25:マードック大叔父様
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「レテ坊、マードック様に気に入られた様じゃな」
「そうなの?あれで?」
「あの方は最低限の人間しか名を覚えんからの」
「興味がないと覚えないと…」
気に入られたというよりおもちゃ見つけた子供みたいな…
「それにしてもおっきなお馬さん格好いいなぁ」
自分の体が小さいとか関係なくデカい
< 父… >
< 父さん…>
いやいや二人が格好良くないとか言ってるんじゃないんだからねただ別の格好良さがあると言うかね
脚に生えた毛、距毛って言うんだっけそれが風格を醸し出してるし真っ黒で艷やかな体毛
顔を見上げると心なしか嬉しそうでたしか耳を見れば馬の感情が判るんだっけ、どうなってる時が嬉しいのか知らないけど
お馬さんがクラウ達に顔を向け、ニィっと歯をむき出しにしてる、あれ?これってもしかしてドヤってる?
< 父さんこいつ嫌い懲らしめていい? >
いやいやちょっと落ち着こうね
< 奇遇だなソラスおれもそうしたい >
二人を撫でるて落ち着かせているのに今度はまるで『やれるもんならやってみろ』とでも言ってるみたいな見下したような顔するし、ほんとやめて
山の中からコーンコーンと斧を振るう音がこだまする
「お~い、村の集、危ないから村の方へ非難するんじゃ」
森の中からだと言うのにでかい声…何が危ないのだろうか?
「ほれ、レテ坊も早くするんじゃ」
よく分からないが言われた通りに小川を渡り村側へと避難していると
ドーン ドーン ドーン
「へ?」
地面に次々と丸太が突き刺さる
「凄っ!大叔父様って…」
「あの方はな精霊の加護でとんでもなく力が強いんじゃ、もうちっと頭も良ければ族長に成れたんじゃろうがあの通りじゃからな」
そうか自分の様に何か違う人間は他にも居るのか…あとで大叔父様の魔力量がどうなってるのか見とかなきゃ、あとゴブ爺さんさらっと言ったけど結構酷いこと言ってる自覚あるのかな
「おっちゃん凄いね何食ったらそんなに強くなれる?」
「がっはっはぁ飯よりもガンガン鍛えるんじゃそれで強くなれるぞ」
そんな無茶な…
「うわっ!何あれすっごい大きい」
「あれ本当にお馬さん?」
ひ~、ふ~、み~よ~大叔父様の肩には四人も子供が乗っているが平然と山から降りてくる、袋に入った資材も両手に持ったまま…
「レテウスよこれもやんちゃに必要なものなのであろう」
ぽぽ~んと投げられた幾つもの袋が足元にドサドサと音を立てて眼の前に落ちる、凄いありがたいけど大叔父様には貴重品とか割れ物はお願いしない方向で行こう
「ありがとうございます」
笑顔を引きつらせながら感謝の言葉を返す
粘土に石英に沼鉄鉱…
「あ!クラウ、ヨゾ達は」
< それどころじゃなかったから忘れてきた >
< 父さんごめん >
まあ確かに大男と超デカいお馬さんがこっち向かって来たならそれどころじゃないわな
悪いんだけどもう一度取りに行ってヨゾとマザも連れてきて~って来たわ
「レテウス様ぁ~ひぃ、ひぃ…」
「持ってきましたぁ、ハァ、フゥ」
息を切らした二人が袋を担いでやってくる
「軟弱じゃのう」
いいえ貴方が強固過ぎるだけです。一体何歳なんだよ大叔父っていうくらいだから叔父上よりは年取ってるはずなんだけどそうは見えないんだよなぁ
海岸の砂とケルプよし、これで集めたものは揃った後は
「ゴブ爺さん、もう工房の中は入っても平気かな」
「そうじゃな、まあこの寒さじゃからの大丈夫じゃろ」
「はーい皆集まって」
集まった子供たちに
「これから二チームに分かれてゲームするよー」
ゲームという言葉にわくわくし始める子供たち、やってもらうのはお掃除なのだけどものは言い様だ
大叔父様がウズウズしてるけど
「大叔父様には審判をお願いしたいのですが、駄目ですか?」
「審判?なんのじゃ」
「これから子供たちでお片付けをしますどっちが綺麗にできたか審判してほしいのです」
「ほう、ならば勝った方には報奨を与えねばならんな、それが勝負事というものだ」
報奨か…遊びだからそんな大事にしたくないんだけど…
「それなら、大叔父様の~えっと愛馬さんに乗せてもらえるというのはどうですか?もちろん愛馬さんが嫌だったら無しの方向で」
この寒村でこんなに大きな馬を見たことのある人間は居ない、子供たちの目がキラキラと期待に満ちるのも仕方がない
「ドゥラス!構わんか?」
愛馬さんの名前はドゥラスというのか、ドゥラスとはこっちの言葉で黒と 炎を意味する、黒く艷やかな巨体と額に走る炎の様な流星から付いた名だろう
ブルルルと鼻を鳴らすドゥラスさん
「構わんようじゃぞ」
ワーっと盛り上がる子供たち
「ありがとうございます。じゃあゴブ爺さんチームとカラムチームに分かれて~」
「「「はーい」」」
鍛冶屋の棟梁であるゴブ爺さんチームに人数が偏るかと心配したけど、カラムチームもカラムの顔が良いからか女の子がこぞって参加したのでほぼ半々に分かれてくれた
「まるでサーロン…いやあやつ以上に人を使うのが上手いのう」
「え?父上に似ていますか?」
(父上…)
「似ていると言って良いのかわからんが人をノセるのが上手い」
結局のところここに来てからまだ一度も父上に会ったことはない…俺のせいでこうなった…
(にいに、気にしない父上に会えないの寂しいけどクラウもソラスも一緒たのしい)
気を使わせてしまった、いつか逢えるように頑張らないと
「審判と言ったがどう審判すれば良いのだ?」
「ああ…えっと、速さとか量とかちゃんと分別出来てるかとか、大叔父様の勝手で構いません」
「分別とな?どうせ燃えてしまったものを分けるのか?」
不思議そうな目でこちらを覗き込んでくる
「燃えてしまっても、というか燃えたから使えるものが有るんです。最初に分けてくれれば使いやすいですから」
「なるほどのう」
やる気を出した子供たちはテキパキと…というかゴミの争奪戦で火花を散らし、たいした時間もかからずに掃除が終わった
結果はカラム率いる女の子チーム、こういう時に日頃の家での手伝いの差が出るのか
ご褒美であるドゥラスに全員で乗る女子チーム、思っていたよりサービス精神旺盛なドゥラスは怖がらせない様にカッポカッポとゆっくり周りを歩く…
< 父帰っていい? >
< ……… >
いや子供たちの人気を攫った事を自慢げにクラウとソラスの周りを見下すように歩いていた、煽るの辞めてほしい
ゴブ爺さんの男子チームは悔しがっていたが、次のゲーム床に石詰め対決は男の子チームが勝って無事ドゥラスに乗れていたので結果的には皆が乗れた
「ではマードック大叔父様、切ってきてもらった丸太を屋根の代わりに乗せて頂けますか」
「おう」
大叔父様は丸太をこともなげに縦に持ち上げると空に向けて投げる
あ、これ名前はわかんないけどハイランドゲームで見たこと有るやつだ…
普通なら大人十人掛かりで天井に掛けるような作業を次々と一人で軽々とやってのける
「これでよいか?」
「十分過ぎますね…この後は枝葉の付いた細い木を被せてそのまた上から泥を被せます」
「ほうほう枝葉で良いんじゃな」
斧を持って歩き出した大叔父様は近場の木に狙いを定めると助走もなしに飛び上がり木のてっぺんから下まで一振りで枝を切り落としてしまう、体力オバケと言うかなんというか…
それを数回繰り返すと枝葉のない坊主の木の出来上がり
「こんなもんで足りるか?」
「十分過ぎますね…」
「そうじゃろう、そうじゃろう、して泥はどうするんじゃ」
「泥はそこら中に有りますから」
ただでさえ湿地帯がごろごろしている土地だ泥は腐るほど有るし、そのうえ冬で雪も有るから水分もたっぷりだ
「みんな工房の裏に隠れて~大叔父様もお願いします」
「?何をするのか知らんがわしゃ平気だぞ」
「駄目ですお願いします」
「生意気な童じゃのう」
「もし怪我をされたらまた叔父上に怒られてしまいますから」
渋々工房の影に隠れるマードックだがふとしたことに気づく
「おいそっちの妖狼達はこっちの呼ばんで良いのか」
俺の傍に佇む二人
「不思議とクラウとソラスの二頭…いや二人は僕の魔法を受けても大丈夫なんです」
「契約者か」
契約者?よく分からないけどいいや
「じゃあ行きます」
俺は火の魔法の詠唱を開始した
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