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『妖精の取り替え子』認定喰らって即寒村送り!弱小氏族次男坊の独立戦争記  作者: くろすーおーばー
第一章 幼少期(グレンガルト・トゥア編)

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13/58

13:干し肉の改良に挑みます!

沢山の方に読んでいただきランキング入りを目指しています。

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ヒュッ


 風魔法を纏った矢が山鳥を捉えた。

 クラウが嬉しそうに走り出し山鳥を回収して戻ってくる。

< ちち~!獲ってきた~ > 

「偉いぞクラウ。」

(クラウえらい!)

< 兄者好きー! >

 わしゃわしゃと首を掻いてやればご満悦だ。

< 父さん! >

「どした?」

< なんでもない。気の所為だったみたい。 >

 はしゃぐクラウと落ち着いたソラス。


 話す言葉もしっかりしたものに変わり身体も既に大型犬並だが、親を知っている俺からするとまだ小さい。


「もうそろそろ自分たちで狩ってみるか?」

 狩った山鳥をクラウの身体に括りながら何気なく言ってみた。

< いいの?やりたいやりたい! >

< クラウ落ち着いて、父さんがお肉括れないわ >

 小学生の男子と女子みたいだ。


 実際自分で狩りをしてくれるように成れないと成人…成狼とは言えない。


「お前達、狩りもだが村のみんなと仲良くやれてるか?」

< うん、大丈夫だよな? >

< 兄さんたち優しいし色んな事教えて貰ってるわ。 >


 今二人(二頭)は狩りに出ている時以外は羊たちを守る牧羊犬たちと一緒に行動させている。口でどんだけ大丈夫と言った所で村人に信用されるわけがない。だから一緒に行動して見てもらおうと思ったのだ。


 結果はまずまず、酪農をしている村人にとって家畜たちの安全は生存に直結するからね。強い護衛は大歓迎、良好な関係が築けている。


「ただいま~」


「坊っちゃん今日もお疲れ様です。」

 ベルテは括られた山鳥をクラウから外しながら労ってくれる。


「おかえりレテウス今日もお肉を使うの?」

「シェーナさんただいま!うん干し肉。」


 もう直ぐここに来て一年になるが最近俺がシェーナさんと呼ぶときにモヤッとした気持ちが伝わってくる。

 もしかしたらお母さんと呼びたいのかもしれない。だけど何も言ってこないのは多分モイラさん(本当のお母さん)の事を考えてるから…大丈夫、君がどうしたいか言ってくれればどんな選択肢でもちゃんと代弁するからね。


「男の子も料理はするけど、こんなふうに料理をする子は初めてよ。」

 氏族のケイエル(戦士)として幼い頃から自炊を叩き込まれるから珍しくはない。シェーナさんが言っているのは代々受け継がれている伝統の干し肉ではなく、俺が独自(現代知識)でもっと長持ちする干し肉作りに挑戦しているからだ。


 干し肉作りはこの地で生きてゆくためには必要不可欠な作業だ、それは去年の冬で十分過ぎる程学んだけど肉が多ければ沢山作れるというものじゃない。


 大量の塩が必要だからだ。

(にいに、ちっそとりんとかり)

 おお~!それだっ!窒素とリンとカリ!偉いぞレテウス君ありがと。

(えへへ)

 重要な栄養素が思い出せなくて困っていたのをレテウス君が見つけてくれたのだ。こんな感じでレテウス君には部屋の中で初心者向け観葉植物の育て方入門を読んでもらっている。


 俺がお肉の研究でレテウス君が植物、ガチ農業と観葉植物ではレベルは違うだろうが基礎は学べるのではないかっていう推測だ。


 そろそろ自分でも鳥を捌ける様になりたくて、〆た山鳥の調理を見たけど熱湯ぶっかけてブチブチと羽を抜く所で俺もレテウス君もぐったりしてしまいちょっとしたトラウマになっている。


 周りの子供達は気にせず解体を手伝うらしいが食肉加工を見たことのない(現代人)氏族の直系(良いとこの坊っちゃん)には衝撃だったのだ。


 干し肉に関しては魔法は使わない前提で動いている。皆が作れなければ意味がないからな


 作り方そのものは昔ながらのものだが塩の代わりに灰を使う、塩と違い灰ならば日々の生活で手に入るからね。

 煮沸消毒した布で肉を包み集めた完全燃焼で白くなった灰に埋めて密封する。灰が水分を抜いてくれるし密封することで外気にも触れることはない、水分を抜いたあとはファイヤーハウス(囲炉裏)の上に吊るしこの土地ならではのピート(泥炭)で燻製する。向こうの世界で見たサバイバル動画のアレンジだ。


 とは言え動画からは味や仕上がりは解らない。製造するのに掛かる時間も解らなければ時計も存在しない世界だ。


 夏から作り始めているのはその為、それに秋の終わりには食料が少ない所為で育て切れないと判断された牛や羊の様な家畜は屠殺されてしまう。それからでは遅いのだ。


 これが村が発展できない理由の大きな要因の一つと言える。


 早い内にこの干し肉を完成させて村人の保存食を確保したい、それに干し肉の保存期間がちょっと伸びたくらいなら他の氏族と揉めたり国に目をつけられることもないだろう。うん完璧な計画だ


 もうここ一週間この作業を続けているがまだコツが掴めていないからか出来はまちまち、鳥肉は三切れ作って一つは翌日食べる。

 もう二切れは日持ちの確認のための保存と予備、出来の良かったレシピを改良しつつ繰り返すこれをデータ取りで記録する。記録は部屋にいるレテウス君にお願いしているが記録というよりは絵日記でレテウス君は鉛筆とノートに夢中だ


 世のお父さんお母さんはこれを日々見ているのか羨ましいことこの上ない。



(にいに、お外。)

 お外がどうしたのかな?

(お外の塔の白い丸とけい?)

 俺の部屋から見える時計塔のことか、そうだよ時計あるじゃん!うんうん時計だよ今どんな感じ?

(短いのがねぇ4()で長いのが12()だよ)

 どうやら本で時計の概念を知ったようだ、凄いぞレテウス君!


 えーっと今は朝?夕方?

(ゆうがた)

 時間のタイミングは同じか…ん?ねえレテウス君夜ってどうしてるのかな?

(くらくてこわい…)

 うわぁぁぁ!なんで気づかなかった、あのねお外に出る扉有るよね。

(うん)

 扉の横にこう、スイッチ…何ていうこう四角い出っ張り有ると思うんだけど押せる?

(とどかない…)

 あ~

(いす持ってきた。)

 頑張って、でも転けないようにね。

(とどいた!これを押すの?)

 そうそう

(にいに!おへやが光った!)

 良かった~、今まで気づいてあげられなくてごめんね。

(ん~ん、夜くらいのふつう)

 寝る時は消すことも教えてあげたけど三歳であること、全く知らない部屋にいることを(かんが)みればレテウス君が俺の部屋に居ると知った時点でもっと考えてあげるべきだった。


 考え始めると色々浮かんできたからこの際なので伝えておく、まず水の使い方、蛇口をひねるだけで水が出ることに感動し、トイレも教えたが排泄は必要ないみたい…というか今まだご飯を一度も食べていないのだから飲食も必要ないのだろう。だけど渦になって流れる水が楽しいのか何度も水を流しているみたいだから注意


 コンロとシャワーも教えようと思ったけど止めた。火の扱いはやはり怖い、シャワーも転けて怪我しそうでもう少し大きくなってから…

(にいに!火!火出た)

 うん、子供って好奇心の塊だもんね、何しでかすか解らないからちゃんと今のうちに教えておこう。


 今まで俺は俺が死ななければレテウス君は無事だと思っていたけど逆にレテウス君がそっちの世界で怪我をしたらどうなるのだろうか?

(………)

 ああ、ごめんごめん気にしないでね。不安にさせてしまった様だ。


「レテウスご飯よ~」


「は~い」

 今日はご飯を食べたら昨日の干し肉を確認して寝てしまおう。育ち盛りに夜ふかしは成長に悪い。


 明日は日曜日で農作業もないしヨゾとマザが勉強に来る日だ。建前上は二人と遊ぶことになっている、三歳児が八歳と七歳の教師だと色々と変だから偽装だ。


「「レテウスー!」」

 翌朝二人が元気にやってきた。一緒に外に出て裏手の林で勉強会

 識字率はゼロに等しかったけどこれが()()の普通なんだろう。文字よりも先に数字を覚えてもらいたいから地面と石を使って簡単な足し算と引き算から始めた。初めの頃でも順調に一桁はクリアしたけど二桁に入った途端出来なくなった…でもこれがこの子達や小作人の限界じゃないということは知っている。


 税の徴収で叔父上に付いて行った時、大人たちはタリーと呼ばれる棒に切込みを入れていくら収めたと解るように表記して棒を折りそれぞれ片方を保管する、後日確認する時も木で出来ているから年輪や裂け目がピッタリ合うから偽造することは出来ない。

 

 日本でも昔貿易に使われた勘合符みたいなものとでも言えば近いかもしれない。


 この知識を発案した人が偉い人だったとしてもそれを理解できるのなら国民自体も低いわけじゃない、簡単な算数くらい問題ないはずなのだ。


 その証拠に今では二人は簡単な掛け算が出来るまでに成長している。


「頭痛~い」

「う~~」

 兄弟揃って呻いているが今まで諦めたいみたいな弱音は吐いてないし、勉強するのに向いている性格なのかもしれないな。


 魔法を教えるべきかどうかはまだ迷ってる。

 どれだけの社会変化が起きるか解らない。兄上の忠告からすると、可能性としては庶民に教えた罪で掴まって死刑とか、教えた庶民が反乱起こして一族もろとも滅ぼされたり考え出すとと切りが無い。

しつこいようですがランキング入りを目指しています。

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