表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NO MORE映画崩壊 -観客が消えた世界で、作り物の少女は本物の心を探す-  作者: 幸いぶん
シアター3.クローズドミステリー『ミス・マーブル/寝台列車、永遠の眠り』
PR
47/51

上映前.迷宮入り


 ビネガーシンドロームは負の感情を媒体にして、キャラクターに寄生する。


 そうして物語を破壊しようと、宿主の力を限界以上に引き出し、心を暗く染め上げる。


 時代劇の町人。

 アメコミのヒーロー。


 バトルが主軸の世界のキャラクターに寄生すれば、恐ろしい戦闘能力を発揮する。


 後者なんかは現実世界との境界が破壊されかけた。


 それを経験しても私は断言出来る。

 ビネガーシンドロームの厄介さな点は、戦闘能力を引き上げる事じゃない。



 ── 映画の"ジャンルに適応"する事だ。



『クソッ、これで何人目だよ!』

『すぐにこの車両を封鎖しろ。誰も移動出来ないようにだ!』

『あぁ、神様……!』


 ヨーロッパを横断する寝台列車。

 リゾートホテルも顔負けの、華やかさと落ち着きの混ざった空間には、乗客たちのざわめきが広がっていた。


 私はそれを横目に、隣の女性へ声をかける。


「す、すみません……。

 今なんて言ったのか聞き違えてしまったみたいで、もう一度言ってもらえるとありがたいなぁ〜〜、って」


「現実逃避をしている場合では無いよ。シアウ君」


 薄暗いベージュのトレンチコートに同じ色の帽子。

 如何に探偵です。と主張する服装をまとう妙齢の女性。


 目立たない色の服とは違い。

 目を引く程にスタイルも顔も整っており、色鮮やかな紫髪が揺れている。


 このミステリー映画の「主人公役」だ。


「曲がりなりにも探偵をしている身だ。

 それがこんな事を言わされるなんて、とても癪なのだがね」


 何が起きても動じない気怠げな表情が、私の横で現場を見据える。

 どんな謎も明かしてきた彼女の口から出たのは。



「──すまない、この事件は迷宮入りだ」



 異常事態への降伏宣言だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ