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ep.final『胎動』⑤

「!? 777番さん、結界があるはずなのにこの衝撃は……?」

「うぅむ、どうやら度重なるハネゴリラのタックルで耐久力が低下しているようじゃ」

「これだけのハネゴリラに囲まれては、高性能の結界でも限界があるということか……」

「最早壊れる結界を当てにしても仕方がないわい!! この船の主砲でハネゴリラどもを吹き飛ばすぞい!!」

「何っ、そんな武装もあるのか!!」

「さしものハネゴリラとはいえ、時間稼ぎくらいはできるはずじゃ!!」

「かたじけない……!!」


 ヴォルガーの呼びかけでリッケと不死鳥(フェニックス)達が射程範囲から退くと、777番は手早い操作で主砲を展開、発射した。


「GO!!!!!」


 耳をつんざくような轟音とともに、眩い閃光が放たれた!!


「「「「「ウホホォォォォォォォォォッッッッッッッ……!!!!」」」」」


 ハネゴリラの群は断末魔をあげて閃光に包まれる。

 ハネゴリラのゴリラ耐久力を考えればこれで死滅することはないだろうが、空中戦を続けられる個体はほとんどいないに違いない。


「よし……これなら魔王城まで行けるな!!」

「うむ!! そして魔力を使い果たしたこの船は墜落じゃあっっ!!」

「え゛っっ!!?」


 明らかな緊急事態を朗らかに報告され、ヴォルガーは驚く他なかった。


「ちょ、ちょっと!! この船が墜落するってこれ、どうなっちゃうんスか!!」

「SEXY BOY達はリッケさんに運んでもらうぞい!!」

「いやそれはいいんスけど自分!! 自分はどうすればいいんすかぁ!!」

「安心するんじゃ!! 世界一美しい不時着を見せてやるぞい!!」

「ひぇぇぇぇぇえ!!」


 怯えるルカに、船の外からリッケが声をかける。


「落ち着きなさい!! いざという時は不死鳥(フェニックス)達がフォローするから!! ヴォルガーとラピアは早くこっちに来て!!」


 ルカのことは心配だが、ここは777番の操縦技術と不死鳥(フェニックス)達を信じるしかない。

 ヴォルガー達は船を離れ、リッケとピーちゃんに魔王城まで運んでもらう。


「結局二度手間になっちゃったわね!! これなら船に乗せないで直接魔王城に運んでもよかったわ!!」

「ま、まぁ結果論ですから……」


 ピーちゃんの背に乗って、僅かに残ったハネゴリラ達を猛スピードで振り切っていく。

 いくらハネゴリラといえどあれだけの攻撃を受けたうえでの単純なスピード勝負となれば、不死鳥(フェニックス)に敵うはずがなかった。

 そして魔王城に接近するにつれて、ラピアは城の状況を知覚する。


「魔王城……結界がほとんど崩壊しています!! やっぱり万橡の泉を解放したからでしょうか……!!」


 堂々と空に鎮座しながらも、人類からの攻略を許さなかった魔王城。

 それを支えていた結界が崩壊しているとなれば、侵攻は容易なはずだ。

 勇者ギデオン達が先んじて乗り込んだという情報も確かなのだろう。

 そしてラピアの知覚は、さらに恐ろしい事態を捉える。


「!!? この魔力は……リッケさんの情報通り、ギデオンくん達はもう魔王と戦っている……!? ギデオンくんとリア様たった二人だけ、魔王城の屋上にある庭園で……ギデオンくん達が押されています!!」


 ギデオン達にも当然助力する者達はいたはずだが、どうやら魔王の元まで辿り着いたのは二人だけらしい。

 やはり、この世にひしめく強者の中でも、魔王との直接対決に見合うのは暴食の霊剣グレイヴ・オブ・グラトニーに認められた者だけということかもしれない。

 ならば、その使命を果たさなければ。


『ひょーっひょっひょっひょ!!!』

『うわーっ!! こんな美しい不時着見たことがないッス……!!』


 スピーカーから漏れ出る声を聞く限り、777番もルカも無事らしい。

 あとは、目の前の戦いに集中するだけだ。


「ヴォルガー!! 世界を救えるならあたし達の作った薬を変なことに使ってるのは不問にしてあげる!!」

「クェーッッ!!」

「リッケさん、ピーちゃん、ありがとう……!! だが俺は、別に変なことに使った覚えはないぞ。ただ乳首を開発しているだけだ」

「いいから行きなさいこのひょうろく玉め!!」


 リッケが突然キレたことは気になるが、気にしてもいられない。

 魔王城……勇者達と魔王の戦いの舞台は、もう容易に目視できる距離まで近づいていた。


「ラピアさん、しっかり掴まっててくれ!!」

「はいっ!!」


 ヴォルガーはラピアが自分の肩に掴まったことを確認するとピーちゃんの背中から飛び降り、そしてピーちゃんの強靱な足を踏み台として魔王城へ飛び込んだ。

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