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棚の扉をそっと開ける。
中には手のひらに乗るほどのサイズとなった私のお気に入りたちが静かに鎮座していた。
誰しもが虚空を見つめ動かない。虹の雫によって運ばれた者たちだ。回収してきたのは全部で5人。
初めて作った小さな森の小屋に置いたフィリア。
次に星空を作った草原にティタとフェローの男女を置いた。
ここまでは試作の段階だったが人間らしい五感や感情を得ていく過程は興味深いものだった。
フィリアは私がまだ未熟だったこともあり、たった一人で世界に投げ出されどうすることもできない恐怖を魂に刻まれてしまった。どんな恵まれた場所においても才能を授けてもほとんど恐怖に打ち勝てず壊れてしまうことが多い。でも初めての世界に置いた子だから思い入れが強いのだ。
ティタは夢見がちて思い込みが激しい子。放っておいても自分の中で思いついたものが真実となっていく。フェローを近くに置くといつだって惹かれ合うのははじめに二人を一緒にしておいたからなのだろうか。
盗賊となったラディに目を向ける。好奇心旺盛で探究心が高い彼は虹の雫へ毎回必ず自らたどり着いている。私が世界へ降りていかなくてもここに戻ってきていることが一番多いのだ。どこぞの国の王子にしても貧民街においてみても、必ず自力で戻ってくるのは興味深い。
カーラには長寿種としてエルフの形にしてみた。今回はかなり早い段階で一旦回収してしまったが、どんな家族を用意しても冷静でどこか冷めた印象になっているのがおもしろい。魔物と心を通わせる力を持たせていることが良い方向へも悪い方向へも働いている。今回はティーグリという相棒と共に里の仲間に受け入れてもらえていたんだっけ。
時空から切り離されたこの場所、アサナシア。
ここは私が箱の中に小さな世界を作る場所。それからお気に入りたちを見つけて拾い上げ、何度も世界へ置いていく。この場所からただ傍観するもよし、私自身が世界へと降り立って旅するもよし。
この世界をどうするも自由だから。だから私も好きにしている。
虹の雫はお気に入りたちをこの場所へ呼び戻すための装置。潜在的に彼らは虹の雫を求めるようにできている。時に私が誘導してしまうこともあるけれど。
棚の中をひとつひとつ確認していると魔法陣が虹色に輝いた。
また一人、アステーリ帝国へ送っていた子が戻ってきたようだ。帝国に使える騎士団の一員であり、双刀使いとして今回は名を馳せ、 前線で戦い続けていたはずだ。
この男と話をしよう。騎士団の服を身につけたまま戻ってきた彼の記憶はまだそのまま。話しやすいよう手のひらサイズだったのを近くの椅子に座らせられるように変える。
どうせなら向かい合って話そう。もう一脚の椅子とテーブルも用意する。
白い空間で白い椅子と白いテーブル。せっかくだからアステーリ帝国の紅茶と茶菓子も用意しよう。
どんな反応をするのだろう。私が誰だかわかるかな。反応が楽しみだ。




