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いじめ対応マニュアルー転生教師はクビをかけて貴族令嬢を糾弾するー  作者: 神埼 アオイ
第2章 頑張れアザラシ!ーヴァレリオーズ温泉修学旅行ー
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天才は作られる

スコーン。コン。コン。…

白球は、緑の卓をえぐるように叩き、床にバウンドした。

「…やはり」

女教師は、鋭い目で向かい側の男を睨んだ。

そして、手を腰に、しゅた!と、人差し指を男に向けて指す。

「私の見込んだとおり。お前は、十年いや百年に一人の、逸材!」

女教師は、相手の反応も反論も許さず、続ける。

「そのむちゃくちゃなスイング。見事な空振り。弱々しい踏み込み。揺れる腹。これだけやって、上達しないのは、人と同じ物差しでは測れない潜在能力のため!お前は、卓球の、天才!!」

「ーお、俺が」

「そおっ!天才は枠に入らない。この私がその能力を開花させましょう!」

「コーチ…」

「岡!エースをねらえ!」

「コーチぃぃ。」



アオイさん。それはテニスです。あれは目ダヌキで、こちらはアザラシ。

しめしめです。碧さんのアニメ好きのおかげで、王子やる気スイッチ入りましたね。



今日の王子は意気消沈していました。

昨日の間食は叱りましたよ。叱りましたとも。で、夕飯はサラダだけになっちゃったのは自業自得です。

本人も辛かったと思いますよ。朝の犬の散歩の後、計量したら、200グラム増えてるんですから。あれだけ山登りして、ですよ。しのびの一件で早駆けで山下りしてるもんで、今朝の筋肉痛はマックスです。

それなのに、朝食のテラスでは、男の子チーム女の子チームが、和気藹々としています。楽しい旅を全うしろと言ったのは自分ですからね。辛さも悲しみも共有する相手がいなくて、心折れちゃったんでしょうね。いじけて、床にごろごろするんです。

悲しみのアザラシ。


本来ならアゼリア杯水球大会みたいに、ゲーム性があって、みんなとわいわいやるのが性に合ってるはずです。

ん?ゲーム?


で、私、思い出したんですよ。列車でアオイがラケット取り出していたのを。

卓球!

不審者から身を守るためにも、トレーニングは室内が必須。そして、負けず嫌いでゲーム好きで飽きっぽい王子ががんばれるスポーツ。

最適じゃありませんか。

しかも、ここには、中学校卓球部顧問が転移している!


「そうだけど、卓球の練習って、地味よ。どんなスポーツも基礎トレからだもの。素振り百回とかさあ。アザラシに我慢できるの?」

「ふふふふ。私は碧の実はアニメオタクで腐女子なことも、知っているのですよ…なりきってください。スポ根アニメのコーチに!」

んな、むちゃくちゃなあ~という彼女の文句を聞きながら、アオイの荷物から、さっさかさっさかラケットとボールを出しました。

「よくこんなものありましたね。おお、ボールはセルロイド製とコルク製がありますね。ひい、ふう…1ダースですか。ラケットは、桐ですか?4本も。ラバーはタイヤ用のゴムを薄く貼ったんですね…。」

「えへへ。温泉と言えば卓球でしょ?スリッパでもいいんだけど、せっかくだから作ってもらったの。子供たち連れてくることになっちゃったから、楽しませようと思って。」

ーこういうとこです。こういうとこが、アオイ~~

…大丈夫です。我慢します。早くミッション片付けて二人きりになりましょう…



「天才には、天才のメソッドがある!」

「俺は、天才だ!」

「努力できることが、天才である!」

「俺は、天才だ!」

素晴らしい。天才天才、と、反復横跳びしながらの素振りをかれこれ200は続けています。

フォアハンド、バックハンド、フォアハンド、バックハンド…


「右をためてぇ、左を踏み込んで、叩く!」

「ビンタ!」

「右をためてぇ、左を踏み込んで、叩く!」

「ビンタ!」

…分からない人は、第1部「王子断罪」をお読み下さい。高速フォアハンドスマッシュです。


「左脇から~高速で上半身をねじりつつぅ~振り切る!」

「バックビンタ!」

「高速でぇ~振り切る!」

「バックビンタ!」

王子、スマッシュはすべてビンタですり込まれております。


「股関節回してぇ、ためてぇ~身体の前の玉を、打つべし!」

「ドライブ~ビンタ!」

「ためてぇ~前の玉を、打つべし!」

「ドライブ~ビンタ!」

王子、真剣です。がんばれ、がんばれ。


「はい~休憩。けいれんの元になるから、汗はしっかりふいて冷やさないこと。しっかり水分をとりましょう。」

かれこれ1時間、素振りだけで王子を動かしましたよ。さすがです、鬼コーチ。王子いい汗です。うれしそうに辛そうにしています。よかったです。


「アオイ、どうですか?上達ぶりは」

私はウインクしながらアオイに振りました。

「王子は天才。人とは比べられないわ。彼のペースに任せましょう。こんな逸材を指導できて光栄です。」

アオイはちゃんと乗っかってくれました。

王子、汗を拭き拭き、頬がひくひくしています。しっかり聞き逃さなかったようです。

「コーチ殿、そろそろ玉を打ちたい。」

「素晴らしい。その向上心。孤高の天才はやはり凡人とは違うのね…いいわ、やりましょう!」


カコーン

「ビンタ!」

カコーン

「ビンタ!」

凄いです。まったく台にかすりもしないホームランを打ち続けています。

「その強打、そのパワー。台に打ち込まれたときの相手は恐怖です!さあ、ラバーを寝かせて打つ!」

カコーン

「ビンタ!」

凄いです。アオイ。凄いです。碧さん。

女教師は女優です。ほめ殺ししまくって、やる気スイッチを押し続けます。

その技、そのボキャブラリ、その表情。女教師のスキル、チートすぎます。

信じられません、王子が動いている、動いています!

これは、旅最高の消費カロリーかもっ。

女教師、最高!





♪エースエースエースゥ♪ リアルタイムで観てた人、いないでしょうねえ。

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