お召し列車でGO!
ぶちぶちぶち!
イーゼです。アオイはおかんむりです。
そりゃそうでしょう。学院の秋休みを利用した私たちの新婚旅行に…。
「待たせたな。いくぞ」
アザラシです。
なんで王子がご一緒なんでしょう。
事の発端は、クレアがヴァレリオーズ山地の温泉地に私たちを招待してくれたことでした。アレ以来クレアはアオイを師と仰いでいるようです。仲良しさんです。義理堅い彼女は、祖父と共にお礼がしたいと申し出てくれたのです。
「王都からシエン温泉地まで、鉄道が開通したんです。これから観光にも力を入れようと思います。で、お二人に是非。シエンはいいところです。ホテルも一新しました。ちょっとした街になってますよ。山の幸とおいしいワインが名物です。鹿肉は絶品です。」
アオイはもうほくほくだったんです。
私もノリノリです。アオイと温泉でしっぽり…。
さらにクレアはPRです。
「岩盤浴もあるんです。美容によいですよ。ダイエットにも効きます。」
これに反応したのが、王子です。
ダイエット!
アゼリアに口うるさく言われ、ため息をつかれ、そんながっかり逢瀬を重ねるにつけ、自分でもヤバイと思っていたようです。
ア・ゼ・リ・ア・に・内・緒・で・、・痩・せ・る・。・
この魅力的な言葉に、王子は はまってしまいました。
「俺も、行く!視察だ!クレアも、こい!」
…んなこと、いくわけないでしょう。新婚夫婦と高校生男女なんて。アゼリア婚約破棄です。クレア明日から王太子妃候補になっちゃいます。
そのため、王子の親友バルト・アズ・ミズリと、クレアの友だちのフローラ・トールマーレが同行することとなりました。そしたら、
「バルト兄さん、僕も行きたいな。」と弟のパトロ君が食指を動かしました。こうなると
「ぼくもお!!」「無論、俺も」
と、芋づる式にあの三人組がそろい踏みです。
クレアは当然うろたえましたので、フローラが「クレア親衛隊」から3名をチョイスしました。
大人数です。修学旅行です。引率ですう~。
「先生、なんか、ごめんなさい…」
「いいのよ、クレア。あなたも大変ね…。」
シエン行き豪華寝台列車は、お召し列車となり、ご一行貸し切りとなりました。
さあ、7日間のシエン旅行です!いざ!ヴァレリオーズ山地へ!
「素敵!すてきぃ~!!」
スイートルームでアオイがキャイキャイしています。
クレアの配慮で列車に1つの展望ルームつき特別室です。絶景です。豪華な誂えです。
ベッドはキングサイズ。病院の私の休憩室と同じ面積かも。
「わあ、ミニキッチンもあるぅ。ここで暮らせそう。」
「…旅の間、ずっと部屋で、過ごしましょうか。」
後ろから肩を抱くと、アオイは真っ赤です。かわいい。
も、そうしましょう!
ずっと、いちゃいちゃしましょう!!
私のスイッチ、入りました!さあアオイ、ご一緒に!
「失礼いたします。イーゼ様」
カンカンカンとノックの音。アオイ、出ちゃいけません。開けちゃいけませんてば!
「フェーベルト王子殿下が、お呼びです」
ほおらぁ~。だからぁ~。あ゛あ゛~~~。
ほ。プログラム?
「そうだ。夜会で処方してくれた朝型生活とイヌの散歩。おかげですこぶる調子がよい。体重は変わらんが、少し身体は絞れた気がする。」どうやって連れてきたんだか、王子は毛並みの良い大型犬をわしわし撫でて座っています。
よかったですねぇ。では、私はこれで!
「そこでだ」
は。
「温泉を使ったダイエットプログラムをイーゼ師にぜひ作成していただきたい。」
え。一週間ですよ、新婚もとい修学旅行。
「…成果が出なかったら?」
王子にやり。…いやな汗がでます。
「私が立太子式を行うまで、ダイエットのサポートをしていただこう。無論それまで、ビンタとは別居となるな。」
やっぱりぃ。
嫌ですうぅ。横暴王子ぃ~!
さあ、始まりました、俺様アザラシのわがまま旅。
皆様、前作同様、かわいがってくださいね。




