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いじめ対応マニュアルー転生教師はクビをかけて貴族令嬢を糾弾するー  作者: 神埼 アオイ
第2章 頑張れアザラシ!ーヴァレリオーズ温泉修学旅行ー
38/45

マーレ師イーゼ

私も旅行へいってきました!


不審者確保の場合

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

関係機関との連携 保護者への説明 生徒の心理的ケア

再発防止のセキュリティ見直し

安全点検 マスコミ対応

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「さて、まずはゴランさん。ホテルのセキュリティを見直して下さい。宿泊者とゲストの区別ね。外部からの侵入経路を絶つこと。避難経路の確認も考えて。」

「はい。不審者が潜む死角はつぶしましょう。避難用の扉も再点検いたします。」

てきぱきテキパキ


「バルトくん。生徒達は気が立ってると思うわ。ホテルのスパでゆったり過ごさせて。フローラさん、特にレーナさんはケアが必要。できるかしら?」

「大丈夫だと思います。学院マーレ騒動は噂に聞いていると思いますから。きちんと説明すれば、分からない彼女たちではないでしょう。」

「そう。頼むわ。こうやって不審者が複数いたことを考えると、まだ油断はできないから、男女そろって行動して下さい。スパには王子のガードを連れて行って」

テキパキテキパキ


危機管理のスペシャリスト、女教師の独壇場です。

「クレア。警察機関は、あるのかしら。」

「市民警察はあります。」

「では、シャトーの現場検証を依頼して。不審者の情報が残っているかもしれないわ。」

「私が立ち会いましょう。ジドー爺のことも心配だから。」

「お願いね。何かあったらオーナーに伝令を。内線でこちらに回してもらうから。」

おお。あっという間に皆さんを動かしてしまいました。

残るは、女教師と私と王子と…

「おーじー、わるもの どうしたのお~」

酔っ払いガカロですね。


ガカロはただいま王子の部屋で椅子に縛られております。虐待?いえ、こうでもしないと浮き上がるんですよ。椅子にはピクルス用の石が結びつけてあります。ちょっと前に、空中浮揚で若者を惑わせたカルト教団がいましたけど、本当に浮揚できる人初めて見ました。

魔法じゃないんですね。この世界、魔法は設定外です。ローファンタジーです。

「…イーゼ。どんな塩梅?」

「んー。かつてないケースです。マーレを低出力に安定させてみますかね。」


バルトくんのように、脳の能力を増大させるマーレ以外に、フィジカル面に作用するマーレもあります。例えば肺のポテンシャルを上げて水中に1時間いるとか、ありえない速さで走るとか。

それ以外に、第3のマーレが存在します。

身体の外に作用するマーレです。

かつて王国には黄金のオーラをもち、岩を浮かせたという英雄がいました。初代アズーナ王です。まるで超能力ですね。スプーンまげは本当なんですね。

透視、なんてのも、ありましたね。

でも、それが、何?って思いませんか?

岩なら道具で動かせます。スプーンを曲げちゃいけませんし、トランプのカードが分かったらそりゃ賭博ではぼろ勝ちできるでしょうけど。ばれたら袋だたきですよ。

私の中で、第3のマーレは、なんだか役に立たないもののように、感じるんですよ。


ただ、宗教上は、別です。

ガカロくんのマーレを押さえなかったのは、お父さんの準教皇でしょうね。見えない力ってのは人が怖れるものです。恐れは信仰につながりますからね。うまくすれば、ガカロくん、お父さんの跡継ぎ、いえ、教皇まで出世できるかも、ですよね。


「危険が伴う可能性があるので、アオイと王子は外へ出て下さい。」

「分かった…王子、あなたもお疲れだわ。しのびはまだ伸びてるし、お部屋でお休み下さい。」

「…。」

「王子?」

王子、シリアスモードです。きり、とした表情(パーツはいいんです!)でアオイに振り向きます。

「ーすまん。コーチ、しばらく部屋で侍従と過ごさせていただく。」

王子、何か考え事しながら退出です。

「ー。じゃ、イーゼ、気をつけてね。」

「大丈夫です。これでもマーレ師ですからね。」


ガカロ ガカロ・ボラリナ

「んにゃ…」

聞こえますね。見えますか、このふりこの動き。そう。ふりこを見つめて。左。右。

上手です。おや、まぶたが重い?でも、見つめて下さい。そう。上手ですよ。

今度は、私の目を見ましょう。あなたが映っていますね。オレンジに光ったあなたが。

わたしの目も、光りましたか。そうです。わたしの目はあなたの目です。

わたしは…あなた。

ガカロ・ボラリナ わたしは、あなたです。


私も発光し始めました。同化成功です。ああ、身体が軽い。私も浮遊しはじめました。

もう少し、彼の(なか)をダイビングしてみましょう…



「…と、いうわけで、ガカロは女生徒をたぶらかして悪戯した男子生徒をこらしめたわけだ。悪事がばれた生徒は身体もぼろぼろだが名誉も地に落ちて退学となった。」

バルト・アズ・ミズリは、微に入り細にわたり、卒業パーティ2次会での出来事を語り尽くしました。記憶がこれだけ鮮明って、生きづらいでしょうね。

「…ガカロくんは、英雄ですわね。」

レーナさん、頬を染めて、つぶやきます。

「そういう言い方も、あると思います。な、トールマーレ。」

「そ、そうです、わね」

いつの間に、あの破壊者が英雄になったのでしょう。

学院のホール中に散らばる瓶、グラス、折れたテーブル、折り重なる男の子、なぜか無事な女の子たちの泣き声。阿鼻叫喚だったではありませんか。

バルト、詭弁ですわ。


私たちは、ガードと一緒に、スパでのびのびしています。

男子のブレー姿は、目のやり場に困ります。私たちは、長袖のシュミューズとドロワーズですから、大丈夫です。お母様たちなら、はしたなさ満点かもしれませんけど。お湯につかれば、羞恥はありません。

「それにしても、貴女、フローラ。マジメな貴女がよく二次会に参加したものね。」

「本当よ。私たちちゃんと帰ったのに。おかげでガカロくんの活躍を見そびれたわ。」

おっと、私に話が回ってきました。

「仕方なかったのですわ。私の従兄弟が居残ったんですもの。私の馬車を返してしまって。」

従兄弟は本当に放蕩息子で、結局高等部には進めず商会に就職することになって。最後だからと、はめをはずす魂胆で。

でも、ガカロが大騒ぎしたものだから、宴はおしまいになって。

いい気味でしたわ。


「アゼリアときゃっきゃしている姿からは、考えられないな。」

「マーレ持ちだとは聞いていたが、あれほどとは」

ちょっとショックだったバルザックくんとバルトくんは、軽い怯えが残ったようです。

「中等部から一緒だけど、やらかしたのはこれで2度。2度しかない。大丈夫。蒸留酒さえなければ、あの子はみたまんまの天真爛漫なにゃんこだから。」

にこにことバルトは言い切ります。

ほんと、腹黒ですわ。



そう。ワインは美味しかったね。リーナの笑顔も、うれしいね。

みんな笑って。いい時間だね。

ほう、グラッパ。めずらしい。いい香り。

一口。そう、一口。

かあっとしてきたね。うん、でも、押し込もう。

波をイメージして。水の上下を そう 静かに

静かに


見えたんだね

男の腹が


クレア?

バルト…パトロ、ナレック…

女子たち


「そうか。そういうことか。」

「…ふにゃああぁ」

「ー目が重いね。脳が休みたがっているね。うん、眠っていいよ、ガカロ」

にゃんこは、椅子に座ったまま、眠りにつきました。

発光が止まっています。


そういうことだったんですね。









さてさて、旅も終盤です。

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