大団円その1
たくさんの方に読んでいただいてハッピーです。
引き続いてイーゼです。ことのほか実況が好評でした。
今もっさりアザラシと絶対美少女が見つめ合っております。
そういえばアザラシ、言い得て妙です。
王子ちょっと、その、小太りですね。灰色の髪に高等部のねずみ色の制服がもっさりしてるんですね。
でも、アザラシの愛嬌はくりくりの目です。あんな前髪では愛らしさが消えキモいと思われちゃいます。無精ひげがアザラシさ倍増です。なんでもっと身綺麗にしないんでしょうねこの王子。
「馬鹿を言うな。お前は学院を出てい…けばいい!無理に学業を修めずともよい!」
「はい殿下。わたくし出て行きます」
「俺はお前と違う。もっと学びたい。国を栄えさせるにはどうしたらよいか考えたい。立太子式まで、時間がない、ないのだ」
お前にかまっている暇なぞ…
「はい殿下。わたくし、求めません。」
それでも、お慕いしておりますわ…
王子の言葉が美少女ににっこりと吸収されています。ブラックホールです。
王子ボキャブラリー無くなりました。あんぐり口をあけています。美少女にこにこしています。
「ちょっと、待って?アゼリア、三行半つきつけられてんのよ?まだこんな根暗に未練があるっての?」
アオイです。正気に戻ったのに不敬な発言です。
「先生。ありがとうございます。先生のおかげで、わたくし目がさめました。」
美少女のアクアマリンはアオイにも効くようです。アオイ不敬にも王子を指さしていた手を下ろしました。
「わたくしは何?
わたくしはわたくしです。
詩を吟じ、花を愛し、刺繍が得意な箱入り娘です。人と交わり装いを楽しむことが得意な伯爵令嬢です。
だから、わたくし、フェーベルト様の婚約者に選ばれたのですわ。
ですから、わたくし、ここを去ります。
…それは、確かにフェーベルト様と同じ学舎で同じ空気同じ景色に身を置くことは、わたくしのあこがれでした。
でも、わかりましたの。わたくしには、無理です。」
「いくらも補習をします。貴女の辛さ分かってあげなかったのは教師の手落ちです。だから」
いいえ、先生。
「人間向き不向きがありますわ。わたくしに学問は似合いません。」
美少女の決意はその凛とした立ち姿から伺えます。
アオイは、はああー、と息をついて肩を落としました。いい人です。だから好きです。
「わたくし、后教育を続け、フェーベルト様に嫁ぐ日を待ちます。王家が求める婚約者としてふさわしい女性に成長できるよう精進いたしますわ。」
アゼリア晴れ晴れです。なるほどそうですね。王妃が学者になる必要はありません。
「…それほどまでに」
もっさり王子、納得ですか?
「それほどまでに王妃になりたいか、ふん」
もっさり!ひねくれてます!
うお、アオイのフットワークがバックハンドスマッシュの…
よかったクレアが抱きつきました。
「あんたねえ!!ここまで言ってくれる子に、よくもそんな!!」
お離し下され・殿中でござる。 クレア、押し込んどいて下さい。
「先生本当に…わたくしの事思って下さってありがとうございます。わたくし幸せです。」
この子は本当に人たらしですねえー。
アオイ腰くだけです。こんな笑顔でこんなこと言われて、惹かれない奴はいません。
いや、いました。
あざ…王子です。
「婚約など棄ててもよいのだ!婚約など、親が勝手にしたことだ!」
「殿下…」
「俺は、愛だの恋だの、そんなものは、いらん!
この国の…農産物の自給率は天候に左右される。鉱物資源も輸出源ではあるが加工を他国に委ねている状況。貿易とて、経済状況や外交の出来不出来に振り回される。
大局から鑑みて政策を立て、その策も…」
ぶぁかもおん!!
再びアオイが点火しました。クレアのおかげでスマッシュなしです。がんばってください。
「お前は、あ ほ か!!
一人で国をしょってるつもりか!
レスラーか!アザラシか!!」
アオイ。罵倒に無理があります。
「たかだか17年で、人生決めるんじゃないわよ!何様のつもり?!」
王子様です。
「女の一人も幸せにできないくせに、なあにが国家よっ!愛だの恋だのも知らない輩が、国の安寧を語るんじゃねえ!この頭でっかち!
期末テストの難問よりも、アゼリアの純情に答えてごらん!」
おお座布団10枚です。ぱちぱちぱち。
先生がその脳みそ入れ直してやるぅ…アオイ本当にいい人です。クレア、締めて下さい。
「………のだ」
ん?
「わ…か…らん…のだ」
んん?
王子?
「アゼリアが、どうして…俺を…俺よりもっと…王子の肩書きで寄ってくる蝶など…そんな女だとは、思えんのだ。
だったら、俺なんかよりもっといい奴と、楽しくした方が…いいのではないか?」
「フェーベルト」「殿下」
「女を喜ばすことなど、知らん。どうして女が泣くかも、知らん。そんな男、女を不幸にするだけではないか?」
「…」
王子、わかります。あなた今とても素直です。
「アゼリアは笑っている方が俺は、いい。だから」
「フェーベルト。殿下は本当に、馬鹿だ」
クレアがアオイを片羽締めながら、美しい微笑みを王子に向けました。怖い絵面です。
「フェーベルト、今、お前、アゼリアが好きだと、
大好きだと告白したんだぞ」
くすくすくすと男前な美人が笑います。貴女それ以上力を入れるとアオイの意識が落ちます。
アオイ?息できてますか?
気がつくと、室内はぬるい空気が漂っています。
アゼリアが幸せそうにアザラシに話しかけます。
「殿下…」「俺は!」
「…俺は、文など、送れない」
「はい、殿下。わたくしが、書きます。読んで下さいまし」
「花は、分からん。」
「贈っていただかずとも。一緒に庭に行きましょう」
「お前が喜ぶことなど、」
「殿下の幸せがわたくしの喜びです」
絶世の美少女は最終兵器を繰り出しました。
「花や詩など、このわたくしが最新の流行を作ります。女として欲しいものは、わたくし自身が手に入れますわ。
7歳の頃に、王宮でお会いして、そして写真絵をいただきました。ずっとずっと写真絵を胸に、殿下への恋心を育ててまいりました。殿下が学業をそして、政を優先するのは王として当たり前のこと。殿下が王太子として王としてあらせられますよう、わたくし補佐をいたします。
いくらでも待ちます。いくらでもすることはございますわ。」
ストロベリーブロンドとアクアマリンの瞳、そして桜貝の唇(引用アオイ)
すんごい凶器がアザラシの至近距離に!
「フェーベルト、わたくし、あなたをお慕いいたします。あなたに仕えあなたを愛します。一生おそばに。」
おお。王子どっかショートしました。真っ赤です。アオイの手の跡が薄く見える程です。
最終兵器、王子の手をとりました。王子、湯気が見えるほどです。
あ、氷嚢が届きました。アゼリアが受け取って王子のほおを冷やします。
ラブラブです。ひゅーひゅー。(棒読み)
「では、これで、審議終了、ですわね」
副校長がざっと扇を開いてはたはたしました。さっき投げましたよね。何本持ってるんでしょう。
「クレア・レア・ヴァレリオーズ。これからも学業に努め、領地の塩となれるよう、励みなさい。」
「はい。副校長様」
「アゼリア・アズ・ローレイナ。自主退校を認めます。次代王妃として、その品性を高めて下さい。」
「仰せのままに」
「それから、フェーベルト・エリ・ド・アズーナ。本日は審議にご参加いただきありがとうございました。貴方、人間の幅を広げることも王としての素養ですよ。その辺は、クレアやアゼリア様にみっちり教えていただくことね。」
「・・・・・・。」
やっぱラスボスです。いいとこ引っさらいましたね。
クレアようやくアオイを離しました。
「・・・は、あーーーっ」
アオイ三途の川見えたんじゃないですか?
「最後に、アオイ・リーゼンバーグ」
「ひやぁ…っ。はい!」
「お疲れ様でした。教え導くことが教師の努め。生徒がよりよい方向に歩むために、道を示すのが先に生まれた私たち教師の本懐です。
力わざもありましたが、貴女のおかげで生徒たちが変わりました。これからも学院の子供たちをお願いしますよ?ねえ、王子」
「・・・・・・ああ」
ひゃっほい アオイ命拾いだけでなくクビもつながりましたね。
「あ、ありがとうございます!」
アオイ、嬉しそうです。まあいいでしょう。私が養うなんていったらスマッシュが飛んできたかもしれませんからね。プロポーズは別の機会としましょう。
アオイの示した女性の生き方。
男に振り回されず、自分の軸を作るということ。
クレアもアゼリアも、しっかり分かったのではないでしょうか。
「クレアさん。アゼリアさん。」
「はい先生」
「二人とも、がんばってね!先生あなたたち見てたら、勇気が出ちゃった!この年でも、知ることいっぱいあるんだなあ、人間って深いなあ、学院にいてよかったなあって。ありがとう!」
そうです、こういうところに惚れました。
「先生。わたくしもクレア様も、しっかり歩んでいきます」
「アゼリア様。同感です」
(わあい、アゼリアが戻ったよ!ぼくのアゼリアだあ!
馬鹿言うな、俺たちのアゼリアだ!
いや、すでに…私の、で、ある
それはないわー王子!)
かしましい男の子たちです。かしましいとは女三人とかいて…訂正。美少女二人とアオイも、きゃぴきゃぴしています。
「おほん!」
白いおひげの校長が咳払い。皆さんお静かに。
「これにて、閉会!!」
みなさん、お疲れ様でしたあー。
イーゼさん、お疲れ様でした(笑)




