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いじめ対応マニュアルー転生教師はクビをかけて貴族令嬢を糾弾するー  作者: 神埼 アオイ
転生教師アオイとのアズーナ王国物語
14/45

審議・直前

進むようで進みません。ごめんなさい。


「ご機嫌様。ヴァレオリーズ嬢。おじい様に目が良く似てらっしゃる。」

「副校長様。本日はわたくしのためにお骨折りいただきましてありがとうございます。」


高等部来賓室

アーチを描いた太い梁が天井から柱と一体となってえんじ色の絨毯まで続いている。

高い明かり取りの窓からは、初夏の日差しが硝子を通して柔らかく、絨毯の細かな模様を浮き立たせている。意匠を凝らした大扉は先ほど閉じられ、今は外部の音が何一つ漏れてこない。


2人の女丈夫(じょじょうふ)は部屋の中央で挨拶を交わした。

「なんの。貴女の要求は至極当然。けれど、貴女一人で大丈夫?」

ちらりと両側の椅子を見て、副校長が尋ねる。右側の椅子は一つ。クレアサイドである。反対側には4つの椅子。アゼリア嬢と友人の席だ。

「・・・後で、不利な審議であったとおっしゃるわけには参りませんよ?」


たかが小娘同士の争いに王子まで担ぎ出させたのである。

ジュリナは少しばかり不満だった。事を大きくしては何のためにいじめ対策委員会を設けたのか分からない。


これにはクレアの眉が、ぴくりと動く。

「これしきの事に人様の手を煩わせるわけにはまいりません。(見くびるんじゃねえよ)

小賢しい(使えない)女教師では、火の元を断てないようですがね。

(上司がしつけろよ、ちゃんと)」

少し歪めた口元からクレアの冷笑が漏れた。それを貼り付けた微笑でジュリナは受け止める。


「頼もしいこと。(・・・でかい口たたくんじゃないわよ小娘)

さすが伯爵がお育てになったご令嬢(たぬきじじいに口の悪さも習ったんかい)

-無論私は公平な立場で見守ります。たかが教師ですからね。

よろしいですわね?(やるならやってごらんなさい。)」


「ええ。是非。」

(年増)

(ガキ)

ほほ

ほほほ

部屋の隅で、記録係のイーゼが小さく「こえぇ・・・」と呟いたのを二人は無視した。




その5分前。


アオイは高等部正面玄関で、アゼリア一行を待っていた。程なく最新の蒸気自動車が車寄せで停止する。運転手が座席扉を開けると、バルザック・パトロ・ガカロが順に下りてくる。そして最後に運転手の手で少女を下ろす。


「アゼリアさん。よく頑張ったわね。ここまでよく来たわね。」

「リーゼンバーグせんせい・・・」


そこに立つのは、一輪の花。

以前より少しやつれはしたものの、金の百合姫は健在である。品のよいパフスリーブのブラウスを制服のミディスカートで引き締め、折れそうな腰の細さが際立つ。華奢な半袖からの腕とスタンドカラーの首は透き通るような白さ。ピンクブロンドの髪をつむじの後ろでまとめ上げ、垂らした巻き毛がきらきらと黄金を反射する。

そして、バラ色のほおと吸い込まれそうな蒼いベリルの瞳。瞳に陰をつくる長い睫。たった今開き始めたつぼみのような口唇。神以外造形しようがない容貌である。

・・・ほわあ 世界中の男、死んで☆と微笑まれたら喜んでほいほいあの世にいっちゃうよ!

いるんだねえ!正真正銘の美少女って!

バルザックくん、ごめんよお。お姉さんここまでの破壊力だと思わなかったよ!

国が傾くね。最終兵器だね。


「先生・・・わたくし・・・」

ふわっと、アゼリアがアオイの胸に顔を寄せる。この子、ボディタッチも上手。アゼリアちゃんせんせい一度クレアちゃんでいけない世界みたから。少し耐性ついてるから。


「こうしてお顔を見られて、先生本当に安心しました。よかったわ。元気になられて。」

「せ、んせいー。」

うるうる瞳が揺れている。いや、せんせいお姉様好きだから。


「今日まで辛かったでしょう。少し勇気を出して、ご自分を取り戻しましょうね。」

「・・・せんせい、わたくし、怖い。」

「ー大丈夫。貴女のお友達がついてるわ。」

イヌ・サル・キジ・・・じゃなかった、例のイケメントリオもスタンばってる。

「バルザック君、パトロ君、ガカロ君。頼みますよ、アゼリアさんのそばでアゼリアさんを支えてね。ー何があっても。」

そう、何があっても。


彼女が潔白ならそれでいい。互いに引かず事実が真実とならない場合も、次の王妃のアゼリアに傷が付きかねない。そして、この可能性が最悪だと思っているのだけれど・・・アゼリアの狂言の場合。


ざまあ断罪。


自らの蒔いた種で自らを苦しめる未来がこの子に待っている。

王子の心は彼女から離れるだろう。でも!


私はぐっとアゼリアの手を握りしめる。

「逃げてはいけません。アゼリアさん。貴女が傷ついても誰かが傷ついても、これ以上この出来事を引き延ばすわけにはいかないのです。貴女は」

眼を背けてはいけません。

「あなたは、私の生徒です。私は」

生徒の味方ですー


アゼリアは目を閉じ、しばし動かなかったが、小さくこくんとうなずくと、再びアオイを見つめ直した。うおおお、直視しちゃった!お姉さんの免疫吹っ飛びそうだよ!!

流石は侯爵令嬢。お后候補。

「ありがとうございます。先生。ーみなさんも、どうかよろしくお願いします」

にっこり。


はは、バルザック君焼死してんな。おうパトロ君武者震いだね。ガカロくんは

「ずるうい先生。アゼリアをエスコートするのは、ぼくだからねえ!」

と、私に肘鉄くらわして、アゼリアの手を取り戻した。マイペースやんな、お前。

さあ、参りましょう。

来賓室の扉が開く。

天国の門か それとも

断罪の門か・・・。 


(クレアもアゼリアも、この私が救ってみせましょう!)

ブラック教師、神埼 碧を なめんじゃないわよ!

乙女ゲームのシナリオ、突き破ってやろうじゃないの。

 













次回、王子登場です。

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