38:ソーサが発見したすごいもの
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眠るソーサを抱えるようにしてソラスに乗った俺
心なしか一緒に来てくれているクラウが寂しそうだ
女の子同士だからかソーサはソラスにべったりで、クラウは無理して近づかない
ソーサがもうちょっとクラウにも懐いてくれると良いんだけど…
<大丈夫、判ってるから>
いつかはソーサもクラウに乗るからもうちょっとだけ待っててね
掛かる時間を考えればまずは海から
行きすがら叔父上に今までやってきたことを説明する。と言っても鍛冶屋周りは大抵説明したので
山のピート採掘場跡と海で採った牡蠣やケルプの説明くらいしか残ってない
山の尾根に差し掛かると
(にいに、起こしてあげよ)
起きるかなぁ?
(ここから見る海すっごいきれいなの)
そういえばここは初めて海に来た時にレテウス君がテンション上がった場所だったな
「ソーサ起きてごらん、綺麗なものが見れるよ」
「う~…ねむいよぉ~」
「ほら、あれ見て」
「なぁ~にぃ…」
寝ぼけ眼が輝き出し
「すごい…きらきらしてる…ここ…どこ?おっきな川?向こうが見えないよ」
本当に熟睡していたんだな、自分が外に居ることにも気づいてなかったようだ
「ここは山であれは川じゃなくて海だよ」
「あれが海?」
「そう、海」
意地悪に吹く強く冷たい浜風もこの時ばかりはキラキラと水面を生み出し、ソーサが笑顔になる切っ掛けを作るだけだった
レテウス君はソーサのこの顔が見たかったのだろう
「見て兄様、あそこだけ雪残ってる、鳥さんもいっぱい!」
「どこどこ?」
雪自体はまだまだ色んな所に残っているのだがソーサが指さした先は海辺の岩礁
たしかに他の岩礁と比べるとやけに雪が残って…いや、あれは雪じゃないな糞だ
海鳥の糞、たしか鳥の糞って…
レテウス君、調べたい物があるんだけど図書館に向かってもらっても良い?ソーサが大発見したかもしれないんだ
(ソーサが?)
うん、あそこに見える一つだけやけに白い場所判る?
(うん)
あれは多分鳥の糞なんだけど、前に土さんを元気にするお話したの覚えてる?
(ちっそと、りんと、かり!)
そうそれ、その内のリンが入ってるのが鳥の糞なんだ
(ソーサすごいね)
うん凄いよ、でもそれをどうすれば安全に使えるか判らないから、一緒に図書館で調べたいんだけど…
(ソーサのためだもんね、図書館いく)
ありがと
観葉植物程度でもやっていれば、窒素・リン・カリが重要だということは知ってる
『グアノ』名前はたしかそんなんだった、それも鳥やらコウモリやらで『〇〇グアノ』と名前も変わっていたはず
でも具体的な作用は知らないし、どうやって作られて、どう管理するかなど知らないのだ
特に安全面
作ってる途中で病気や中毒
使いすぎや使い方を間違えて作物全滅
管理が杜撰で土壌汚染
考えられることは山ほどある、今日はサンプルとして少量だけ採取に留めて…
よし!後は叔父上をどうやって説得するかだな、まあ細かいことは妖精さんに押し付けるとして…
「兄様?」
「ソーサ大発見かもしれないよ、実はね今さっき妖精さんの声が聞こえて…」
「妖精…」
ソーサの顔が引きつった
「大丈夫、大丈夫!姿は見えないけどソラスみたいに優しい妖精さんだから」
ほっとしたソーサに
「妖精さんが言うにはソーサが見つけてくれたおかげで村の人も牛さんも羊さんも、た~くさん御飯食べられるかもしれないって」
「ほんとう?」
「うん、ちょっと時間は掛かるかもしれないけど正しく使えば大丈夫だってさ、だからね…」
耳元でソーサに協力要請
「で…でででデイヴィッドしゃま!」
「ん、どうしたソーサ?急に」
白くなった岩礁を指さし
「あ、あの…あの白いのは?」
「あれは海鳥の糞だな、危険だし臭いから近寄るんじゃないぞ」
「は…」
はいと言いそうになっているソーサの脇をくすぐる
「に、兄様やめ、くすぐったい」
「危ないぞ、お前たち何してるんだ?」
「あ、えっと、兄様が妖精さんにあの白いの役に立つって言われたって」
「何!?」
「だからわたしも行きたいなって」
「いや、流石に危なすぎる」
俯きかけたソーサに
「がんばって…大丈夫喜んでくれる…」
小声で応援する
「お義父さん、駄目?」
ビタッと動きが止まった、普段がクールなだけに動揺しているのがよく判りますよ叔父上!
うんうん唸ってる、これはいけるかな?まあ、狙いはそこじゃないからどっちでも良い、だけど叔父上なら…
「いや、駄目だ、だが…ありがとうソーサ」
やっぱりね、そこで危険を無視するような叔父上じゃない
叔父上が俺の前に座るソーサを頭を撫で、ひょいと両手で抱き上げて愛馬おワールに乗せキルトで包んだ
「たか~い」
良かった、ソラスにべったりで他の動物とのコミュニケーションを心配してたけど、今はソラスよりも高い視点が新鮮で楽しいのいみたいだ
叔父上と眼が合った
あ、あれ~、その眼はもしかしなくても怒ってらっしゃいますよね…
「口元が緩んでるぞ」
「お前が何を思ってこうしたのかは判る、最初からお前は俺が断ると踏んだのだろう、だが、もし俺が良いと言っていたらどうしていた?」
あ…
「ソーサは岩礁の岩場を歩くことになっていたんだぞ、お前はそこまで考えたか?」
「ごめんなさい」
「少し反省しろ」
「はい…」
「それで…」
「はい?」
「その…なんだ、それは報告が必要になる類の発見なのか?」
顔にこれ以上仕事を増やさないでくれって見染み出てる…けど
「多分必要になるかと」
額に手を当てため息を付く叔父上と、それを不思議そう見上げるソーサ
「見つけちゃだめだった?」
「「そんなことはないぞ(よ)」」
山を下り終え、海岸線を歩きながら叔父上に説明する…
が、いまいちちゃんと判っているのか不安だ、紙とかに…いや読めないかぁ~識字率上げたいなぁ~
件の岩礁までやって来ると潮も引いている上に
「鳥さん居なくなっちゃったぁ」
「ちょうど餌を取りに行っているところだろう」
居ないほうが都合がいい、向こうも突然来られたら驚いて居なくなっちゃうかもしれないしな
「お前たちはここで待っていなさい、いいな」
「はい」
「はぁい」
「それでどれくらい採ってくればいいんだ?」
「半ストーンほどお願いします」
「判った、良かったお前のことだからパンパンになるまで採ってこいと言われるんじゃないかと思ってたからな」
「そんな酷いことしないですよ」
効果が解るまでは…
「どうだか、効果が有ったらさしずめ目一杯採ってこさせるんじゃないか?」
バレてる…
叔父上が岩礁を登り採取しているのだけど時折
オエッ!
えづいてる、相当臭いんだな…取り方も考えた方が良さそうだ…なんか叔父上を実験台にしたみたいで申し訳ない
帰ってきた叔父上は涙目だし…
ほんっとごめんなさい
「くちゃい」
ソーサに悪意はないのだけど、言われた叔父上は凄いショック受けてた
「お、叔父上!袋、袋!重ねがけしましょう」
オワールまで嘶いてるし、これはまずい
ちらりとクラウとソラスを見れば歯茎出て牙見えちゃってる…
「そ、そうだな…」
この匂いは冗談ではなくどうにかしないと、村のみんなも作業してくれないかもしれない…
重ねがけのおかげでとりあえずは落ち着いたのだが、叔父上はもうちょっとソーサと遊びたいのか
「少し牡蠣も採っていくか」
「そうしましょう」
「牡蠣?」
「昨日美味しかったやつだよ」
「かき~」
やはり美味しいは全てに勝る、今は食材が無いから出来ないけどいつかは牡蠣グラタンとかも作って食べさせてあげたいし
「デイヴィッドーーーー」
見上げると、あれはモルトさんかな?
「お~い」
「お~い!」
真似してモルトさんを呼ぶソーサ、だいぶ明るくなってきたな、元々はこんな性格だったのかもしれない
「デイヴィッドーー!◯%&##+」
ん?なんか様子が変だ
「どうしたのーーーーー」
「どうしたのーーー」
馬も走らせて降りてくるし何か有ったっぽい?
下りてきた後も馬の速さは落ちない
「デイヴィッドー!急いでくれフォーガラフ!フォーガラフが出た」
フォーガラフって……追放者…それか故郷を失った者意味だ
現代的に言えば難民
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