表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私たちのピリオド 弱小氏族の次男坊に転生したら『妖精の取り替え子』認定喰らって即寒村送りにされたのにスローライフ出来ません  作者: くろすーおーばー
幼少期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/15

幼少期5:妖精

叔父上の村に来て初めての冬が到来した


この約半年で出来た友達とも殆ど会えないし春を待って質素な食事しか出来ずに閉じこもるだけの冬だ


幸い牛さん暖房とそれに付属する糞の発酵で起きる熱のお陰で凍死の可能性はそこまで高くない、とは言え暖かいエリアを外れれば可能性は一気に上がる世界なのだが、俺自身は練習がてらこっそり火魔法で暖を取ってるから寝てる時以外はその心配は無いんだけどね


あと教えてもらったブラウニーというゴブリンだがただの伝承ではなく本当に居る、夜中にトイレに行こうとして掃除してるとこ見ちゃった


結構遭遇しているけど一応見て見ぬふりをすればいいらしいので空気を読んで気づいてないふりをしている

ゴブリンだと聞いていたからもっと邪悪そうな存在を勝手に想像したけど赤く光る眼以外は夜だったから判らないし床を箒で払う音しか聴こえてこない、シェーナさんから聞いた通り害もないから寝てるときに箒の音が聴こえてきても、ああまた掃除してんだな位にしか思わなくなった


結構種類がいるそうで、ブラウニーの他にはボガートという嫌がらせを受けたり雑に扱われたブラウニーの成れの果ての姿のゴブリンや旅人を助けたりもするが結構悪質な悪戯をするバウハンと呼ばれるゴブリン、因みにトロールもゴブリンに含まれるらしい

もっとも危ないのは廃城に住む赤い帽子を被ったレッドキャップというゴブリンで明確に殺意を持っているらしい



友達といえば氏族長の息子ということで仲良くなるまで大変だったが秋の薪拾いを通じて普通の友だちになれた気がする、こっそり修練を重ね精度を上げた風魔法でこっそり枝を折り、翌日には何食わぬ顔でそれを拾う


レテウス君に付いて行くと良い薪が手に入る


そんな噂が立つようになってからはそれ以上の事はしなかった、目立ちすぎない程度で良いのだ


だから収穫の手伝いは魔法に頼らず自力でやったし家事や洗濯にも精を出した、心の中のレテウス君は何故魔法を使わないのか疑問に思っている感じだった


これはレテウス君に魔法が使えない事の苦労を知って欲しかったから、村人の苦労を知っていればもし彼が指導者になっても彼らの気持ちを理解する一助になる

村の人達と接して判ったやはり魔法を使える人は一握りで普通の人には使えないものだった、この村では自分だけだ


叔父上が使ってない時点である程度の察しはついていただけど一人も使えないのは想定外だった、有力な氏族の血筋は使えるみたいだがそれはエヴァン家は有力な氏族ではないということを示しているとも言える


魔法でどうにかすることが出来ないのであれば発展には指導者として村人たちとの信頼関係は必須だ、ならないとしても助けになるはず


まあごちゃごちゃと御託を並べたが友だちを作ってあげたかった、身体を俺が支配している以上この子が自分で友だちを作ることは不可能だから…


冬は本当に暇すぎて魔法の修練に時間が割けた他にできることと言えば牛さんこと俺の命名したキタロウの世話と家事の手伝いと糸紡ぎくらい、糸紡ぎもエイリィが言った通り今ではしっかりと紡げてる


以外だったのは均一且つ細く紡ぐのが良い感じに集中力を養うのに役立っていること魔法はイメージにノイズが入れば質が落ちるし詠唱も気を乱されれば質が落ちる、集中力は必須だ


こうして黙々と修練に励んで時期的には春が来たのだが今年は雪解けが遅いらしい


牛という動力が有るとはいえ現代のようにトラクターが有る訳じゃない


プラウと呼ばれる車輪付きの(すき)を多数の牛に牽かせて村人たち総出でやる重労働だ、それを種まきの時期までに間に合わせなければいけない、雪解けが遅くなればなるほど過酷な労働になり収穫にも影響する


手伝いながらこっそり土魔法で耕したり火魔法でこっそり雪を溶かした所で焼け石に水でたかが知れている


結局は皆でコツコツやるしか無いのだが…


「あれ?ヨゾとマザは?」

「居ない…あいつら逃げたな」

当然だけど遊びたい盛りの子どもたちの中から逃亡者(さぼり)が発生する、家に帰ればしこたま怒られて鞭で打たれるかもしれなくてもやってしまうのが子供というものだ、その中でもヨゾとマザの兄弟は筋金入りの脱走犯、実はレテウス君からもやりたくないというどす黒い気持ちがひしひしと伝わってきている


一応黙っていたけど大人が気づかないはず無いんだよなぁ…

作業を止めている余裕がないからその場は黙々とやってるだけ


ヨゾとマザ兄弟の親はみつけたらどうしてくれようって感じで真っ赤な顔してるし


だけどその顔は不安で青く変わってしまった、農作業が終わっても二人が帰ってこないのだ


夕方になり村の男達総出で捜索が始まる、俺を含めた子供達は家で待機、下手に動かれて更に行方不明が増えない為だ、それに狼の件もあるのだから当然の対処だろう


雪解けが遅い事もあって夜はかなり冷え込む

子供二人に耐えられだろうか…難しい

そんな嫌な考えが何度も浮かんでは消えて行く


魔法が多少出来た所で無力だ、レテウス君からも助けたいという気持ちが伝わってくるが二人を見つける手立ては浮かばない


なんだこれ?レテウス君の感情が切り替わった何かを伝えようとしているんだと思うけど何を言いたいのか判らない


ご飯?ご飯が食べたいのか?感情がまた切り替わる違うのかとは思ったがご飯を食べたい気持ちに似ている…分からん


食べたい訳じゃないが意識はご飯に向いているどういう事?


また切り替わる今度はなんだ…半年間でそれなりに気持ちを察せるようになったつもりだったけど全然駄目だ


…次の感情は判った、めっちゃ怒ってる!これまで不満を感じることは有ってもここまで激しい怒りの感情をぶつけられたことがなかったから戸惑ってしまう


また切り替わる


魔法…風魔法?使った所で二人を見つけるのと何が関係あるのか判らないんだが、とりあえず軽く風魔法を唱えて放つ、これで良いのか?


埃が舞った、ただそれだけ…埃とご飯?

ピンポーンと音でも聴こえてきそうなくらいパァァっと心が晴れる、合っているらしい


埃とご飯、ご飯と埃、埃とご飯…風魔法で埃を払う、掃除か?ご飯は…もしかしてブラウニー?

妖精のブラウニーなら探せるかもしれないってこと?

ピンポン連打されてる気がする

確証はないが妖精が本来森に帰属する者だと考えると探してくれる可能性はあるのかもしれない、でも怒って出ていってしまうとボガードになってしまうらしい


ボガードになってしまうと引っ越しても復讐しに来るくらい執念深く陰湿になると聞いた


そもそもブラウニーを説得できるのか、襲ってきたら勝てるのか?レテウス君の気持ちを尊重したい気持ちと現実的なラインを考える俺、この子を護ると誓った以上ここは心を鬼にするべきなのは判っているが悩んでしまう、護るってのは安全圏にこの子を置くだけでいいのか?それはこの子の人生の選択肢を奪っているだけじゃないのか?


この子が選択したうえで最善を尽くす、それが護るってことなのではないのか…


腹を括る、レテウス君の願いを叶えよう



捜索を終え男衆が帰ってきた

疲れ切っていて皆の顔色は悪い、見つからなかったんだ


家の皆が寝静まったあと静かにボックスベットの引き戸を開ける、外に出ることを考えて農作業用のズボンを履いていると箒の音がかすかに聞こえてきた…居る、事情を理解してもらえると良いんだけど


忍び足で音のする方へと向かう


俺もレテウス君もドキドキしているからだろう心臓の鼓動がやかましい

トイレに向かうふりをしてブラウニーに近づく、赤く光る眼がこっちを向く気づかれたか?

一瞬の間の後に再び箒を振るうブラウニー


セーフ!

「俺に何の用だ」

シャベッターーーーーーー!アウト!アウト!アウト!ゲームセット!


「用がねえなら出ていく」

「困ります!」


「じゃあさっさと話せ」

なんか想像してたイメージと違うし声も渋くて格好良かった


「あ、あの友達二人が行方不明で…探すの…手伝ってくれ…ませんか」

もう最後の方は蚊の鳴くような声とでもいうか緊張でいっぱいいっぱいで

「はぁぁぁ~」

すっごい深い溜め息付かれた

「緊張して損した、てっきり俺を殺しに来たのかと思ったぜ」

「そんな事しません!」

「声がでかい、皆起きちまうぞ」

「すいません」

口を抑えて小声で謝る

「子供二人か」

「はい、探してもらえますか?」

「……」

「早くしないと今年のご飯が減りますよ」

「ちっ仕方ねぇなぁ、皆総出で探すわけには行かねえし探せるのは俺だけだぞ、それでもいいか?」

皆っていうことは結構この村にブラウニー居るんだな

「なんだ嫌なのか、それならこの家とおさらばする」

「嫌じゃありませんお願いします」

ほんの少し間があっただけなのに結構せっかちだ


「判った、それとお前子供のくせにおっかねえんだよもうちょっと、いやだいぶ抑えろよ」

「えっと何を?」

「その魔力だよ毎日毎日増やし続けやがっていつか殺されんじゃねえかとこっちは怖えんだよ」

「なんかすいません。でもどうやれば抑えられるのか解らなくて」

「ちっ」

また舌打ちされた、怖がってる割に態度がでかい


「じゃあ行くぞ」

「あの」

「なんだ!」

ほんと短気だな

「どうやって探すのかなって」

「あのなぁ森は精霊の住処だ、そこに異質な存在が居れば判るに決まってんだろうが」

そんなの知らないし…

「じゃあそいつらを最後に見た場所まで連れてけ」

「はい、わかりましたよろしくお願いします」

こっそりと家から出て用意していた石を周りから見えないように火魔法で温め持ってきた布袋に入れる、簡易的なカイロの出来上がり

「おめえ器用だな」

「要ります?まだ袋ありますよ」

「じゃあ一個だけ作れ」

一個で足りるのかと思ったけど本人が言うんだからいいか、作って渡すと

「駄賃代わりにもらっとく」

よくわからないが気に入ったのならそれでいい、最後に二人を見た畑の場所も教えたし後は行くだけだ

土を踏みしめる音が嫌に大きく聴こえて見つかりそうで怖い、一方ブラウニーの方は全然音がしない


「おせえ」

「すいませんまだ三歳なもので」

「ふん、しょうがねえ背中に乗れ」

「ありがとうございます」

口悪いし短気だけど意外と優しい、おんぶしてもらったけど背丈はちょっと俺より大きいくらい大丈夫なんだろうか?


「飛ばすぞ」

「わかりまし…」

速っ!ぐんぐんとスピードを上げあっという間に畑についてしまった

「妖精凄い」

「ったりめーだ」

そう言って鼻を(こす)る姿は人間臭い

「なんだよ」

「いえなにも」


ブラウニーはクンクンと匂いを嗅ぐと

「こっちだな行くぞ」

俺を乗せたままぽんぽんと山を登り中腹に差し掛かった時足が止まった

「ここですか?」

「違う…」

「なんて?」

「話しが違う!こんなの聞いてねぇ、わりいがここまでだ」

いやいやいや、こんな所で降ろされても帰れない

「無理だろうがもしお前が生きて帰れたら何でもいうこと聞いてやるからよ、じゃあな」

「は?」


べちっ


掴んでいたはずのブラウニーが消えて地面に落ちた

痛ったぁ、一体何だってのさ!

あのやろう騙しやがって、ふつふつと怒りが湧いてくるがそれよりもどうしよう…

火魔法を使いながら降りるか、それとも暖を取りながら朝を待つべきか…まあ後者だよな場所も方角も分からんし小さな体じゃ無理だ、朝を待って狼煙を上げるのが無難


とりあえず身体を隠せる窪みか穴を…


寒気が走る…冷たい風とは違う背筋を凍らせた何かが背後に居る、ブラウニーが俺を置いてった原因はこれか

低い唸り声が風を切り裂いて響く、逃げ出したい気持ちを堪えて振り向けば月明かりに照らされたシルエットが見えた


狼だ


俺の存在が消えても構わないこの子を護ると誓ったんだ集中しろ


「ア・ヴァーヒル・タラヴ、ア・ヴュル、ア・スペル」

(母なる大地よ、海よ、空よ)

「ア・グリアン・ア・ヴェレ・ピシャハ、ア・イェラハ・ア・ハ・ア・ソィルシャハグ・アン・ドルハダシュ」

(恵みをもたらす太陽よ、闇を照らす月よ)

「ア・ハィリヴェーラ、ア・ハ・ア・リアラウ・ア・フーリャ・カール」

(全てを司るカリヴェーラよ)

「ホル・チェニャ・ナン・スピロト・エル・モ・コロプ・ベク・イリシャル」

(脆弱なる我に、精霊たちの炎を与えたまえ)


兄上ごめんなさい約束を破ります


遥かに大きく高い火力を鮮明にイメージする


火球が大きさを増し黄色みがかった赤から青へと変わる


だが狼は微動だにしない


「ロシュク・グ・タラヴ・エ!」

(焼き尽くせ!)


放たれた火球が狼を一瞬で飲み込んだ

まだ撃てる次の詠唱を


させてもらえなかった…

高火力のはずの火球を食い破って眼前に迫る漆黒の狼

「殺されてたまるかーーーーーーーー!」

諦めてなるものか!獰猛に開くの口めがけて右腕を突き出し


が、拳は虚しく空を切った、狼は品定めでもしているかのように距離を取る

食い破られ飛び散った火球のお陰で今は視界が確保出来ている、次こそは火球が駄目ならもっと硬質なもので叩か潰してやる絶対に諦めたりしない、土魔法を圧縮させて…


「待て」

!?

何なんだよどいつもこいつも当たり前みたいに人語使いやがって知ったことか

詠唱を始…

「待てと言っとろうが!」

クソっ間に合わない飛びかかられて喉元に牙を突きつけられた

フゥー フゥーッ! 歯を食いしばり力を込めて抵抗してもびくともしない

「お前ただの人の子ではなかろう」

「だったらなんだ、この子は絶対に殺させない!」

「その勢いや良し、だが俺はお前も内なる子供も殺す気はない」

喉元に牙突きつけておいて何を言う


「なあ、話を聞いてくれないか」

「ならその口をどけろ」

身体は押さえつけられたままだが喉元から牙が離れる


「 ア・ヴァーヒル・タラ…」

(母なる大…)

んぎゅ!

「懲りん奴だ、殺す気はないと言っとろうが!」

前脚で口をふさがれてしまった


「もういい勝手に話すぞ、我はフェイル・クー・シー(妖狼)お主の魔力を感じ追手が来たのかと勘違いしただけじゃ、それなのにいきなり攻撃しおって我でなければ殺されても文句は言えんぞ」


「唸り声あげて近づいてきたら誰だってこうしたさ」

「本当に口の減らぬ小僧じゃ、まあ良いそれより頼みが有る」

「頼みを聞いてやる理由が無い」

「いきなり襲ってきたお主を殺さんでやったではないか、それとも内なる子供もろとも今ここで噛み殺してやろうか」

「くっ」


「さあ頼みを聞く気になったか、こっちが理をもって話している今の内に言うことは聞いておいた方が身の為ぞ」

「判った…判りました」

少しづつ冷静さが戻ってきた

「それで私は何をすれば良いのですか?」

「うむ結構、実はな人の子供を二人ほど」

「食べたのか?」

むぎゅ!もう一度口をふさがれる

「食べたのならばお前に話すことなどなかろう」

コクコクと頷く、重い


「迷っておったから助けたのだがその見返りとして少々手伝ってもらっている、お前にも手助けを頼みたいのだ」


「なんで俺達みたいな子供に頼むんだ」

「その子らも魔力が在るがお前もお前は特に魔力が大きい、今までの無礼は水に流すどうか我が妻と子供たちをその力で助けてやってはくれぬか、頼みを聞いてくれるのならばこの首も差し出そう頼むこの通りだ」


妖狼が目の前に首を突き出す、要するに俺が一方的に勘違いして死にかけたと…レテウス君にドンマイと言われたような気がして切ない


「首なんて要りませんからそこに連れてって下さい、それとごめんなさい」

この言葉は俺の気持ちもだがレテウス君の気持ちが大きかった、この子大物になるななどと思った独身の親バカでごめんなさい

閲覧数は日に日に増えているのですがマイリスト登録は頂けていない状況でして、励みになりますのでマイリスト登録と★評価よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ