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白い天井、白い壁、白い床、白い椅子に白いテーブル、白い棚。どこを見ても真っ白な空間。見渡す限りの白。
永遠にも一瞬にもなれる特別な空間。ここへ戻ってきたのは久しぶりだ。でも時空の流れからは切り離されているから私の体感で久しぶりなだけ。
この白い空間で異質な空間がある。美しく色づく大小様々な箱が空間にふよふよと浮いている。私の作った世界の一端たち。
先ほどまでいたのが深く美しい森の中にあるルルディオンの里だ。長寿として設定されたエルフたちが住まう里。お気に入りを取り戻しに行っていた。
ひとつの箱を覗き込むと指先に乗るほど小さく見える人々が懸命に動き回っている。この箱はガラノース王国だ。今も港にはいくつも商船が並んでいた。
この国では人知れず虹の雫が発動してからどのくらい経っているんだっけ。忘れてしまったが誰も気にしている様子はない。あの夜ラディが忍び込んだ王城もいつもと変わらず、市場は賑わい港は活気に満ちている。
本当に平和な国だ。争いが起こらず人々が平穏に暮らしていく国として作ったから、平和であるのが当たり前だが。
他の箱たちも覗いてみる。古代の強力な魔物が住まうサーナトス遺跡、ここにら魔物の素材、遺跡内に残る宝珠や魔導書などを求めて冒険者たちがやってくる。死と隣り合わせのダンジョンだ。それなりに鍛えられた人々しか来ることができない。
プリミーラ水郷は多くの水生植物があり、沢の中を歩いていく自然観光地になっている。アステーリ帝国の領地のひとつ。
アステーリ帝国は軍事国家として作り上げたので隣国との争いが絶えなず常に戦争をし領土争いを続けている。歴史の中で国境は安定したことがない。
どの箱の中も結局は私が作り上げた世界の一端でしかないからガラノース王国に戦争を起こすことも、ルルディオンの里を大都市に発展させることも、サーナトス遺跡を人間にはとても足の踏み入れることのできない不毛の地にすることもアステーリ帝国を衰退させることも容易ではある。
今のところそうする予定はひとつもないけれど。
ひとつひとつの箱を、世界をのんびり眺める。私の好きなように作り上げた世界だが、たくさんのものが生きていくうちに勝手に発展を繰り返している。
それがまた楽しいから観察をやめられないのだ。世界に不都合があればあとからどうにでもできるという自負があるから気軽にしていられるというのもある。
「さて、回収してきた子たちはどうかな」
しっかりと戸の閉まった棚に視線を移す。白い棚の中にお気に入りたちが待っているはずだ。




