の枷が引っこ抜けた。
おっしゃ。
次は脚だ。
「おりゃっ!」
……成功。
音聞いた敵が来んウチに、さっさと……
いや、その前に着るものだ。
周囲を見回す。
が、目ぼしいものはない。
ま、コレくらい?
板の上に敷かれていた布をひっぺがし、腰に巻く。
素っ裸よりゃマシだな。
まー、脱出後はどっかで着るモノ調達せにゃならんが。その前にエスリーンが来てくれりゃいーんだケドね。
その上で、両手両足の枷を外さんとな。このまま街に行ったら逃亡奴隷扱いにされかねんし。かなり変形しちまってるので、もーちょいいじればナンとかなるかな?
さて……まずは脱出だ。
部屋を見回す。
ここは石造りの部屋。窓はない。光源は、と上を見ると、天井に取り付けてある小さな魔導石がかすかに発光しているだけだ。何やら湿気が多いところからして、地下か。
地下牢ってヤツかねェ?
おっと、扉があるな。
慎重に近づく。
鉄製の、重厚な扉だ。
とりあえず、鍵とかの有無を調べんとね。
じゃあ……
「“識別”!」
……ふむ。鍵もワナもなし、と。こんなに無用心でいーんかね?
まー、あの枷から脱出できるよーな人間なんてほとんどいねェから、コレでも問題なかったのかもしれんケド。
まー、気になるコトといえば、呪文の行使の際に、少々魔力が乱れるぐらいか。この枷のせいかねェ?
慎重にノブを回す。そして音を立てない様、ゆっくりと扉を開いた。
……おk。
扉の向こうは廊下だ。その両側にはいくつかの鉄の扉が並んでいた。
もしかして、それらの扉の向こうには、俺と同じよーに捕らえられたヒトがいるんかな?
もしそーなら助けたいが、今の俺じゃムリだろうな。
まずは脱出し、エスリーンと合流だ。救出はそれからの方がいいナ。
いや……アーミルもココに捕らえられてた場合、助けにゃならんか。知り合いを見捨てるワケにはいかんだろう。
廊下に出、気配を探りつつ慎重に歩を進める。
ふむ……俺以外の気配は感じんな。幸か不幸か、捕らえられてるのは俺だけか。
じゃあ、心置きなく脱出できるか。
とりあえず、出口を探さんと。
指先を舐め、かざす。
空気の動きをこれで感知するってワケだ。
……おっと。
こっちの方から微妙な風があるよーだ。
まずは風上へ行ってみるか。
足音を忍ばせ、ゆっくりと歩く。
う〜む、足が冷たい。
まー、ガマンだ。耐えられんってほどじゃない。
それよりも、脱出した後だな。今は何時かワカラんが、真昼間の砂漠の地面はとんでもなく熱いだろう。
……エスリーンが来てくれりゃ、どーにかなるか?
ま、ともかくこっから脱出せんとね。
……ン?
何か声が聞こえるな。
さて、どーすべ? 敵と遭遇する可能性が高いか。
とりあえず、いざ隠れる場所を確保してから近づいてみるか?
まずは、近い扉を……
……アカン。
この扉からはわずかに明かりが漏れていた。先刻の声はこの向こうからだ。
引き返すか? いや待て。とりあえず魔法で声の主を拘束し、出口まで案内させるか? 服も調達できるかもしれんしな。
よし、突入のタイミングを図るか。
“識別”をかけて見るが、鍵もワナもない。
じゃあ、行くか?
扉に手をかける。
そして耳を当て、中の様子を……
……ン? ナンじゃこりゃ。
何やら女の喘ぐ様な声。そして男の唸る様な……
まさか、拷問?
いや……もしかしてこれって、女と男の……。
そっと扉を開いた。
その声がはっきりと聞こえる。
ってコレ、やっぱしアノの声じゃねーかよ!
更に扉を開く。
中の様子がうかがえる。
いくつかの調度品が置かれているのが見える。どうやらここは牢獄の類では無いようだ。
部屋の中央あたりには立派な机が置かれている。そしてその上に積まれているのは魔導書か。
ふむ……もしかして、以前この塔にいたとかいう呪術師ロウツェンの隠し部屋?
にしても、声は……
と、机の向こうにベッドが見える。
その上には絡み合う、男女の姿。
さて、どんなヤツだ?
興味本位で視線を向け……
……ヘ? どゆコト?
ちょっ……そんな、バカな!




