↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『妖精の取り替え子』認定喰らって即寒村送り!弱小氏族次男坊の独立戦争記  作者: くろすーおーばー
第二章 グレンガルト・トゥア発展編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/67

56:消費される森


【ブクマ】【評価ポイント★】【リアクション】を是非ポチッとワンクリックよろしくお願いします(人´∀`o)

「これは想定以上だな」

「一度の稼働でここまで森を喰らうとは、高炉とは凄まじいですね。」


 用意していた燃料の木炭が半分まで減った。このままではジリ貧、石灰の素である牡蠣の養殖もクレェター達が頑張ってはいるが収穫迄は数年は掛かる。


 希望的観測はしてないつもりだったがそれでも甘かった。


「高炉の稼働は年四回が限界だな…」

「では、生産するのは」


「プラウと農具のみ、武具は後回しに」

「はっ!」


 出来れば村を守るために最低限の武具にも着手しておきたかったのだけど、収支をプラスに出来れば武具に関しては他所から買う事も可能、作るなら農具一択だ。


 収穫の最盛期を迎えグレンガルト・トゥアは大忙し、それに加えて高炉の稼働人手という意味でも稼働を抑えなければならない。それでも稼働させたのは来年を見据えてプラウの製造と改良をする為だ。


 牡蠣に関しては今年は昨年と同じ様に養殖物ではなく自然に育ったものを取る。養殖で数が増えるのが先か自然を取り尽くすのが先か賭けは続く


 軌道に乗れるか否かは来年の春、遅くても夏にならなければわからない


「しかしあれ、木酢液でしたっけ。あれは凄いですね。あれと松脂に木を癒す力が有るなんて」


 そうだ微々たるものかもしれないが木々を癒すために無駄を極限まで減らした。

 

 薪や炭を作る際に木々から出る黒い液体、木酢液には抗菌作用と虫除けの作用が有る。

 

 切った切り株と農作物に使用し切り株から入る病原菌から木を守り、農作物も虫の害から守り収穫率を上げた。


 現代で言うマルチング、上から被せる事で寒さから芽を守るカバーとして見渡す限りに生えているヘザーも刈り集めさせた、これで切り株を寒さから守る予定でいる。


「しかしこの半端な残り物の鉄勿体ないですな。」

「そうだね…何か使い道があるといいんだけど。」


「農具もですが、これくらいの余り物ならば(やじり)などはどうでしょうか?農具よりも少ない量の鉄でも生産可能かと」


「そうだね、使える鉄は無駄にしたくない。」


「ただ、このところカウトール領からの砂が途絶えていて…」


 鋳鉄ができる様になってから湖を持つカウトールから砂を買って鋳型にしていたのだが、氏族長の代替わり以降砂が途絶えてしまったのだ。汽水湖であるタイカン湖でも砂は手に入るが塩分を含む砂は鋳鉄との相性が悪い。


 川で塩分を洗い落とせば使えない事はないが、砂に混じって貝殻なども混じっている事を考えると淡水の湖で取れる砂の方が良いのは確か


 カウトール家の今代が何を考えているのか気になるところだ。


 動きが分からない以上用心に越した事はない。昨年の二の舞はお断りだ。


 山に見張りを立てたかったが予算が足りなかった。代わりとしてクラウとソラスに交代で見回りをしてもらっている。


 この冬を越えれば王女の来航迄二年半しかない…焦ってはいけないとわかっていても焦る気持ちが湧いてくる。


 村では色んなものが変わりつつあった。


 難民改め入植者達の住まい作りと並行して俺の家というより研究部屋の建築が始まったのだ

 

 父上公認で自室…と言うか家を建ててもらう事になった俺


 家というと数ヶ月も掛かりそうな気がする物だが事ブラックハウスにおいては期間で言えば半分、もっと早ければ一〜二週間で出来てしまう。


 そうやって結婚した夫婦の為に家を贈る習わしが有る事もあって、皆んな家作りに慣れている。これは現代では考えられない事だがこれがこの世界の常識


 家に関しては牡蠣殻から作った石灰…モルタルが使用されて通常の家よりも断熱性が高く煉瓦のお陰で煙突もつけられ半ブラックハウス、現代のスコットランドでも残っているブラックハウスの遺跡に近いスタイルに落ち着いたのだが問題発生…


「私は兄様の助手なのですからお側に居なくてはなりません!」


 ソーサがまさかの駄々を捏ね始めてしまったのだ。


 幼いお陰で微笑ましく映るが、幼なくとも保護者無しの男女二人きり…今は良くとも歳を重ねればそういう関係だと思われる。


 困った事に村の皆んなも反対しないしソラスもソーサの味方、こう言った時の村の同調圧力というのは恐ろしく強い…一応族長の息子なんだから俺の方が権力はある筈なんだけど、他勢に無勢。


 あっという間に追加でソーサの部屋の完成だ…


 俺としてはソーサをそういう目で見れないし、レテウス君の気持ちも考えなきゃ行けないのだ、当のレテウス君は

(可哀想だもん一緒でいいよ)

判ってない…このままだとなし崩しでいつの間にか結婚、この世界と言うか国ではそれでも良いのかもしれないが、なんか引っ掛かる。


 何と言えば良いのか、現代人の感覚が邪魔をしているとでも言うべきか。


 レテウス君が成長…と言うよりもグレンガルト・トゥアが発展すれば良家との縁談の話も出てくるだろう。その時に辛い思いをするのはソーサだ、身分では絶対に勝てない、例え結婚していたとしても無理やり別れさせられるだろう。俺はそれが嫌なのだ。


 歴史を多少でも齧っていればわかる事だが、歴史上の人物には所謂嫡外子(非嫡出子)数多存在する。映画やドラマではイメージダウンに繋がることから居なかった事にされる。


 はっきり言うが、落とし胤が一人いたら五人は居ると思え。そんな村や町の娘と盛り上がっちゃう自制の利かない権力持ちなんて一人で済むわけがないんだから


「叔父上からも言ってあげてください。仮にも僕は氏族長の次男坊、自分の意思ではどうにもならない事があるんだって」


「お前はどうなりたいのだ?ソーサと将来を共にする気は全くないのか?」


「なりたい、なりたくないの問題ではないのです!」


もどかしい、この世界がスコットランドと同じ歴史を進もうとしているなんて知らなければ、もっと自由に…


 ソーサを傷つけたいわけではない、だけどあと三年で王女を助けに行くのなら、名声を得て少なくとも王女の迎えに行く一団に加わらなければならない。その為にはグレンガルト・トゥアを大きく発展させ大氏族や大貴族とのコネを作らないと行けないのだ。


 その中でも手っ取り早いコネは婚姻だ…


王女救出の時の俺の肉体年齢は九才。成人前に婚姻を結んだとて大人…エヴァン家よりも強大な氏族・貴族達の都合でなんてどうとでも出来てしまう。


 もうこうなったら直接ソーサに言うしかない


「ねえ、ソーサは僕のお嫁さんになりたいの?」


「…はい」

 子供らしい素直な答え

「無理だとしたら?僕の意思に関わらず君はきっとお嫁さんには成れない」


 少し腹が立つ、ソーサに対してではない。周りの大人達に対してだ…、ソーサはまだ五歳。大人が道を示してやるべき年じゃないのか?本当の両親が居ないから?皆んな美しい物語を描き過ぎだ。この子は一人の人間なんだぞ!


「兄様は迷惑ですか?」


これが現代なら可愛い話、昔はこんな事話してたな〜で終わるけど、本当に結婚になっちゃうから下手なことが言えないんだよ。


「ソーサの気持ちが嘘だとも思わないし、ソーサを実の妹だと思ってる。でも結婚は無理だ…」


「何でですか?」


「俺はきっと政治の駒になる。言っても分からないかもしれないけど、結婚は俺の意思とは関係無く決まる。だからソーサを困らせる様なことはしたくないんだ。判っておくれ」


 「その時は…その時迄でいい…夢を持っては駄目ですか?」


 参った。こんな事は想定してない。


 「責任は持てない…なあ引き下がってもらえないか?。俺はソーサの泣き顔は見たく無いんだ。」


 「やはりお兄様はお優しいです。遠い未来の事に迄責任を取ろうとするのですもの。お兄様は…責任なんて取る必要はないのです。もっと自由でいいんです。その時がくる迄は私諦めません」


 泣きそうな顔で精一杯の笑顔をこちらに向けるソーサの一途さに勝てなかった


「まるで大人じゃないか」

「それをもうすぐ六歳のお兄様が言います?」


何も言い返せない一撃を食らってしまった。



【ブクマ】【評価ポイント★】【リアクション】を是非ポチッとワンクリックよろしくお願いします(人´∀`o)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ジェームズ5世「ふむ、余は公式に9人と言うことは45人以上居るということか」 スコットランドでは国王からして婚外子を聖職者や貴族・軍人にして嫡子の後見させていた訳で、臣下が見習っても何も問題ありません…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。