幼少期8.5:にいにのせかい
本日は朝8時に第八話を投稿済みです。直接の繋がりはありませんが読んでない方は八話からどうぞ
レテウス君のちっちゃな冒険 短いです
(にいに?)
返事は返ってこない、外を見ればまだ昼だ
(にいにまだお昼寝?)
お外に出てみたい、にいにに怒られちゃうかな
にいにに教えてもらった部屋の使い方はレテウスに変化をもたらせた
部屋だけでこんなに凄いのだから小さな子供が外に興味を持つのも仕方がない
同時に誰も居ない世界を怖いとも思うのも仕方がない
扉の前に立つ、ドアノブに手を掛ければかろうじて回せる高さ勇気を出して回してみる
「あかない、にいに嘘ついた」
内側から鍵がかかっているだけなのだがそんな事は知らないレテウスは頬を膨らます
「やっぱり出ちゃいけない?う~」
そんな事を考えていたら背伸びをしていたせいでドアノブから手が滑って鍵に当たり
ガチャン
意図せず鍵が外れてしまう
もう一度回してみれば今度は開きドキドキとレテウスの胸は高鳴った少し開いたドアの隙間から周りを確認する
「だれかいる~?」
返事は返ってこない
思い切って外に出たレテウスはキョロキョロと周りを見る
でんき?いっぱい、ゆか石
廊下に蛍光灯が並び灰色の質素なリノリウムの床なのだがレテウスにとっては新鮮な景色だった
「みんなおなじ」
レテウスは怖くなる、壁に並んだ扉はすべて同じで一度離れてしまうとどれがにいにの部屋の扉だったか判らなくなりそうだったからだ
レテウスは一度部屋に戻って考え、もう一度出てきた時にはレテウスの右手には赤いガムテープが握られていた、ビリビリと音を立ててテープを伸ばすと
「にいにのへや!」
扉に貼り安心する
廊下の奥まで行き振り向いてにいにの部屋を確認
「よし」
廊下の奥にもテープを貼り階段を降りる、目につく所にテープを貼って玄関まで来た、部屋を出る時のドキドキと比べのにならない程レテウスの胸は高鳴る、夕日が差し込む一際大きくて透明なドアに近づく
「これも板なの?」
にいにの部屋の透明な板の窓もびっくりしたがこっちは更に大きかった
レテウスは怖がりながら扉を開けるぶわっと空気が流れ込み久しぶりの外を感じた、視界に広がる何処までも続く平らな一枚石の地面と石の塊で出来た建物に思わず扉の中へ戻る
にいにのせかいは少し冷たい
現代人の感覚ではどちらかと言えばレトロで古き良き町並みなのだが自然に囲まれた世界で生まれたレテウスには寒々しく映ったようだ、そうこうしている間に陽はあっという間に沈み、余計に寒さを増す町並みにレテウスは怖気尽き部屋へと帰ったのだった
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