63:旅路
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大丈夫?涙枯れない?干からびちゃわない?
心配になる位の号泣と目を腫らしたソーサに別れを告げラーグへの旅路へ
旅路と言っても通常の道を使えば七〜九時間程度、この世界で言えばそこまで遠くはない、牛泥棒などで道なき道を歩む時は別だが。
途中で丁度真ん中くらいだろうかエヴァン家本家の有るロガーディアを通るが本家はスルーする予定、理由は勿論俺…
休憩したいだろうにヴァルヴェックおじさんごめんなさい、あとハウベルと護衛のお二人も…
まだ母上は許せないらしい。いやまあ今逢ったとしても怒りを買うだけだろうし、演技したとしても見破られるだろうから逢わないのが賢明…でもレテウス君の事を考えると早く修復はしてあげたいところではある。
「レテウス大丈夫かい?疲れてないかい」
ほんとこの人、大叔父様のDNAを継いでいるのかと疑いたくなるくらい紳士
「まだ大丈夫です。」
馬はゆっくりと進み自分はお子様の定位置、伯父様の前に座っているだけだ
「レテウスの事は、親父やマザから話は聞いていたからね、話してみたくて仕方が無かった」
「実物はどうです?」
「化け物みたいな神童って聞いていたから、思ってたより普通でホッとしたかな。」
大叔父様はともかくマザは何を話したんだ?今度とっちめる
「それは良かったです。僕の方は…」
「と言うと俺の事も色々聞いてたかい?」
まずった…つい口が滑ってしまった、
どうしようか…
「大体察しは付くけどね…」
「それは大叔父様が悪いのでは?支族長なんですから、もうちょっとですね」
「ぷっ…」
「僕なにか変な事言いました?」
「ああ、ごめん。マザが言ってた事が本当なんだなって」
「?」
「うちのあの親父にキレたって、流石に嘘だろって思ってたんだけど」
ああぁ〜
「あれは大叔父様が悪いので」
「ぷはっ、あはははは!」
笑い過ぎでは?
おじさんは心底楽しいのだろう、腹を抱えて笑う
「は〜、こんなに笑ったのいつ以来だ?」
「知りません。」
でもまあこの感じだと相当溜まってたっぽいなぁ
俺も笑う、思えばこんな風に親戚とたわいも無い話をこっちの世界で話したのは久方ぶり。普通に話しているつもりでも気づけば政治や村の発展になってる事が多い、自分も随分と溜まっていた様だ…
自分で言うのもなんだが苦労はしてるからか、おじさんとは相性が良いのかもしれない、話してて楽しいし中の人敵に歳が近いからなのか
「おじ様はちなみにおいくつなのですか?」
「二十三だよ。そろそろ嫁だ、孫だと五月蝿くってねレテウスが養子になってくれればお袋も黙るかな」
笑いながら答えにくい事を言ってくる。
「お嫁さんは娶らないのですか?」
「仕事が楽しくて、嫁なんて…家は弟が居るし、あいつが嫁を早く見つけてくれると良いんだけど」
「弟さんはおいくつで?」
「十九」
これは大叔父様だけが原因じゃなくてヴァルヴェックおじさんのワーカホリックにも原因が有りそうだ。
中身の年齢も近い事もあってちょっと心配だ…
「でもおじさんの顔色良くない!ちゃんと寝ないとダメ」
少しわざと子供らしく注意をしておく
「子供にまで言われてますぜ旦那」
護衛のおじさん、こっちは血縁の意味でなく見た目で言うおじさんだが、ベテランの雰囲気をもっていて強そう
「そうです。村出る時迄ずっと坊主に指示まで出して…」
本当に心配そう、こういった部分は大叔父様とは違うけど慕われているんだな。
本家には寄らなかったがロガーディア自体には寄り小さな料理家で昼食を取る、小さな店では有るが人は多く繁盛していた。
「ここもだいぶ繁盛する様になった。」
感慨深げな様子に
「前はそうでも無かったのですか?」
何せ生家だというのにこれっぽっちも記憶が無いのだ、聞いてみた
「ああ、前は飯屋というより休憩所みたいにのんびりしたものだったな」
そうなのか…
「ここ最近だろう、見てみなここに居る半分は農民だがもう半分は行商人、一体誰のせいなんだか」
わざとらしくおじさんは話を振ってくる
「僕のせいじゃ無いですよ!皆んなが頑張ってる証拠です。」
「そういう事にしておこうか」
頭をぐりぐりされる。ケファー様とは違い加減がされていて優しさを感じる。
季節は秋という事もあり牛のソテー…と言うにはちょっと雑な肉がメインであとは豆とケールのスープが昼食、この時期限定なのはこの季節が賄い切れない牛を絞めるデッドラインだからだろう。
グレンガルト・トゥアは元々牛が少ないのと作物の生産量が上がった事で屠殺をしないで済んだが、なんとか飼料の有無で牛を絞めなくても良い様になりたいものだ。本当だったらロガーディアの牛も屠殺せずに済んだ筈だったのだが…
昼食を取り終わるとここから先は記憶の有る無しに関わらず始めての景色だ。気合いを入れ直そうとした時だった
「ヴァルベック!レテウス!」
父上の声だった
「伯父上、大丈夫なのですか?」
何が大丈夫かは聞かなくても判る…母のことだろう。
「あいつはレテウスが居る事も知らん」
それはそれでどうなんだとも思わなくも無いが、何か言ったところでいい方向に向かうとも思えないので黙っておく。
「また大きくなったな」
母との事は解決出来ないが父がレテウス君を愛している事には変わりないのだ。
「はい!父上」
馬上へ大きな手が伸びてこの小さな身体を抱き上げた。
暫しの間父上との時間を過ごし、少しだけ出発の時間がずれ込んだが問題なくラーグの地へと、小さな一人と四人の大人は向かったのだった
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