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『妖精の取り替え子』認定喰らって即寒村送り!弱小氏族次男坊の独立戦争記  作者: くろすーおーばー
第一章 幼少期(グレンガルト・トゥア編)

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35:レテウス…キレる

沢山の方に読んでいただきランキング入りを目指しています。

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「あんたやってくれたわね!」

風邪が治ってシェーナ母さんからやっと鍛冶屋に来てみればこれだ、精霊様がクレーマー化してる


「精霊様やってくれたとは何でしょう?窯が熱すぎましたか?」

「それは…満足してるわ」

今日は一緒に付いてきたソーサが俺の背中に回って服を掴んで怯えてる、怖がらせないでほしいなぁ


「では、なにか無理やり手伝わされたとか?」

「それも…ないけど」


「あぁもう違うわよ、みんな鉄持ってるなんておかしいじゃない!あんたの差し金なんでしょ、正直に言いなさぁ~い」

「まあまあ」

「諦めるしか無いって」

「…………」

周りの精霊たちまでなだめているからクレーマーと言っても彼女だけみたいだ


他の精霊様達にしっしっと追い払われてしまった、どうやら俺が居ると彼女の逆鱗に触れてしまうっぽい


まあ、知っててやったんだけどね、火力に関しては感謝してるけどそれとこれとは話は別、村の子連れてかれて堪るかっての


「大丈夫?怖くなかった」

「怖いけど…平気…」

そう言って俺の手を握りソーサが歩き出す。


「おんや、今日はシェーナさんとじゃなくてレテウス様と一緒かえ?」

「おばさんたち、おはよう」

「おはぁよぉ」

「おはよう…」


「あんれ!ソーサが喋ったであ」

「本当にのう、ソーサちゃんえがったのう」

村の母ちゃんたちはじぶんちの子や孫のこと様に喜んでくれたのだが


「あの、ごめんなさい!」

「どしたぁ?」

突然謝り始めたソーサにおったまげる村の母ちゃん達


「わた、わたし…ほんとうは喋れ…るように、なってて…」

「ええんだ、ええんだ、無理すんなってのはそういうこと」

「んだんだ」

「喋れるようになったんならええ」


今まで黙っていたことが心苦しかったんだろう、でもちゃんと謝った

「偉い偉い」

ソーサの頭を撫でてやる

少しだけどソーサの顔もはにかんだ


母ちゃん衆に使い心地と改善点を聞いておきたいのだけど

「レテウス様~」


今日も元気ハツラツ、ヨゾが走ってきてしまった

「じゃあおばさん達、後でまた来るから使い勝手教えてね」

「まっとるでな~」


手を振りひとまず洗濯場(露天風呂)を後にした


「ソーサ疲れてない?ソラスに乗っけてもらう?」

首を横に振っていやいやするソーサ、ぎゅっと手を握ってきた、これは手を離したくないのかな?それなら


「ソラス、お願い」

< 問題ないわ >

しゃがんだソラスの上にソーサを乗せて手を繋ぐ、ご機嫌な所を見るとこれで正解…かな

「さ、一緒に行こ」


「風邪なんぞで寝込みおって、鍛錬が足らんぞ、がはは」

マードック大叔父様は怒ってくれているんだろうけど、笑ってるからいまいち怒られてる気がしない


「あれはシェーナお母さんが許してくれなかっただけで」

「ほぉ…」


なんだろう不思議なものでも見るような、ああ、シェーナ『お母さん』って言ったからか…まずかったかな?

(にいに…)


「あれも苦労しとったようじゃからの、呼んでやれ呼んでやれ」

良かった、問題ないらしい

(よかったぁ~)

まあ時と場合を選ばなきゃいけないときもあるだろうけど、心配しないで普段は普通にお母さんてしか言わないから

(ありがとうにいに)


「そこのおなごもシェーナにしっかり甘えるんだぞ」

「いいの?わたしも…」


シェーナの手を握り

「一緒にお母さんて言おう、ねっ!」

「うん!」


「ほれ、お前に褒めてもらいたくて兄弟が待っておるぞ早う行ってやれ」

止めてたのは大叔父様なんだけどね


「おお!凄い」

既にパーテーションも建ってて覗き対策もバッチリ、何よりこれがあれば熱を溜めて置けるから一石二鳥


期待に胸を膨らませて中に入れば機械で測ったように煉瓦がきっちり並んでる

「想像以上だよ」


「あとは焼いて固める?乾かす所まで出来てます」

嬉しそうに語るのはマザだ

「そこは焼くというかモルタルを乾かすためってのが正解かな」


「まあ火を入れてもらっちゃってても良かったんだけど」

「そうですけど、やっぱり完成する所を見てもらいたいじゃないですか」

待っててくれたんだ


「マザありがと」

「いえいえ、考えたのは全部レテウス様で僕らはその通りにしただけですよ」


「そうそう、俺もマザもレテウス様抜きじゃ何にも思いつけなかった、あ、でもマザがね」

そう言って煉瓦の浴槽の淵を指さした


「これ見てくださいよ、削られてるでしょ。これね転けた時に危ないだろうからってマザが考えたんですよ」

自信満々に弟マザを誇るヨゾ

「兄貴止めてよ、大したことじゃないんだから」

非難がましく言い返すマザ…顔が嬉しそうだよ


でも大したもんだ、俺は何も言ってないしそこまで考えてなかった


「本当に凄いよ」

大叔父様に連れて行かせたくない…叔父上が帰ってきたら連れて行かれるという事実が憎い、断ってくれないかなぁ叔父上


あ、気が重くなってきた…

(にいに~)


あ、ごめんごめんちょっと気合い入れ直そう

ぺしぺしと両手で頬を叩く


「どうしたんです急に?」

「ちょっとね」


レテウス君、準備は良い?

(いいよ~、じゅんびばんたん?)


今日は既にレテウス君に大学の図書館でスタンバってもらっている抜かりはない、じゃあ最初は~


「お願いしておいた細い枝を中央に撒いてもらえるかな」

村の子供達が手伝って種火となる枝を投下、その上には普通のピート、間違ってもお手製のアナム・グアル(超高圧縮乾燥ピート)を使っちゃいけない

「レテウス様、記念すべき火入れをお願いします」


なんだか儀式めいてきたね。でも古今東西、大抵火を付けるのって神聖な行事になってるような気もするし、これはこれでちょっと楽しい


魔法で火を入れると

「「「おぉ~」」」

魔法が希少なものだからより神秘的に見えるのだろう


「いつもみたいに強い火ではないのか?レテウスらしくないのう」

人を何だと思ってるんだこの人…


「もっとこうパパっとできんものか?」

イラッ…


「マードック様、詳しいことは分かりませんがの、火は生き物ですじゃ強けりゃ良いという物ではないのです」

詳細は解らなくても道理は判る、流石村唯一の鍛冶師ゴブ爺さん!もっと言ったて!


「そんなもんかのう」

「そんなものです」


「で?」

「で?」

「この先は何をするんじゃ」

「なにも」


「カァァァ!お前はいつもそれだ!期待させるだけ期待させておいてまた待てか、もっとパーーーっとやってポーーーンと出来るようなものはないのか!」


ブチッ!我慢の限界…


大叔父様はいい人だと思う、優しいし、文句も言わずに手伝ってくれたし


でも…言って良いことと悪いことが有る…


お風呂のことだけじゃない


手放したくなくてもマザも望んでいる事だと思ったから我慢してたのに…

それなのに…


「ソラス…ちょっとお願い、ソーサちょっと向こうでソラスと遊んでてもらえる?」

頷いてくれたソーサを乗せてソラスに向こうへ行ってもらう


フゥゥゥ…

「そんなもの有るわけ無いじゃないですか!大叔父様こそ堪えてじーーーっくり作る喜びを覚えて下さい!」


「なんじゃとう!」

大叔父様が凄むけどここは引けない、引いちゃいけない


「物のことだけじゃありませんよ!時間かけて育ててるマザ持ってくのなんて正にそれ!しかもマザは一人しかいないんだよ!マザみたいな優秀な子が時間も掛けず、努力もせず、いきなりこんな立派なもの作れてると思ってるのなら返して下さい!出来るんでしょ!!」

(にいに!にいに!)


「ぐぅ…大叔父に向って何じゃその口の聞き方は!おまえは一体なんの話を」

「人が丹精込めて作ったり育てたりしてる物にも人にも敬意がないって言ってるんです!そんなんじゃ村人から愛想つかされたって知りませんから」

(にいに落ち着いて、大叔父様悪い人じゃないよ?)


「ま、まあまあ!お二人とも」

ゴブ爺さんが間に入ったけどもう知らない、せっかくの火入れだったのにデリカシーがなさすぎる

「抑えて…レテウス様抑えて下さい」

村人達まで困ってる…こんな事したくなかったのに…くそっ

「もういい、あっち行く」


「どこへ行くレテウス話はまだ終わっておらんぞ」


「マードック様、これはものづくりをしている一人の人間として言わせてもらいますじゃ」

「なんじゃお前までわしに説教か」


「そうではありません。仮にも人を纏めるお立場の方に説教など滅相もない、ただ…」

「ただなんじゃ?」


「儂とマードック様は古くからの知り合い、その(よしみ)で火を扱う職人の戯言を聞いてくだされは頂けませぬか」


「うむ…」

マードックはどっかりと腰を下ろす


「長年火を使っておりますと、火も作っている物とも話ができるようになるのですじゃ。それはもう我が子の様に愛おしいものです」

「物などただの塊ではないか」


「いえいえ、それが不思議なものでちゃんと接しておりますと、「あと少し」だの「まだ冷たい」などと語りかけてきてくれるようになるのです。かといって火の好きにさせてしまえば今度は「熱い熱い」と泣き言まで…いやはや難しいものでございますな」


「一体何が言いたいんじゃ分からんぞ」


「火も物も人と同じ、ちゃ~んと見てやればちゃんとしたものに成るものです。レテ坊…レテウス様はマードック様が時間ばかり急いて向き合ってやろうとされなかった…それがレテウス様には悲しかったのでございましょう」


「…それほどレテウスには大切なものだったと?」

「はい…おそらく、ですが()()ではなく()が正しいかと」

「ふん…あやつはなんでもかんでも大切にしすぎじゃ、そんな事ではいつか壊れてしまうぞ…だが言いたいことは判った」


マードックは立ち上がりレテウスの姿を探すのだが…


ヒヒーン、と響く嘶きの方へ目を向けてみれば


「叔父貴!」

と叫ぶ汗だくのデイヴィッドの姿が見えた

しつこいようですがランキング入りを目指しています。

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