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私たちのピリオド 弱小氏族の次男坊に転生したら『妖精の取り替え子』認定喰らって即寒村送りにされたのにスローライフ出来ません  作者: くろすーおーばー
幼少期編

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8/15

幼少期8:干し肉の改良に挑みます!

更新の基本は火曜日と金曜日ですが余裕が出来たので日曜日ですが更新しました。

更に19:00には第8.5話「にいにのせかい」を予約投稿済みです

今回の様にイレギュラー更新の場合は曜日は不明ですが投稿時間は8:00か19:00になると思います

ヒュッ


風魔法を纏った矢が山鳥を捉えた

クラウが嬉しそうに走り出し山鳥を回収して戻ってくる

< ちち~!獲ってきた~ > 

「偉いぞクラウ」

(クラウえらい!)

< 兄者好きー! >

わしゃわしゃと首を掻いてやればご満悦だ

< 父さん! >

「どした?」

< なんでもない気の所為だったみたい >

はしゃぐクラウと落ち着いたソラス


話す言葉もしっかりしたものに変わり身体も既に大型犬並だが、親を知っている俺からするとまだ小さい


「もうそろそろ自分たちで狩ってみるか?」

狩った山鳥をクラウの身体に括りながら何気なく言ってみた

< いいの?やりたいやりたい! >

< クラウ落ち着いて、父さんがお肉括れないわ >

小学生の男子と女子みたいだ


実際自分で狩りをしてくれるように成れないと成人…成狼とは言えない


「お前達、狩りもだが仲良くやれてるか?」

< うん、大丈夫だよな? >

< 兄さんたち優しいし色んな事教えて貰ってるわ >


二人(二頭)は狩りに出ている時以外は羊たちを守る牧羊犬たちと一緒に行動させている、口でどんだけ大丈夫と言った所で村人に信用されるわけがない、だから一緒に行動して見てもらおうと思ったのだ


結果はまずまず、酪農をしている村人にとって家畜たちの安全は生存に直結するからね、強い護衛は大歓迎、良好な関係が築けている


「ただいま~」


「坊っちゃん今日もお疲れ様です」

ベルテは括られた山鳥をクラウから外しながら労ってくれる


「おかえりレテウス今日もお肉を使うの?」

「シェーナさんただいま!うん干し肉」


もう直ぐここに来て一年になるが最近俺がシェーナさんと呼ぶときにモヤッとした気持ちが伝わってくる、もしかしたらお母さんと呼びたいのかもしれない、だけど何も言ってこないのは多分モイラさん(本当のお母さん)の事を考えてるから…大丈夫、君がどうしたいか言ってくれればどんな選択肢でもちゃんと代弁するからね


「男の子も料理はするけど、こんなふうに料理をする子は初めてよ」

氏族のケイエル(戦士)として幼い頃から自炊を叩き込まれるから珍しくはない、シェーナさんが言っているのは代々受け継がれている伝統の干し肉ではなく俺が独自(現代知識)でもっと長持ちする干し肉作りに挑戦しているからだ


干し肉作りはこの地で生きてゆくためには必要不可欠な作業だ、それは去年の冬で十分過ぎる程学んだけど肉が多ければ沢山作れるというものじゃない


大量の塩が必要だからだ

(にいに、ちっそとりんとかり)

おお~!それだっ!窒素とリンとカリ!偉いぞレテウス君ありがと

(えへへ)

重要な栄養素が思い出せなくて困っていたのをレテウス君が見つけてくれたのだ、こんな感じでレテウス君には部屋の中で初心者向け観葉植物の育て方入門を読んでもらっている


俺がお肉の研究でレテウス君が植物、ガチ農業と観葉植物ではレベルは違うだろうが基礎は学べるのではないかっていう推測だ


そろそろ自分でも鳥を捌ける様になりたくて〆た山鳥の調理を見たけど熱湯ぶっかけてブチブチと羽を抜く所で俺もレテウス君もぐったりしてしまいちょっとしたトラウマになっている


周りの子供達は気にせず解体を手伝うらしいが食肉加工を見たことのない(現代人)氏族の直系(良いとこの坊っちゃん)には衝撃だったのだ


干し肉に関しては魔法は使わない前提で動いている、皆が作れなければ意味がないからな


作り方そのものは昔ながらのものだが塩の代わりに灰を使う、塩と違い灰ならば日々の生活で手に入るからね、煮沸消毒した布で肉を包み集めた完全燃焼で白くなった灰に埋めて密封する、灰が水分を抜いてくれるし密封することで外気にも触れることはない、水分を抜いたあとはファイヤーハウス(囲炉裏)の上に吊るしこの土地ならではのピート(泥炭)で燻製する、向こうの世界で見たサバイバル動画のアレンジだ


とは言え動画からは味や仕上がりは解らない、製造するのに掛かる時間も解らなければ時計も存在しない世界だ


夏から作り始めているのはその為、それに秋の終わりには食料が少ない所為で育て切れないと判断された牛や羊の様な家畜は屠殺されてしまう


早い内にこの干し肉を完成させて村人の保存食を確保したい、それに干し肉の保存期間がちょっと伸びたくらいなら他の氏族と揉めたり国に目をつけられることもないだろう、うん完璧な計画だ


もうここ一週間この作業を続けているがまだコツが掴めていないからか出来はまちまち、鳥肉は三切れ作って一つは翌日食べる、もう二切れは日持ちの確認のための保存と予備、出来の良かったレシピを改良しつつ繰り返すこれをデータ取りで記録する、記録は部屋にいるレテウス君にお願いしているが記録というよりは絵日記でレテウス君は鉛筆とノートに夢中だ


世のお父さんお母さんはこれを日々見ているのか羨ましいことこの上ない


(にいに、お外)

お外がどうしたのかな?

(お外の塔の白い丸とけい?)

俺の部屋から見える時計塔のことか、そうだよ時計あるじゃん!うんうん時計だよ今どんな感じ?

(短いのがねぇ4()で長いのが12()だよ)

どうやら本で時計の概念を知ったようだ、凄いぞレテウス君!


えーっと今は朝?夕方?

(ゆうがた)

時間のタイミングは同じか…ん?ねえレテウス君夜ってどうしてるのかな?

(くらくてこわい)

うわぁぁぁ!なんで気づかなかった、あのねお外に出る扉有るよね

(うん)

扉の横にこう、スイッチ…何ていうこう四角い出っ張り有ると思うんだけど押せる?

(とどかない…)

あ~

(いす持ってきた)

頑張って、でも転けないようにね

(とどいた!これを押すの?)

そうそう

(にいに!おへやが光った!)

良かった~、今まで気づいてあげられなくてごめんね

(ん~ん、夜くらいのふつう)

寝る時は消すことも教えてあげたけど三歳であること、全く知らない部屋にいることを(かんが)みればレテウス君が俺の部屋に居ると知った時点でもっと考えてあげるべきだった


考え始めると色々浮かんできたからこの際なので伝えておく、まず水の使い方、蛇口をひねるだけで水が出ることに感動し、トイレも教えたが排泄は必要ないみたい…というか今まだご飯を一度も食べていないのだから飲食も必要ないのだろう、だけど渦になって流れる水が楽しいのか何度も水を流しているみたいだから注意


コンロとシャワーも教えようと思ったけど止めた、火の扱いはやはり怖い、シャワーも転けて怪我しそうでもう少し大きくなってから…

(にいに!火!火出た)

うん、子供って好奇心の塊だもんね何しでかすか解らないからちゃんと今のうちに教えておこう


今まで俺は俺が死ななければレテウス君は無事だと思っていたけど逆にレテウス君がそっちの世界で怪我をしたらどうなるのだろうか

(………)

ああ、ごめんごめん気にしないでね、不安にさせてしまった様だ


「レテウスご飯よ」


「は~い」

今日はご飯を食べたら昨日の干し肉を確認して寝てしまおう、育ち盛りに夜ふかしは成長に悪いからね

明日は日曜日で農作業もないしヨゾとマザが勉強に来る日だ、建前上は二人と遊ぶことになっている、三歳児が八歳と七歳の教師だと色々と変だから偽装だ


「「レテウスー!」」

翌朝二人が元気にやってきた、一緒に外に出て裏手の林で勉強会

識字率はゼロに等しかったけどこれが()()の普通なんだろう、文字よりも先に数字を覚えてもらいたいから地面と石を使って簡単な足し算と引き算から始めた、初めの頃でも順調に一桁はクリアしたけど二桁に入った途端出来なくなった…でもこれがこの子達や小作人の限界じゃないということは知っている


税の徴収で叔父上に付いて行った時、大人たちはタリーと呼ばれる棒に切込みを入れていくら収めたと解るように表記して棒を折りそれぞれ片方を保管する、後日確認する時も木で出来ているから年輪や裂け目がピッタリ合うから偽造することは出来ない、日本でも昔有った勘合符みたいなものとでも言えば近いかもしれない


この知識を発案した人が偉い人だったとしてもそれを理解できるのなら国民自体も低いわけじゃない簡単な算数くらい問題ないはずなのだ


その証拠に今では二人は簡単な掛け算が出来るまでに成長している


「頭痛~い」

「う~~」

兄弟揃って呻いているが今まで諦めたいみたいな弱音は吐いてないし、勉強するのに向いている性格なのかもしれないな


魔法を教えるべきかどうかはまだ迷ってる、どれだけの社会変化が起きるか解らない、可能性としては庶民に教えた罪で掴まって死刑とか、教えた庶民が反乱起こして一族もろとも滅ぼされたり考え出すとと切りが無い


勉強を頑張ったご褒美というと餌付けみたいで聞こえは悪いかもしれないがモチベーションは大切、勉強終わりに干し肉を渡してみる、レテウス君の舌を疑うつもりはないがサンプルは多い方が良いそれに彼らの方が食べ慣れている分違いが解るだろうし


「なにこれすっげぇうめぇ!」

「干し肉なのに柔らかいよどうなってんの!」

残念ながら柔らかいのはまだ日が浅いから最終的にはカッチカチになるんだけどね、気に入ってくれたのなら方向性は間違ってない、作る数を増やしても良いかも


ヨゾとマザの二人には誰かにチクったらもうあげないと黙っておくように釘を差す…ちょっとまずったかもしれない、順番としてはシェーナさんとベルテに納得してもらってそのあと叔父上の順で食べて貰ってトップダウンの方がこの干し肉を拡め易い、これが勝手に村に拡まってしまうと何かしらの理由で禁止・厳罰になるかもしれない


勉強会を終えて家に帰った俺は早速増産を計画する、早く伝えて説得できないと屠殺が始まる秋に間に合わないのだけど最近の叔父上は忙しいのか本家に行くことが多くて中々帰ってこない、結局叔父上が帰ってきたのは増産を始めてから二十日後、残された期間はもう一ヶ月を切っていたがその分改良も進んだ


それまで使っていなかった山鳥の脂身も使いゆっくりと温めて出てきた脂を肉に塗りコーティング剤にしてみたこれで雑菌の繁殖を従来より抑えられるはずだ


現時点での試作品にはシェーナさんとベルテから美味しいとお墨付きをもらえたけど拡めていいかどうかの決定権は最終的には自分では会うことが出来ない父上だ、叔父上が良いと判断しても今度はそれを父上が決めて…そう考えるともうぎりぎりだと思った方がいい、電話やメールがある世界じゃないんだから


久しぶりに帰ってきた叔父上の顔は暗い何か有ったのだろうか?気は引けるけど言うしか無い


「お帰りなさい、叔父上あのですね」

「なんだ?」

おずおずそろそろと食卓に干し肉を上げる

「これは?」

相変わらず口数の少ない叔父上だ

「レテウスが作った干し肉よ、貴方に食べてほしいんですって」

ありがとうシェーナさん

「ほう、山鳥かそうか俺が初めて作ったのは七歳だった」

そう言って一瞬微笑んだ気がするけどなんだったんだろう?叔父上はそれ以上は何も言わず干し肉を口に運ぶ

「美味いな、これはどうやって作った?」

塩で作った物と違うからだろう作り方を早速聞かれた」


「塩の代わりに灰を使って作りました」

「灰だと?何故灰を使ったのだ」


「え~と、重かったので干し肉を布に包んで地面に置いたんですがなんか水分の抜けが普通より速くてなんでかなと思って違いを探したら速く抜けたお肉は灰の上置いたものだったので…」(大嘘です知ってる知識で作りました)


「なるほど灰にそんな力があったとは…」

良かった、灰で作ったことを叔父上が受け入れてくれるか心配していた俺にシェーナさんが

「大丈夫よ、あの人()は実利を取れる人だから」

と言ってくれた通り灰がどうこうで怒るどころか感心している感じだこれなら


「しかしこれは美味すぎる、もっと味を落とせるか?」

「え!?味を落とすのですか?」


「ああ、干し肉は不味いくらいでちょうどいい」

「ええ…」

「まだお前にはわからんか、干し肉は保存食だ、美味いとつい必要以上に食べたくなるのが人というもの、食べたくないが必要だから食べるしか無い程度が消費を抑えられるのだ」

そうか、現代日本の様に食に不自由しない世界なら美味しさを求めるけどここで求められるものは違うんだ


「それにもっと硬くして」

「貴方」

妻とベルテから飛ぶ非難の眼で甥っ子が初めて振る舞った料理にケチを付けている叔父という構図にデイヴィッドも気がついた

「いや、美味い美味いぞ!ただ保存食としては」

フォローしてみるが落ち込んでいるように見える甥っ子、料理が干し肉であったためつい口を挟んでしまう、これがポリッジやハギスであったのならこんな話はしなかったはずだが戦士としての地が出てしまったと言うしか無いのだが


「叔父上、これは村人たちの保存食になればと思って作りましたので助かります。ご意見ありがとうございます」

「そうか、お前も戦士としての自覚が出てきたようだな叔父として嬉しいぞ」

デイヴィッドは取り繕うが妻とベルテからはため息が漏れる


「しかし灰で作った干し肉か、確かに塩と比べれば灰はタダ同然で手に入る、お前はこれをどうしたいのだ?」


「お父様に許可を頂いて村人に作らせたいと思っています」

「全く…時々お前が三歳だということを忘れてしまいそうだ、そう言えばもう少しで四歳かそれにしても」


「おっ、叔父上話がズレてます!どうすれば父様に受け入れてもらえますか?」

「そうだな…諦めろ」

「そんなぁ」


シェーナの視線が突き刺さる

「言い方が悪かった、今年は無理であろう」

「じゃあ」

来年以降ならなんとかなるということなのか

「お前はこれを作り続けて今年は本家にそれを納めろ、兄貴との交渉はそれからだ」

根回しってことか、今年は無理で確定だけど希望は持てる


「それと山鳥を獲った者の名前を教えなさい、今ならばまだ私の命を受けて狩りをしたと誤魔化せる」

以前も思ったがやはり狩猟は許可制、勝手に穫れば罰せられるんだこの場合はどうなるんだろう?


「許可はいらないでしょ、レテウスが自分で獲ってきたんだもの」

そう言えばシェーナさんから弓を渡されたけど、叔父上には言ってなかったっけ…


「魔法の事お前も知っていたのか…」

大きなため息を付くデイヴィッドに微笑むシェーナ

「最初は何かやってるなぁ~位の勘だったんだけどね、そしたら弓渡して二日かそこらで獲ってくるんですもの気づくでしょ」


あっけらかんと言い放つとベルテも続く

「ええ、家事を手伝ってもらえば竈の火もすぐに起こしてくださいましたし、洗濯物も良く乾いてましたからね」


「でも、隠してるみたいだし私たちが気づいたのに貴方が気づいてないわけ無いじゃない、だから問題ないかなって」

(にいにばればれ)

うん全部バレてたね


中身二十代だけど、どうやら俺はそんなに賢くないのだと自覚した

閲覧数は日に日に増えているのですがマイリスト登録は頂けていない状況でして、励みになりますのでマイリスト登録と★評価よろしくお願いします

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