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いじめ対応マニュアルー転生教師はクビをかけて貴族令嬢を糾弾するー  作者: 神埼 アオイ
第2章 頑張れアザラシ!ーヴァレリオーズ温泉修学旅行ー
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自主プラン 

誤字のご指摘ありがとうございます!

久しぶりに三人称で書いてみました。

書きにくい書きにくい。

「自主」「プラン?」

聞いたことない言葉に戸惑う生徒達を尻目に、アオイは上機嫌である。

王子とイーゼが、ガードすら人払いして、密談したがっていたので、アオイは空気を読んで退室した。

ロビーで今後のことを考えていたとき、ぴかっとひらめいたのだ。

修学旅行のお楽しみと言えば、

自主プランではないの!と。

そうと決まれば(決めたのか)話を早く進めるのがアオイである。

お風呂上がりの生徒達を集め、ゴランさんを呼び、宣言したのだ。

「そう。これまではゴランさんのおかげで、楽しい旅程をみんなでたどりました。明日は、それぞれ自分の行きたいところ、したいこと、を自分でプランニングして、実行してもらいます!」

両手を腰に、アオイは得々と説明する。

「今から、1時間、ここで明日のプランを立てて下さい。地図はゴランさんから、借りました。しおりの残りの日程は白紙とします。でも、しおりの行く先もプランに入れていいのよ。

施設のことで分からないことは、ゴランさんに聞いてください。移動時間もね。朝から、夕食の7時まで、明日は自由に過ごしましょう!でも」

「「「「でも?」」」」

「明後日には、ゴランさんが審査する、プラン発表をしましょう!『おすすめシエン旅行プラン』を考えて下さい。明日の自主プランを軸に、今まで訪問した場所も入れて。」

ゴランさんは、にこにこしている。

「今後のPR活動に、採用したいと思います。優秀なプランには、賞品をだしましょう。」

おお!

わあ!

ガカロ騒動で、ちょっと湿っていた彼らの気分は上げ上げである。

「質問」

パトロが挙手。

「行動は何人で?」

3人以上で、なんて『えんそくのきまり』を言いそうになるアオイだが、ふいっと思いついた。

「一人でもグループでもOKです。お一人の場合や女性だけの場合には、王子にお願いして侍従さんかガードさんを貸してもらうから。安全は保障します。」

平民の女性達は安心。貴族の子息たちは、侍従と同伴でも窮屈ではないだろう。

「入館などの料金も自由?」

「プランにかかるコストも、審査対象です。昼食も、おすすめを見つけてきて下さい。」

今思いついた割に、なかなかの即答ぶりである。

「なるほど…。さすがは先生。自由だが、学びがある。そしてゴラン氏の評価・シエン観光に採用というゴールの設定。ー素晴らしい。新しい。凄いな、リーゼンバーグ先生」

バルトの知的な賞賛にアオイは照れるが、今のバルトならアオイが何を言い出しても受け入れるだろう。バルトのアオイ贔屓は本物である。

「では!紙と鉛筆です!よおい、はじめ!」



「そうか。初日の岩盤浴か。」

「旅が決まったときから、伯爵の耳には届いていたようです。その疑惑が募ったのが、彼女らの噂話だったようで。」

王子とイーゼは、紅茶を飲みながら、穏やかに話していた。

もちろん、お茶菓子は禁止。ダイエットは続いている。

「クレアの婿候補。確かにどのご子息も良縁です。さらに殿下も同伴となると、伯爵の心配は募る一方。よもやクレアに手を出すことはあるまいか…昔気質の辺境伯は旅のアバンチュールなどもっての他。爵位を譲る前に嫁に出ては一大事。」

「ホテルの従業員も、スパの従業員も、みな伯爵のしのびというわけか。」

「スパイ、と私やアオイなら、そう呼びますね。情報は筒抜け、ということですね。」

フローラ達の(腐女子のあそび)を真に受けたスパの従業員が、上司に報告。さっそく上司は鳩を飛ばして伯爵に伝えたようだ。

さらに牧場の様子、シャトーの様子、と、クレアを追跡し、監視していた。

そこに、グラッパを飲んだガカロと遭遇したわけだ。

「ガカロのマーレは、物理的に作用しますが、周囲の人間の心を視ることができます。主に自分の物差しで悪者を見つけることが得意なようで。ガカロにとって、悪者って、女性に妨げがある人物なんですね。今回は、クレアを監視していた、ということで、吹き飛ばされたんですね。」

「…女性に悪さした輩と同じ扱いか。」

可哀想に。


王子は、お腹が減った、とつぶやいた。聞き逃さない侍従が扉を開けて「殿下!」と声をかけてくる。時刻は6時を回っている。イーゼは、そうですねえ…と侍従に紙を差し出した。

「このレシピを料理長に。こちらにお食事は回して下さい。」

王子、きらきらとした目で、マーレ師を見ている。先ほどの強面が、にやけている。

「デトックスメニューですよ。王子頑張りましたからね。美味しくダイエットしましょう。」

王子、へらへら、である。

「で、王子の方は、お話いただけるのでしょうか。」


王子は再び根暗な表情に戻る。

「おっしゃりたくなければ、よろしいのですよ。私の想像が合っているのであれば。」

イーゼは、慌ててとりなす。王家の醜聞をマーレ師とはいえ、一市民が詮索するのは僭越というものだ。

「いや。聞いていただこう。旅でこれだけ世話になりご迷惑をかけた貴殿に、隠しておくまでもない。」

王子は、のし、と座り直してイーゼに顔を寄せてきた。

「義母だ。」

ベルロット王后。

「辺境伯と同じだ。コーチ殿も言っていたな。クレアと同伴したものだから、婚約者のいる身で不祥事をおこさないかと気をもんだらしい。義母はアゼリア贔屓だから、彼女があらぬ誤解をしないかと、そちらも心配だったようだ。」

俺とおとこおんなのクレアで、どうなるっていうんだまったく、と、クレアの膝蹴りが飛んできそうな悪態をつく。

「クレアも同じことを言いました。…殿下と彼女の友情は、まだまだこの王国では、理解されないものなのでしょうねえ。」

「学院で出会わなければ、俺も義母と同じ考え方になったであろう。平民も貴族も男も女もない、学び手が主体である学院のおかげだ。」

王子は、うっすら笑みを浮かべた。

イーゼは想う。

彼の青春は、あと1年と少し。

卒業すれば、王太子として実務に当たる。

それこそ、階級と、役職とにがんじがらめになりながら、彼の理想を追わなければならない。

今しばらくの、やんちゃがしたい。この旅も、彼にとってはそうなのだろう。

(我が儘王子も、致し方ないですね)

イーゼは苦笑する。


「湖視察の、しのびも、地下の彼だったのでしょうか。」

「そうだ。彼の任務は俺の監視。大勢はともかく、一人の女性と一緒にいるときは視ていたらしい。」

ああ、クレアと山登り。私もいたのに。

アオイと卓球。私もいたのに。

私は空気ですか、そうですか…

「イーゼ殿?」

「ああ、いいえ。…侍従さんもガードも、いたなあ、と。」

「ーその侍従達も、グルだ」

「え」

「あやつら、旅のお供に選ばれた時から、義母に丸め込まれおって!あろうことか、しのびを列車にかくまっていたのだ。毎日しのびは義母に報告を出しておった!」

この王国では、報告とはつまり伝書鳩をさす。

旅の日数分、7羽連れてきていたのだろうか…手品か。



「さあ、決まりましたか?紙を出して、出して!」

アオイはうきうきと声を張る。

「えーと。バルザックくんは一人ね。

ミュージアさんレーナさんミアさんは、グループなのね。

フローラさんは、一人。

バルト君とパトロ君は、兄弟ペアかあ。なるほど。」

「質問ですわ。」

「はい、ミュージアさん。」

「おうちへのお土産などは買ってもよろしくて?そのお土産はプランに書き込んでもよろしいの?」

「そうねえ。んー。」

アオイは、現実世界の<るるぶ>などを思い出している。

「いいですよ。シエンの宣伝になる目玉商品が見つかるかも。

でも、良識の範囲で。お買い物ツアーではありませんからね。

明後日の午後は、お土産をお買い物する時間をつくりましょう。それも考えて過ごして下さい。

他には?」

ありませーん。

「では!紙はゴランさんに転写していただいたら、お返しします。夕食まで、解散!」

皆はうきうきと、階段へ向かう。



残ったアオイはゴランに

「せっかくのしおりだったのですが、ごめんなさいね、我が儘言って。」

と声をかけた。

「なんの。よい案です。若い彼らの視点でシエンを再認識できます。何よりお客目線は喉から手が出るほど欲しい情報です。いや、さすが教師。ー自主プラン、ねえ」

ゴランは、ふふ、と笑って大きなお腹を揺さぶった。

「私の娘も行きましたよ、自主プラン。かわいいこけしを買ってきましたね…」

「…ゴランさん?」

王国ではありえない単語に、アオイは凍り付く。

こけし??

「ゴランさん、あなた…」

「貴女も、ですね、リーゼンバーグ先生。」

まさかまさかまさか!

でも!

岩盤浴 スパ プール…

まさか!

「はい。私はこの世界に転生した者です。どうやら向こうの私は、事故で死んでしまったようなのですが、こちらでこの身体に転生しまして。」

「ひ。え??」

「貴女から、耳慣れた言葉が、ぽんぽん出てくるものですから、確信しておりました。」

どうも。前世は、柴崎御藍(しばざきごらん)という僧侶でした。

いまや生臭坊主でございます。

このシエンで、前世の記憶を使って、温泉王になろうと野心をもっております。


「ひええ…!んなことあるう?」

アオイは椅子から転げ落ちながら、イーゼーぇ~~~とビブラートの悲鳴をあげた。





みなさんはどんな自主プランにいったかな?

読んでくださって、ありがとうございます。

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