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イーリスの箱庭  作者: うのざき
イスキオス鉱山
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26/28

7

アイリスが先頭に立ち慎重に一歩ずつ進んでいく。

じわじわ進んでいくとカーラがピクリと肩を揺らした。

「わかった。敵は複数。おそらく岩竜蜥蜴ロックリザード探索蝙蝠シーカーバッド。ただし、今までの個体よりも強そうだ」

カーラの言葉に一向に緊張感が走る。

「お互い無茶はしないように。命の危険を感じたら撤退しましょう」

「オッケー。命失くしてまで見たいもんじゃないからな」

「はい、わかりました」


足をまた進めていく。開けた場所を視認できた頃カーラが鋭く叫ぶ。

「くるぞ!」

「お任せください!」

カーラの声と同時にアイリスが飛び出していく。

アイリスが暗闇に消える前にラディが大きな光の玉を前方へ放つ。人間にとっては視界を得るための、薄暗い鉱山内に生息する魔物にとっては視界を奪うための光が一気に広がる。

アイリスが魔物の中心に降り立つと岩竜蜥蜴は巨大な尻尾を振り下ろす。探索蝙蝠も頭上を飛び回り小さな牙や爪を突き刺そうとする。防御魔法と回避魔法を交互に使い分けながらアイリスは魔物たちを翻弄していく。


グラフカは狙いをアイリスから外した岩竜蜥蜴を的確に狙っていく。鱗の硬度が高く一振りで首を落とせないと判断し、攻撃性能の高い尻尾を切り落とすことを優先する。グラフカを頭上から狙う探索蝙蝠たちはカーラの矢によって一撃で仕留められていく。


「でかいのいくぜ!」

魔力を最大まで練り上げラディは声を張り上げる。巨大な雷鳴が轟き魔物たちへ電流が走る。

痺れにより一瞬動きが鈍ったところへ続けざまに鋭い氷柱で鱗が傷付いていく。



アイリスが敵を引きつけるが、だんだんと混戦へとなっていった。

魔法を警戒したのか探索蝙蝠たちは執拗にラディを狙い始めた。魔力がだんだんと乱れ魔法の発動までの時間が延びていく。魔法だけで対処しきれなくなると腰の短剣を抜き対応していく。

ラディの魔法がなくなると大きく隙を作ることが難しくなりカーラの狙いがぶれ始める。一撃で仕留めていた探索蝙蝠を仕留めそこね、岩竜蜥蜴の鱗に矢が弾かれる。

グラフカもまた魔物の攻撃を防ぐばかりで攻撃に転じられなくなる。アイリスも数の減らない魔物に疲弊していく。


「数が多いなっ!」

「ごめんなさいこれ以上は引きつけるのも限界です!」

「くっ……!戦況を立て直すにも一旦下がりましょう!」

グラフカが剣を振り下ろしながら言うと元の一本道へとジリジリ下がっていく。

はじめに細い坑道まで下がり切ったカーラは魔力を練って矢に込める。

「そのまままっすぐこちらへ向かえ!避けようと思うな!」

近くまで来ていたアイリスに叫ぶ。そのまま三本の矢を同時に放つと矢は飛んでいくが、アイリスのことを避け探索蝙蝠や岩竜蜥蜴へと深く突き刺さった。

「ありがとうございます。ラディさんがこちらまで下がれるようにもう一度前に出ます。援護を頼めますか?」

「無論だ。これも使え」

カーラが手渡す小瓶の中身をアイリスは一気に飲み干す。

「さすがエルフの作る薬ですね。さて、もう一踏ん張りいきます!」


アイリスが短剣を振りながら魔法を放つラディの側まで一気に駆け寄る。

「あとで治療しますから、今は走れますか?」

細かな傷がいくつもできたラディは軽い口調で答える。

「こんなん全然ヘーキ。ありがとな!」

アイリスがラディの分まで防御魔法を駆使して攻撃を防いでいく。その隙にカーラと合流したラディは集中して魔力を練り上げた。

「グラフカ!避けろよ!!」

その言葉と同時に数多の氷柱が地面からせり出す。鋭い氷柱は岩竜蜥蜴の鱗を裂き探索蝙蝠を貫いた。

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