46:倒木からの芽吹き(SIDE:ブローガス)
本日は6000PV到達、総合評価100P超、ブクマ15超え記念投稿
ということでこちらが一話目、この後お昼12時にもう一話投稿いたします
楽しんでもらえれば幸いです。
沢山の方に読んでいただきランキング入りを目指しています。
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木こりとして選ばれたブローガスは衰弱は激しく、子供たちと共に与えられた家で静養をしていた。
「情けない…」
心で思ったことが口から出てしまう
二十代の木こりブローガスは力が自慢だった。
他の奴が一本切ればその間に二本切る、二本切るのなら四本と
それが今じゃ半分にも満たない歳の子どもと一緒に横になるだけしか出来ない、かろうじて起きれる様にはなったが仕事が出来る力は戻ってない
村のみんなが働き手五人を選んだ時は禄に動けもしない、そんな自分が何故選ばれたのか本当に理解できなかった。
でも今は判る、判ってしまった
子供以上に死にそうになってる俺を見過ごせなかったのだろう…
「情けない…」
また同じ言葉が口から漏れる。
木もまともに切れず、他所の村の飯を減らすろくでなし…
コンコン
「はーい」
シヴァンが応えると
「「は〜いぃ」」
子供達も真似して返事をする。子供達はこの十日程で目に見えて元気になった
それでもあの後継の子供が言うにはまだ油断は禁物だと言う
そんな事を考えていれば
やって来たのは当の本人レテウス様とやけにデカいケールを持った従者
どうやったらあんなにデカく育つのか…
子供だけど子供じゃない、氏族長の息子だと聞いたが氏族の直系っていうのはここまで違うものなのか
でも、俺たちの氏族長様…もうあの家から離れたのだ様なんかつけてやる義理も無いか
カウトール家はこんな事してくれなかった、仕事も食いもんも奪って行くだけ…でなきゃ俺たちがここに居るはずが無い
そもそも村にやってきたこともなければ、顔すらも見たこともない、それが当たり前だと思っていたから不満には思っていなかったがこの村はどうだ
毎日やってくる氏族長の息子レテウス様
黒髪に白い髪が一房という不思議な髪色をした少年
温和に見えたかと思えば俺達を脅し、どんなひどい目に合わされるのかと思えばしっかり飯を食わせてくれる、掴みどころがない少年
働き手なのに休んでいる俺になにか言うわけでもなく、子守で選ばれたシヴァンにあれやこれやと料理について注文をつけていた
だが出てくる料理はありがたいけれど変わり映えするものでもなく、違いが在るとすればケールのたくさん入った豆入りのスープがやけに細かい事と一度の食事の量が少ない代わりに回数が多く最近は燕麦が入りだした事くらい、他に一体何に注文を付けているのだろうか?
一週間も経つと斧を振りたくて身体が疼いたがレテウス様からまだ動くなともっと食ってからと怒られた、飯の食いすぎで怒られたことは有ってももっと食えと怒られたのは初めてで戸惑う
働かせるために連れてきたはずなのに働かせてくれない、頭が変になりそうだった
そこから更に一週間が経つと更に驚いた
肉だ!レテウス様が肉を持って来たのだ、それも一度では食べ切れない程の量だ食べ続けたとしても一体何日掛かるか判らない量だった
あまりの量に肉を食べたことを理由に処刑されるのではとすら考えた、これには俺もシヴァンも驚きを隠せず震え上がったが、レテウス様はいつも通り淡々とシヴァンに指示を出している
どうやら骨ごと煮込むらしい…食べられもしない骨まで煮込んでどうするのか
だけど…その…
美味かったのだ
何を入れたのか判らなかったが、シヴァンが言うには古くなったエール、エールで造った酢なのだと教えてくれた
「凄いわよね、あのお酢少ししか入れていないのよ」
酢が入るとこんなにも変わるものなのか…最初は臭みの消えた肉のありがたがっていたのが気がつけばスープが美味しくて癖になる。
それからはトントン拍子に身体が戻っていくのを感じ
「あのスープ最初っから食わしてくれてれば仕事だって直ぐに」
そう言いかけた俺に
「私もそう思ったけど、後になって考えてみると…その、村に居た頃苦労して獲ってきたお肉を食べたユーアン爺さんの事を思い出したのよ」
ユーアン爺さん…そうだった歳食っても元気で功労者だった爺さん。長生きしてほしくてみんなで分け合って若いアカシカの肉を食べてもらった
それなのに爺さんの体調は戻るどころかどんどん体調は悪くなって亡くなってしまった…
爺さんは善良な人だったから妖精が連れて行ってしまったんだ、だから穏やかな顔で亡くなれたんだと…村の連中が言っていて俺もそうだと思っていたんだ、だけど
「ねえ気づいた?レテウス様が私たちの食事時は必ずいた事」
言われてみれば必ず居た…俺達が食べているのを満足そうにするでもなく神経質そうな眼で見て
「一度に食べ過ぎるな!」
「残すな!」
「適当な時間に食べることは許さん」
あれは俺達が必要以上に食べたり腐らせて備蓄が減ることを恐れているのだと思った。でもこの食べ方が妖精に連れて行かれないための食べ方だったのなら…
ますますレテウス様という人が判らなくなる結果だけならば見ればお優しいのだと判る、だけどなんであんなに怖そうに接するのだろう?
事情を言ってくれれば…そう思いかけて自分たちが難民なのだと思い出す
いつか俺が…俺達が認められればあの人は笑ってくれるのだろうか…笑ってほしい
俺だけじゃない子供たちもそしておっちゃんたちの事も気にかけて貰ってるはずだ。それなのに笑ってもらえないのは寂しいじゃないか。今は信じて斧が触れる時を待つ
腹は決まったブローガスからは迷いが消えた
それから数日後
待ちに待った外へ出る許可が出た。するとどうだ
ゴブ爺さんという村の鍛冶師が鍛えた刃、ラグナルのおっさんが選んだ木材とそれを加工したコルマックのおっさんで造ってくれたという俺の斧が差し出される
「これって」
「なあに、暇だったんでな」
「ま、そんなとこだ」
「どいつもこいつもひねくれてやがる。お前が戻ってくるのを待ってたって素直に言えないもんかねぇ」
「「うるせえ(うるさい)」」
ラグナルとコルマックのおっちゃんて仲悪かったと思ってたんだが…それに鍛冶師の爺さんも当たり前の様に絡んでて…
なんでだかは判らない、でもこの村でなら…この村に根を張って生きて行きたい
木を切って帰る場所はもうあの村じゃないこの村が良い
そんな気がしてたまらないブローガスなのであった
しつこいようですがランキング入りを目指しています。
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