幼少期9:黄金時代の終焉
レテウス君、祝四歳!なのですが…長くなりすぎましたごめんなさい
「それではレテウス様、今日からよろしくお願いいたします」
「はい、サンヴィル様」
「レテウス」
叔父上に睨まれた、あぁ、様付けしたからか
「ですが叔父上、仮にもサンヴィルさ…は弓の先生になるのですから敬称なしというのは気が引けます」
「まったく…口の減らぬ者に育ちおって」
育ったとはいってもまだ四歳になったばかりですよ叔父上
「それでしたらさん付けで勘弁していただけると助かります」
「ではサンヴィル先生でも良いですか?」
役職として呼ぶ分には他人に聞かれても大丈夫でしょ?
「構いませんよ」
「仕方有るまい」
あと叔父上は口数増やしたほうが良いと思う…格好いいけど
俺の狩りがバレたあとレテウス君が狩りをするのは身分的に問題ないのだが干し肉を献上したときに狩人の名も報告しなければならない献上の席にはお母様も居る…という事で名義を貸してくれる存在が必要になってしまったわけです
でもうちの氏族ってお金あるのかなとてもそうは見えないんだけど
そうそうあと四歳になったことでレーネ卒業!
正確にはレーネ+トゥルーズが履けるようになったんだけどね
しかしこうなると謎が深まる…アンガス兄上は俺を救ったときにタータンキルトを着ていたし叔父上もキルトを着ている、キルトが着られるようになったのは十六世紀以降だということを知っているから今まで考えていた十一~十三世紀頃という読みから外れてしまう…
「改めまして、サンヴィルと申します。生まれは二リヴィのヴェルカーブ島になります」
こっちの世界に来てからは何事も実地で座学したこと無いから地名だけ言われてもピンとこない、話し方も物腰もこの辺では見たことがない、キルトも着てないしもしかしたら外国の人なのかな?
「ではこちらも改めまして、エヴァン家サーロン氏族長が次男レテウスと申します。これからよろしくお願いしますサンヴィル先生」
「お話には聞いていましたがここまでとは…本当に賢い、まるで青年と話しているような感じですね、ディヴィッド殿が褒めまくるわけだ」
「褒めてない」
知り合いなのかな?空気感が赤の他人という感じじゃない
「では、まずはお手前を見たいのですが場所はここで?」
「家の裏手に行こう、レテウスお前はいつも通りでいい」
「はい」
という事は魔法は隠さなくて良いということか、まあ魔法無しではまともに射ることもできないから使うつもりだったけどお墨付きをいただけたのはありがたい
裏手に回るとクラウとソラスが遊んでいる
「あの…それ狼ですよね、聞いていないのですが」
「大丈夫ですよ。クラウ、ソラスおいで」
ハッハッと嬉しそうに走ってくる二頭と後ずさるサンヴィル
「まだ子供ですけど、ちゃんと言う事聞きますから安心して下さい」
「これで子供?」
妖狼を見たことのないサンヴィルからすれば立派な成獣見えるのも無理はない
「二人ともご挨拶して」
「「バフッ!」」
こんにちは!と言っているのだが今のところレテウス以外の人間には普通の鳴き声にしか聞こえていない、いつになったら両親のように人語を話すのかも不明だ
「これから先生に弓矢の腕を見せるから大人しくしてて」
「「クゥ」」
「ここまで従順とは…」
サンヴィルは驚きを隠せない
「先生、的はどうしましょう?」
「そうですね、ではあそこの切り株で良いでしょう、まずはいつも通りに撃ってみて下さい」
「はい」
弓矢を構え詠唱を始める
「マーハル・スペドゥール、ア・ウール・ア・ヴィス・ア・ギューラン・アン・チール」
(母なる空よ) (種を運びし風よ)
「ア・ハリベラ・ア・ハ・ア・リアーラグ・ア・フーラ・コール」
(全てを司りしカリヴェーラよ)
「ホイル・ニャルスト・ドント・サイエッド・ア・スグイル・ミー・ナム・ハンナハハ」
(脆弱なる我が放つ矢に力を貸し与え給え)
魔法の詠唱に関する仕組みも少しづつ解ってきた
兄上のメモには、母なるの後に『大地』よ『海』よ『空』よと続くがこれが大属性
大属性の中から何を使いたいかを選ぶ今回で言えば『空』から具体的な属性として『風』を選択し
女神カリヴェーラ様から力を貸していただく
これが一連の流れなのだが…長い
そこで大属性を予め一つに絞って詠唱してみたところ、魔力の消費を大きく抑えられた
デメリットは削った大属性の系統の魔法は混ぜることが出来ないし同時発動できない
『海』は『水』魔法を司るのだが『海』と『空』を詠唱に入れておけば『水+風』例えば高圧の水のカッターや霧の様な魔法を作り出せるし別々に魔法を出す事ができると言った具合だ
ほんと言うと日本語でも撃てるのだが人前でそんな事でもしようものなら、今度こそ魔物か妖精として捕まるだろう
とりあえず今は風だけで良いのだから他は省いて詠唱した訳だ
矢を放てば四歳児とは思えぬ速さで矢が切り株に突き刺さる
「なるほどこれは凄い」
「魔法に頼っているだけなので…」
照れ隠しというか魔法のお陰なのは事実、魔法がなければ刺さるどころか半分の距離も飛ばせない
「頼れるものを使うのは恥じる事ありません。むしろその歳でそこまで魔法を使えることに驚きです」
「でも基本が知りたいです」
「感心感心心意気は良いです。ですが貴方の歳では身体が持ちません、そうですね~後三年はそのまま魔法を使って撃ちましょう。ただし魔法無しでどれほどの力があるのかは時々確認して下さい」
七歳から本格的に戦士の修行が始まるんだっけ、それまでは魔法で補助していいってことなのかな
「それよりも魔力の方は何発まで持ちますか?」
「これくらいなら矢が尽きるまで撃っても問題有りません」
なるほどなるほどと言った感じで頷くサンヴィル先生、もっとスパルタというか激しいのを想像していたけどこっちの身の丈を考えてくれている辺り相当良い先生なんじゃなかろうか
「うちの甥はどうだ?」
叔父上も初めて見たはずだけどあまり驚いていないな、手放しで褒めろとまでは言わないけどもうちょっと褒めてくれても良いんだよ、その方がレテウス君も喜ぶし
「こいつぁは育てがいが有りそうですねフフフ」
なんか今黒い微笑みが見えたような…
「今日は森に入りますか?出来れば実際に狩っているところも見てみたい」
「どうだレテウス?」
「はい、問題有りません。ねっクラウ、ソラス」
「「バウッ」」
準備を整えソラスの背に乗って森に入る
先生も叔父上も言葉は発さない、狩りだからなのか俺の邪魔をしないためなのか、まあ両方なんだろうね
< ちち、十一時の方向、木の上 >
(解った)
方角の知らせ方は事前に教えてある、所謂戦争映画なんかで良く使われているやつだ
こういったとき声に出さずにコミュニケーションが出来るのもある種の武器だよね
狩りを終えるまで会話は一言もなく最高記録の五羽ゲット
「こんな感じです。何処を改善すればいいですか?」
「腕前については問題有りませんが…」
「はい」
「捧げ物を置きましょう」
これは自然や精霊への感謝かな?
「近場では有りますが、燕麦や干し肉も持ち歩いた方が良いです。クセを付けましょう」
遭難への対処
「山鳥は弱いと言われていますが鹿などの大型の獲物は鼻が効きます風下を意識できるように動きましょう」
概念すら無かった…
魔法の詠唱の内容には海・大地・空といった自然、それに女神様のカリヴェーラ様が含まれていることを考えれば捧げ物はしておいた方がというよりしないとまずいな
遭難したくてするやつは居ない、先生の言う通りクセを付けねば
風下か、某筋肉モリモリのマッチョマンになれと…いや冗談を言ってる場合じゃなかった、鳥は種類にも依るが比較的嗅覚は強くないんだっけ、他の獣を狩る事を想定していなかった必ずしも山鳥だけと遭遇するわけじゃない向こうがこっちを見つけることもある…とても重要
すごい良い先生だと思うのだけどもっと良い就職先が有りそうなもんだけど、なぜうちに来てくれたんだろうか?謎だ
翌日からは先生同伴の実地訓練、と言ってもやること自体は変わってない
「風の読み方は」
指に舌をつけて濡らし風向きを読む先生、真似してやってみるがこれが難しい、風魔法の応用でどうにかなりそうな気もするけど基礎は大切、万が一魔法が使えなくなった時ほど役に立つし、俺が消えてしまったらレテウス君が魔法を使えるとも限らないのだから、自力で出来る能力を養っておかねばならない
山々が赤く染まり収穫できるものがケールだけになった頃、山鳥の狩りをしていると一羽の大きな鷲が山に舞い降るのが見えた
「先生あれは…」
「あそこまで大きいのは私も初めてです」
< 父、あれ普通じゃない >
< 私たちと同じ >
そう言ってクラウとソラスが低く唸った
という事は妖精か精霊の類か…出来れば敵対したくないんだけど
「一羽ですか…不吉ですね」
「そうなのですか?」
「昔から一羽なら不幸を、番ならば幸福を運ぶと言い伝えられています」
「一羽なら仕留めたほうが良いのでしょうか?」
「仕留め損なうと更なる不幸を運ぶとも言いますし、しばらくは様子を見ましょう」
二人はどう思う?
< 私も様子を見た方が良いと思う >
< 俺も、だってあいつ飛べるし >
静観するしかないか
結局大きな鷲は幾日ものあいだ山に居座ったが悪さをするわけでもなく気がついたら居なくなっていた
雪もちらつく日が増え猟をするのも難しくなってきた頃、それでも先生の指導は続いていた
今は洞穴で休憩中
「本当にこの干し肉は美味しいですね」
「先生も作りますか?作り方教えますよ」
先生との会話にもだいぶ慣れてきた、クラウとソラスにおしくらまんじゅうされている俺は今まで感じていたことを思い切ってサンヴィル先生に聞いてみた。先生の生まれの二リヴィはやはり外国で今でこそ同盟関係にあるが古い時代にはアスピコットとの争いが絶えなかったのだそうだ
「なんで先生は海を超えてまでうちに来てくれたのですか?」
「二リヴィ王国本土からは確かに数日掛かる距離ですがヴェルカーブ島は小舟で行き来出来る眼と鼻の先の距離ですよ…ただし」
「ただし?」
「海流が優しくないので六マイル程の距離ですが案内人の腕が問われますね」
この世界と前いた世界の地図が同じという前提での考えだが、先生の生まれ故郷が何処か解ってしまった。現代はウイスキーが有名で牛肉や海藻を食べて育った羊肉が特産の島だ
「でも先生の腕なら他の氏族に使えた方が良かったのではないですか?」
「あはは、その歳でそこまで考えますか。たしかに若い頃はそうでしたし前のまでの仕事は傭兵をしてました」
「じゃあなんでです」
「妻が出来もうすぐ子も生まれます。戦に駆り出されるのが怖くなってしまったのですよ、幻滅しましたか?」
首を横に振る、でも奥さんが居るのは知らなかった…
「そんなときに領主付きの狩人の仕事という名目でこの仕事を見つけたのです。実際にはレテウス様の為に名義貸しでしたが」
「ごめんなさい」
「いやいや、むしろ謝りたいのはこちらです。家と牛まで与えられているのに育てがいのある弟子まで出来ました。南部に居た頃では考えられない程幸せですよ、感謝しています」
「南部ってそんなに怖い場所なのですか?」
「ここでも争いが無い訳ではありませんが精々家畜を巡っての氏族同士の小競り合い程度です、まあそれで滅ぶ氏族もいるので精々と言ってはいけないのでしょうけど、南部は帝国…ロマウバリウクに面していますから国対国の小競り合いになります」
小競り合いと言っても普通に殺し合い、規模もぜんぜん違うのだろう
「先生は魔法は使わないのですか?」
「使わないというのは語弊が有りますね使えないのですから」
「使えるかもしれないと言ったらどうします?」
毎日を共にし見てきた先生なら信用できるのではないか?
そんな気持ちがふつふつと湧いて口に出た
「実は僕、魔力が見えるんです。先生の身体からは魔力が漏れ出ています」
「たとえそうだったとしてもこの歳からでは…」
「お子さんが生まれるんですよね」
「それはそうですが…本気ですか?」
「本気ですよ」
俺が居なくなってもレテウス君を導いてくれる存在は強ければ強いほど良いが…強いだけじゃ駄目だレテウス君に忠誠を誓える程の人格者じゃなきゃ駄目なのだ
自分でもずるいと解っているが彼の奥さんと子供を利用させてもらう
早めに切り上げて山を降りると村の広場にエールの看板が出ていた
「エールハウスじゃなくて広場ですかこの時期に珍しいですね」
「そうですね、冬ごもり前の憂さ晴らしですかね」
去年はやらなかったと思うんだけど
「おうレテ坊!今帰りか」
「ただいまモルトおじさん、今日はどうしたの?お祭りじゃないよね」
「吟遊詩人が来たんだ、つってもロマウから来たフォクルクだがな」
久しぶりの吟遊詩人の来訪にモルトおじさんの顔も緩んでる、さてはそれにかこつけてエールが呑みたいだけだな
そしてチラチラと狩ってきた山鳥を見てる、今日は罠猟も含めると二十羽近く採れた…仕方ない
「じゃあ半分あげる、これだけあれば足りるよね?羽目外しすぎないようにね」
「さすがレテ坊、おう!みんな領主の息子お墨付きの差し入れだ!」
「おお~レテ坊ありがとよ!」
「全く、うちの男共は!子供に飯たかってちゃ大人の面目無いじゃないか」
「母ちゃん、そう言うなって」
ガハハと笑いが起きる、村は豊かではないけど活気があって好きだ。本当は氏族の直系としては咎めなきゃいけないんだけどついついお目溢ししちゃうくらい
「レテ坊お前も食いに来るんだろ?」
「うん、やることやったら来るよ、僕の分も食べ物残しといてね」
「おうよ、久しぶりの詩が聞けるってのにデイヴィッドは今日も本家で可哀想になぁ、待ってるから早く来いよ」
そうなのだ、叔父上はいつもにも増して最近忙しい、なんで忙しいのかは知らないけどたまにはゆっくり休んでほしいと心配になるほどだ
「ではこちらに置いておきますね」
「ありがとうございます」
玄関に山鳥を置いて先生と別れた、先生も奥さんと広場に行くのだろうか?まだ奥さんと会ったこと無いし見てみたいなぁ、そのためには早く燻製の準備を終わらせてしまおう
もう日課と化した燻製作業、今では自分でも捌くようになり目の前の鳥は肉にしか見えなくなっていた
灰も事前収集済みだから作業が早い、その分量が多くなっているわけだが…
「坊っちゃんだいぶ上達しましたね。後はこっちでやっておきますから詩を聴きに行ってらっしゃいまし」
「ありがとうベルテ、ベルテの分のお肉も貰ってくるからね」
エンタメらしいエンタメの無い村で楽しい事があるとすれば祭りか吟遊詩人、何度か見たことも有るが結局自分もモルトおじさんとあまり変わりない歌を聴くというより縁日の様な雰囲気が楽しいのだ
玄関を開け一歩踏み出したときだった
「ん?なんか…」
ぎゃーぎゃーと喧騒は聞こえるがなんか変だ
「殺せー!」
「逃がすなー」
物騒な声が耳に届く、喧嘩か?急いで広場に駆けつけると
「わ、悪かった!許してくれそんなつもりじゃなかったんだ!」
「じゃあどんなつもりだったんだ、言ってみろこの野郎!」
凄い剣幕が飛んでくるけどこの身長じゃ何が起こっているのか見えやしない
「レテウス様危険です」
「先生、一体何が起きてるんです?」
「これはフォクルクが悪いのですが村人たちを止められそうに有りません」
要領を得ないがどうやら追い詰められているのは吟遊詩人のようだ、一体何を謡えばここまで人を怒らせられるのか
「先生僕を肩に乗せて騒ぎの中心迄連れてってくれませんか」
「しかし…」
「僕じゃ頼りないかもしれませんが叔父上が居ない今はこれでも族長の息子なのです。それにクラウ!ソラス!」
大声で二人を呼べば村人たちをあっという間に押しのけ旧約聖書のモーセの様に道ができる
「これは心強いですね…」
俺を肩に乗せた先生が進み出すと村人たちは決まり悪そうに目を背ける
「モルトおじさん、これは何が原因?」
「助けて!助けてくれ」
先生の足にしがみついたフォクルクが蹴り払われた、先生も十分に怒っている
「そのクソ野郎が王が死んだなんて笑いながら謡いやがったんだ、どけレテ坊、そいつぶっ殺してやる」
「そうだ殺せ」
「そのクソみてぇな楽器に頭さしてロマウに送り返してやる」
「そうだ!」
鎮まりかけた村人たちの怒りが再度燃え上がる、怖い出来ることならみなかったことにしたい
でも
「先生魔法を使います。脅すだけです」
わずかに顎を沈ませた先生
この場合効果的なのは…『海』だけで良いか、小声で詠唱を開始する
「お、おい何だアレ」
「なんかヤバくねぇか…」
頭上に水球をイメージしてどんどん膨らませる、家一軒くらいか
「何してんだレテ坊、あぶねぇぞ」
さっきまで怒りに震えていたモルトの顔も青くなっていく
解放
広場は一瞬で大量の水に飲まれ村人たちが流される…
「レテウス様?」
ビチョビチョの先生に睨まれた、今度から『空』も入れて風魔法でバリア作ろう…
助けてと泣きわめいていたフォクルクも何が起きたのか解らず口をぽかんと開けて固まっている
「レテ坊何しやがる」
立ち上がったモルトだったが風が当たるだけで寒さでガタガタと身体を震わせている、他の村人も以下同文、もっというと僕らも震えてる
「事実を確認します。それまでこの男は勾留、気持ちは判りますが先ずは叔父上が帰ってくるまで我慢して下さい、叔父上が殺していいというのなら煮るなり焼くなり好きにしていいですから」
「そんな…助けてくれるんじゃ」
「我が国の王を愚弄しておいて五体満足で帰れるとでも?」
「ひぃ」
こいつはアホだ、今世の王がどれだけ慕われているのかも知らないのならそもそも吟遊詩人に向いていない、三十年続いている今の戦争無き安寧を作り上げた我らが王を愚弄したのだ
一時的に保留にしたのもこいつがロマウバリウク帝国の民だという理由だけだ
「叔父上の判断が下るまでです。今殺して犯罪者になるのは馬鹿らしいでしょ?胸を張って殺せる迄の辛抱ですよ」
我ながら酷いことを言ってる自覚はあるが村人を踏みとどまらせるにはこう言うしか無い
「わわわ…判ったたよ…」
ガタガタさせながら渋々承知してくれたモルトおじさん
「皆さんもくれぐれも早まらないでくださいね。どうせ殺せるんですから」
「そうだな、どうせ殺せるんなら…」
くしゅっ!寒い!早く終わらせたい
俺のくしゃみを皮切りにあちこちからくしゃみや咳が聞こえ始める
「レテウス!」
「坊っちゃん!」
シェーナさんと毛布を持ったベルテが走ってくる
「ほらほら今日はもう終いだよ、まったく…こんなちっちゃな子供に場を収めてもらってあんたら恥ずかしくないのかい!今日は片付けは良いから皆帰んな」
フォクルクは先生が家で勾留してくれることになりなんとかこの騒動を乗り切れた
そして俺はというと風邪で高熱を出し寝込んだ。ごめんねレテウス君
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