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『妖精の取り替え子』認定喰らって即寒村送り!弱小氏族次男坊の独立戦争記  作者: くろすーおーばー
第一章 幼少期(グレンガルト・トゥア編)

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6:支族長のお仕事

沢山の方に読んでいただきランキング入りを目指しています。

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「叔父上明日はなにするのですか?」

「そうだな、本家の仕事のせいでしばらく帰ってこらなかったからな、明日は村を見て回る。」

(一緒に行きたいんだけどどう?)

 心のなかでレテウス(宿主)君に向けて呟いてみる。

 う~ん、レテウス君の気持ちがよく分からない。嬉しいような嫌そうな…村は見てみたいが叔父上が怖いのか?


 食べ終わると同時に眠気がやってくる。子供の体ということも有るがアルコールも入っているのだから当然といえば当然か。


 叔父上に抱えられベッドに運ばれる。


 健やかな成長を考えるとできれば安全な水が飲めるようになると良いんだが…時代に合わないことをして悪目立ちもしたくないんだよなぁ。


 眠りに落ちるまで横になってとりとめもなくこれからのことを考える。


 例えばだ、安全な水を魔法に限らず何らかの形で作れたとする。

 村人もそれを飲めるようにすればどんなに口止めをしてもいずれは外に漏れ、俺の予想ではこの世界にも居るであろう吟遊詩人がそれを各地で喧伝すれば後はなし崩し的に広まって行って…


 レテウス君が望もうが望まざろうが国に取り立てられてしまうかもしれない。たとえ本人が望んだとしても水や土地から家畜に至るまで争いの火種になるのが中世、相手が良いもの持ってれば力ずくでも奪う世界位の気持ちで居たほうが良い、兄上にも言われたことでは有るが魔法の使い道は慎重にしよう。


 他には時代かな…今のところ魔法が有る時点で確実に別の世界だがそれを除けば留学先のスコットランドの文化にそっくりだ、建物の形や間取りから中世レベルだとは思うが正確なところが判ってない。


 一つの過程だが見た限り俺が学んでいた国(留学先)の中世にそっくり過ぎた、建物も馬車から見た橋の建築法も人々が着ている衣類も今日見た牛ですら元いた世界ではその国の固有種だった。


 異世界と言うよりパラレルワールドとでも言うべきか、パラレルワールドだと仮定して今まで見てきたものから過去だと考えているわけだが


 具体的に時代が分かればもっと自分の知識を活かせるんだけど…


 考えることは沢山あるが先ずは明日の…



「レテウス起きて、ついて行くんでしょ。」

「ごめんなさい起きます。」

 飛び起きて叔父上を探す

「待って、着替えないとね。」


 身ぐるみ剥がされてあっという間に着替えさせられる。このドレスみたいな服やっぱり恥ずかしい


 早くズボンが履ける歳に…でも大人になったらなったでキルトか今のうちに慣れておいたほうが良いのかな、キルトって傍から見る分には格好いいんだけど…


「お待たせしました叔父上。」

「…うむ。」

 両脇を抱えられ馬に乗る。俺自身は馬に乗った経験は無いから少し緊張、でもレテウス君がわくわくしているのが伝わってくる。馬が好きなんだな


 少し確かめてみようか

「えっと、叔父上この子の名前は何というのですか?」

「こいつか?こいつはオワールだ。」

「よろしくねオワール。」

 やっぱりだ、オワールの意味は『くすんだ色』や『灰色』を示す、留学先の古代語で中世の人々は名前にその馬の色を名前につける文化が有った、そしてその名の通りオワールは日本で言うところの芦毛の馬だ。


 首をそっと撫でてやれば少し首が伸びたこれは嬉しいのかな?まるで自分とレテウス君の様な関係だな、直接会話は出来ないけど気持ちは察せる所がそんな気にさせる。


「おはようデイヴィッド。」

 本日の第一村人発見!というか発見された


「おう」

「この坊が兄貴んとこの?」

「ああ」

 叔父上、口数少ないなぁ。


 叔父上をつんつんと突付く

「なんだ?」

「このおじ…お兄さんの名前。」

「ああこいつはモルト」


「モルトさんはじめまして!おはようございます。」

「かぁ~流石本家のお坊ちゃん、行儀が良いな」

 カッカッと笑うモルトおじさん

「俺も本家の人間なんだが」

「なんでだろうな?お前からそう感じたことねぇや。」

 またカッカッと無遠慮に笑う、だけど叔父上の様子からしてこれがデフォの関係っぽい。


「俺の居ない間になにか変わったことは?」

「そうさなぁ~トッドの倅(せがれ)が狼を見たと言っていたが見つかってない、家畜たちにも被害は出ていないな。」

「見間違いか?」

「おそらくな、それと結婚の立ち会いをして欲しいって家が二件。あと麦はいいが春植えの豆があんま穫れなかった」


 同じ領内なら問題ないが嫁として他領に嫁ぐのなら働き手が減るから税を取られるんだったな、この場合は立ち会いだけみたいだし領内かな


「そうか、立ち会いは問題ないが豆は心配だな。」

「ブラウニーがまた減るな」


「兄貴には伝えておくからあまり心配するな。」

「頼りにしてるぜ、報告することはこれくらいだな。」

「判った」


 口調は砕けているけど、信頼されている感じからしてやっぱり支族長って頼りにされてるんだなぁ。


 モルトおじさんとの会話を切り上げて村を行く見えてきたのはそれぞれの家から牛を連れて出てくる人々、放牧に向かっているのかな。


 そう言えばさっきモルトおじさんが狼の話しをしていたけど、前の世界では十八世紀には絶滅していた事を考えるとここはそれ以前の時代と仮定できる。熊は十一世紀には全滅だからもし居たらそれ以前の時代ってな感じ…


 あれ?兄上が俺を助ける時に倒したのって熊だったよな、じゃあ十一世紀以前なのか?とりあえず暫定で十~十一世紀ごろだということにしておこうか。


 豆が育っていない…これは観葉植物程度しか育てたことのない俺ではお役に立てないだろうな祈るしか無い、ブラウニーは何だったっけ?どこかで聞いたはずだけど思い出せない。


 聞いて回ると言うよりは叔父上を見つけた村人が話しかけてくるって感じで村を見て回る。村の景色にも慣れ始め山に目を向ける、思ったより木々が生い茂っている、何世紀にも及ぶ伐採で向こうの世界では山肌がむき出しの山が多かった事を知っているだけに新鮮な気分だ


 見回りは話を聞きながらで二時間くらいだったからそんなに大きい村じゃなさそうだけど三歳児にはきつすぎるあまり家の傍から離れないようにしないとな。


 家の前に帰ってくると同時にお腹が鳴る。早くご飯が食べたい


 叔父上の腕に乗せられたまま家に入ればシェーンさんとは別にもう一人女性が居た。

「しばらくぶりでございます坊ちゃま」

 ベルテだった、唐突に胸に暑いものがこみ上げる今のレテウス君の気持ちだ駆け寄り彼女の足にしがみつく

「あらあら困りましたね」

 涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってもベルテから離れない、やっと本当の意味で自分がしでかしたことを理解した。


 最低だ…子どもの身体を乗っ取り好き勝手して俺は母親とベルテをこの子から奪ったんだ。

 怖かっただろう、恐ろしかっただろう、俺を恨んでも仕方がないはずだ


 それなのに今この子から俺に対する憎悪は感じられない。

 寄り添うだの慎重に動こうだのそんな生易しい想いでは足りない。


 レテウスを自分の存在が消えて無くなるまで護りきってみせる!これは誓いだ



 レテウス君が落ち着くまで皆で待ってからベルテを加えて四人での朝食、相当嬉しかったのだろう俺は意識していないのに顔が緩みっぱなしだけどそのままにしておこう。正直ここまで彼の気持ちが身体に影響を及ぼしたのは今日が初めてなのだから。


「坊っちゃん今日からまたよろしくお願いしますね。」

「うん!」

 ベルテは詳細をはぐらかしたがお母様の怒りを買ってお暇に出されてしまっていた所を叔父上が再雇用してくれたのだと判った。


 昨日の食事に有った緊張は今日はない

「良かった…ベルテ改めてこれからよろしくね。」

 流石に中身まではバレてないだろうが子供らしくない余所余所しい振る舞いを緊張だとシェーナさんは受け取っていたのかもしれない。


 ベルテを前にしたレテウス君の子供らしさが見れてほっとしたんだろう。


 和やかな空気に包まれ食事が進む、そうだ忘れる前に聞いておこう

「叔父上、ブラウニーって?」

 モルトおじさんが言っていたブラウニーなるものについて聞いてみる。

「そうかまだ知らなかったのか。」

「ありがたいゴブリンの事よ。」

 ニコニコ顔でそう教えてくれたのはシェーナさん。


「私たちが寝ているときや見ていない間にお掃除をしてくれたりしてくれると言われているわ。」

「言われている?どんな姿なの?」

「それは判らないわ、だって私たちが見ていないときにしてくれているんですもの。夜ふかしして見ようとか思っちゃ駄目よ、怒って出ていっちゃうから。」

 なんか日本にもそんな妖怪居そうだな

「じゃあ豆が穫れないとなんでブラウニーが減っちゃうの?」

 シェーナさんは質問がというよりは会話が楽しいのかもしれない、昨日から優しかったけど今日はもっと自然な感じがする。


「それはブラウニーにあげる報酬が減るからよ。それから報酬も判るようにあげちゃ駄目、感謝の気持を伝えても駄目よ。あくまでもさり気なく食べ残しとか片付けし忘れたと装わないといけないから」

 居ると認知されると出ていっちゃうのか、なんかプライドが高いというか天邪鬼な性格というか…


 昨日とは打って変わって大いに盛り上がる食卓、因みにブラウニーはゴブリンで妖精にカテゴリーされるそうだ。


 妖精って何ていうかちっちゃくて羽が生えたのを想像していたけどここでは大抵の怪異は妖精か精霊になるっぽい、まあ日本でも妖怪って言ったり妖(あやかし)って言ったり実は神の使いだったりで微妙にカテゴリーが曖昧な怪異とか居るしそんなものなのかもしれない。

しつこいようですがランキング入りを目指しています。

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― 新着の感想 ―
心に残るレテウス君の意識、それを尊重する主人公にほろりときてしまいました。 それにしても、ブラウニー……いい存在ですね。子供の頃のサンタさんのような、良き隣人というような……魔法がある世界でも不思議…
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