表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いじめ対応マニュアルー転生教師はクビをかけて貴族令嬢を糾弾するー  作者: 神埼 アオイ
転生教師アオイとのアズーナ王国物語
23/45

神埼碧3

番外編クレアちゃん、と、貴族学院の3令嬢の話を書きたくてうずうず。

アオイを幸せにしてからね。

ご感想などいただけたら幸いです。

白い天井 蛍光灯 ベッド シーツ

間仕切りカーテン

定期的な機械音


点滴?


…病院?


「あ、碧!よかった!」

おかあさん…

「慶ちゃん看護婦さん呼んで!目が覚めたって!…碧、あんた一週間も寝てたんだよお~!!」

寝て?

死んだんじゃなくて?

じゃ

まさかの

…ゆ め お ちーですか???


え、妄想?アズーナ王国は?アオイ?アゼリア?

…ご都合主義でしょ!ブックマーク消えるわ!!

22回も読んでくれた人に失礼やわっ



私、眠って、たの?

んで、碧なのね。中学校の神埼先生、あおちゃん先生なのね。


点滴の針が両手に刺さってメッシュの絆創膏が手首に貼り付き、管が二つ両脇のスタンドにつながっている。右はオレンジ、左は大きな透明の袋。ぴ・ぴ、と定期的な音は、私の鼓動の速さだ。バイタルサインのモニターがちかちかしている。


お医者がばたばたやってきて、目の瞳孔に光を入れたり、指をグーパーしろと言ったりしてくる。


「お名前をおっしゃって下さい」「神埼碧です」「生年月日は」

住所は、職業は、お父さんの名前は…

ぽつぽつと答えているうちに、思い出してきた。

そうよ、倒れたんだ。生徒を下校させていて、玄関で。




碧はどうやら脳しんとうを起こしていたらしい。救急車でかつぎこまれた病院であれこれ処置されたが目覚めず、7日間こんこんと眠り続けていたそうだ。MRIに異常はなく、脳の障害はみられなかった。バイタルも高熱以外正常。血液検査正常。それでも目を覚まさない。田舎の母親と、下宿が近い弟の慶が交代でついてくれていたそうだ。そして、眠っているのに脳は活発に活動していたそうで、担当医が24時間濃度の高い栄養点滴を処置していた。


「校長先生も、他の先生達も、声をかけたりあんたの好きな音楽もってきたり、いろいろしてくれたの。生徒さんも」


MP3には、

アオちゃんせんせー! がんばれ-! おきろー!

起きねーと宿題やんないぞー! しわができるぞー! おきてーっ!!

という励ましと罵倒が(高橋おぼえとけ)エンドレスで入っていた。

鼻の奥がつんとして涙が出てくる。


「校長先生、ぺこぺこ頭を下げてね。大切なお嬢さんがこんな事になって申し訳ない、って。ブラックだブラックだ、と、言われ続ける現場で、お嬢さんの体調管理が出来ていなかったのは、一重に私に責任があると、白くて薄くなった頭をそれこそ床につくくらい。」

りんごを剥きながら、お母さんは、いい職場ねえ、と言ってくれた。


神埼碧は、こちらの世界で、必要とされている。大事にされている。

故郷の母親、海外に単身赴任の父親、同じ都市で働く弟の慶…

職場のみんな、校長先生、そして生徒達!

この涙は幸福感と安堵の涙。

碧は、この世界に、還ってきた。


ここが、碧の、世界。

そう。

でも。


「碧?どこか痛む?まだ眠い?」

ううん、お母さん。

碧は布団をひっぱって顔をうずめた。

違う涙が、あふれて止まらない。


イーゼ

イエス、って、諾、って、はい、って準備してた。

私も、イーゼに恋してた。

一緒にいたいと思ってた。


…私、イーゼにもう会えない。

会えないんだ!!



ひとしきり訪問客がやってきて、碧の個室はそれは賑やかだった。土日ということもあり、受け持ちの部とクラスの子も顔を見に来てくれた。


「も、びっくりしたよお!!目の前だもん。こっちが病院送りになりそうだったわあ~」

「アオちゃん、無理してたんでしょ。しばらく部活はいいから。みーちゃんママが保護者会長でしょ?張り切ってるから」

いろいろ申し訳ない。


この際だから、身体の隅々まで調べ上げてもらえ!!という慶と母親のお叱りで、しばらく入院となった。休むからには、三週間以上だと非常勤講師を手配してくれるらしく、そうすることにした。授業の方も安心できそう。…代わりはいくらでもいる、なんて考えが頭をよぎると、ちょっと心がちくっとするけど。


「神埼先生」

教頭先生がにこにこ話しかける。

「長い教職人生です。一度くらい現場を離れて過ごすのも、その後のご自分の財産になるものです。ゆっくりされて下さいね」


はい。その長い教職人生を送っていらした女教師の言葉は確かだろう。

うん。いっぱい寝る。いっぱい本を読む。

(そんで、忘れちゃおう。異世界(アズーナ)のこと。)

…イーゼのこと。

猫顔の、長髪の、マーレ師のこと…



月曜日。

「おはよーございますう。朝の回診ですう」

朝7時。やけに早く、個室のドアがあいて白衣の男性が入ってきた。


「初めまして、ですねえ。あなたの寝顔はいっぱい見ましたが。神埼さん」

ネームプレートには、伊勢 とある。

「脳神経科兼心療内科医のー、伊勢です。お目覚めになってなによりですねえ」

「あ、はい。お世話になります…」

あ、リラックスしてください、と医師はスツールに座って、ベッドに起き上がった碧と向き合った。


「7日間、貴女の脳はフル稼働でした。しかし貴女は懇々と眠り続けていた。生命維持の脳幹は貴女を生かし続けていましたが、大脳の暴走は止まることがなく、エネルギーを大量に消費し続けた。このままでは貴女の命も浸食されると誰もが危惧していました。国内でこのような症例に誰も出会ったことはありません。」

結構重体だったんですね、私。


むこうでは1か月以上いたんだけど、あそことこちらでは時間の経ち方が違うんだね。

夢なんて、一瞬で見るもんだよね。


「でも」医師が続ける。

「申し訳なかったかもしれません。私もまさかあのシーンで、戻ってしまうとは思わずに薬を」

「へ?」


「いえね、国立のお偉い教授を呼ぶだの、なんだの、騒ぎになって。貴女も40度の熱が下がらなくなって、ええい、これ以上は無理か!と。」

なんですと?


「まあ、初めての転移(トリップ)ですからねえ。ダメージは大きかったですねえ。でも…私もショックだったんですよ?まさか一世一代のプロポーズの途中とは!!」

え  ええええ な、なんだってえ???

う そ。こいつ、そういえば髪をオールバックにして…結んで…


「どうもー。アオイ。私は、伊勢(いぜ)朋成(ともなり)と申します…」

あなたの、イーゼですう…いや、照れるなあ

「イーゼ…」


碧はくしゃっと猫顔になった男を震える指で指したまま、硬直した。
















夢落ちじゃございません。おねがい、もう少しおつきあいしてね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ