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いじめ対応マニュアルー転生教師はクビをかけて貴族令嬢を糾弾するー  作者: 神埼 アオイ
第2章 頑張れアザラシ!ーヴァレリオーズ温泉修学旅行ー
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報告 

各国の貴賓が素晴らしい!

ああ、眼福の一日。

おかげで投稿が遅れた上に、説明ばかり。

ごめんなさあい。

「あ、イーゼ、大丈夫?」

「アオイ~終わりましたよ~疲れました~へにゃあ~」

旦那様は、へとへとの猫になって部屋に帰ってきた。なんかげっそりしてる。

「なんか、食べる?それとも、シャワーにする?」

「いえー、それより」

イーゼは私の横に座って、へた、と膝に頭を乗せてきた。

「それとも、あたし?って、言って欲しいものですー」

すりすり。膝頭を撫でてくる。

馬鹿。にやけるじゃない…っと?


すーすー


寝るんかい!!


マーレ・コントロールって、こんなに疲労困憊するものなのね。


大丈夫かしら、私たち。

ていうか、私。教師も辞めたくないし、でも、こんな風に仕事をしてくる夫を支えられるのかしら。どっちかっていうと、現状私の方がイーゼに甘やかされているのよね。こんな姿一緒の時に見せたことなかったし。


いえ、現実でもそう。

中学校教師で部活持ってたら、土日もない時期があるわ。夜勤のある伊勢を支えながら、私働けるのかしら。今は、結婚して、旅行して、楽しい時期だし、周りも遠慮してるし。でも、「日常」になったとき、私は「家庭」を作ることができるのかしら。


「だあいじょおぶ、です、よ」

はえ。寝てたんじゃないの?心読んだ?

イーゼは目をつむったまま、へら、と口角を上げてつぶやく。

「こおんな風に、へたれになる時も、ありますよ~。でも、貴女がいると思うと、充電されますねえ」

「…」

「いいもんですねえ。奥さんの膝枕。アオイは私の栄養剤です。」

イーゼ…

「やわらかくて、あったかくて、大好きですう…。」

イーゼ。


ふふ、本当に寝ちゃった。

どうぞどうぞ、旦那様。こんな膝で良かったら。



よくない。

ねえ、かれこれ1時間経つんだけど!

しびれてるんだけど!血が滞っているんだけど!

微動だにしないイーゼを乗せて、おしりまで上がってきたしびれに耐えていると

ピロピロピロ

内線電話がかかってきた。

「っよいこら、しょ!っと! はい、リーゼンバーグ」

イーゼを起こさないように、左手を伸ばすだけ伸ばして、やっとこ受話器をとる。

「クレア様から、伝令です!」オーナーの緊迫した声。

「…私の部屋へよこして。それと、王子をこちらの部屋に。」

「フェーベルト様のお部屋ではなく?」

動けないのよ!しびれてんのよお!



(コーチ、いちゃついてるのを見せつけるために?)

お風呂に入ったようで、王子は濡れた髪のまま、新しいトレーニングウエアで現れた。

(そんなわけ、ないでしょ。まさしく死んだように寝てるんだから。ガカロのコントロールで、こうなってるんだから、仕方ないでしょ。)

こそこそと、王子と私は会話する。イーゼを起こさないように。

(ガカロは爆睡中だ。イーゼ殿には、感謝する。だが、このままでは話もできないな。よし)

パチン、と王子が指を鳴らすと、侍従がささ、と近寄ってきた。

わ。すごい。寝た形のまんま、イーゼを持ち上げて、ベッドへ、さかさかさかと運んでいく。

イーゼ、起きない。

もしかしたら、膝から落としても、起きなかったかも。

うわ。血が、血が。流れるう。

う~しびれが一気にくるう!来るよお~

(コーチ。新しいダンスか?)

うるせえわい、しばらく近寄るな、近寄るなよお~


「はー。治まってきた。さて、王子、クレアからの伝令を呼び寄せました。侍従さん、入れてあげて。」

侍従さんは無表情のまま、戸口に向かった。なんか、怯えてません?


入ってきたのは、おまわりさん。

黒い角張った帽子と、黒のマント。白い手袋、腰にはサーベル。

ぴし、と敬礼して声を張った。

「シエン警察の!ジェックであります!クレアお嬢様より!ご報告うぉぉ?」

私と王子は、必死におまわりさんの口をふさぐ。イーゼが起きちゃうじゃない!

…ふう、大丈夫だと、もう一人の侍従さんが、手で○をつくってる。

「ご苦労。小声で伝えてくれ」

(はい。クレアお嬢様からお伝えするようにと。

ーお爺様の所に行ってくる。一日かかるので、明日の昼に報告する。こちらは問題ない。つかまえた男は警察に引き渡してくれ。皆に今後危害は一切ないと保障するー

との事です)

「伯爵の?」

(はい。ヴァレリオーズ伯爵様は、シエンからさらに奥山の国境近くにおいでます。)

クレア、何をつかんだのかしら。


「では、わたくしは、男を署に連れて行きます。お供の方、ご案内下さいますか」

びし!と、小声のまんま敬礼。

「…よかろう。案内してやれ。ただし。俺が伸ばしたしのびは、そのままに。」

王子は侍従さん達に指示を出す。

「わかっておろうな。」

「ーおおせのままに」

ん?王子、シリアスなままなのはいいけど、なんか、あった?やっぱり侍従さん、おどおどしてません?


「ね、クレアは何か分かったのかしら。」

「伯爵がからんでいるのであれば、同じようなものなのか…くだらん。実にくだらん。」

王子、シリアスに静かに怒ってます?

なんか、断罪の時のモードに感じるけど。

ああ、そうか。あの時の王子は、怒っていたのね。

クレアとアゼリアの、画策に。愚策に。

もともと王子は、人を貶めることとか、駆け引きとか、嫌いなんだよね。きっと。

卓球をやってみて感じた。この人は、まっすぐな人。誠実な分、信頼できない相手には容赦ない。だから、寡黙の王子。

クレアが、バルトが、王子を慕うのは僥倖。

後継者争いとか、枢密院との関わりとか、魑魅魍魎の中で上に立つ運命の若者に、仲間がいる。学院という閉鎖された、貴族も平民も「同い年」というくくりの中で、繋がれた絆は一生ものだ。


「本当に…。でも、それも親心という愛情なのですよ。」

振り返ると、寝室の入り口にイーゼが立っていた。

「起きた?大丈夫?あ、うるさかった?」

「大丈夫です。爆睡できましたから。王子、あなたの方も、同じですか?」

王子は、こくりと見えない首(肉が!)を縦に振った。

「同じ?」

んん?話の見えない私は、王子とイーゼを右左と見比べる。

「ガカロから、つかんだか?」

「はい。あちらは、クレアがご立腹でしょうねえ。」


「一応、ご説明いただこう。イーゼ師。」

「仰せのままに。」

イーゼまでシリアスモードで、胸に手を当ててお辞儀を返す。

もったいぶらずに、早く話して!




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