ざぶざぶわっしわっし
にんげんと犬は温泉に浸かっていました。
ぽかぽか温まり二人とも気持ちよさそうに目を細めています。
にんげんはその気持ちよさを全身で表しているのか、首まで浸かる湯の中で手足をばたばたしています。
そして大きな声で、「あー、気持ちいいね犬!体の中までぽっぽっぽってするね!」と言いました。
犬はクーと喉を鳴らしていましたがなんとか、「ああ、気持ちいいなと答えます。」
そんな犬ですが、背中までお湯に浸かりません。
そこでにんげんはひとしきり温まると、犬の背中にお湯をばしゃばしゃと、両腕を使って沢山掛けてあげます。
そして犬が「ああ、暖かいな。」というと、にんげんは犬のお湯に浸かっている部分をわっしわっしと掻いて行きます。
その感触がまた気持ちよく、犬は完全にリラックスして伏せの姿勢からお腹を上にした寝転がりの姿勢に移ります。
にんげんはそんな犬の毛皮を洗います。毛が撫でられる感触と温泉の暖かさに犬の機嫌は天にも昇る気持ちです。
スピスピと鼻息を立て始めようとするとにんげんに、「あ、犬!寝ちゃダメ!寝たらお湯に顔が浸かって耳に入ったり、鼻とか口に詰まって息できなくなるよ!」と言われます。
その声に名残惜しくもお湯から上がる犬でしたが、その身体からはお湯がざぁっと流れていきます。
それから、まだお湯の中にいるにんげんにのぼせる前に出るように言ってから、犬は言いました。
「俺にも手があればな。にんげんの髪を洗ってやるんだが。」と。
それに対してにんげんは、「いいよそのくらい。私犬の毛皮洗うのとっても楽しい!ごっしごっしてするの楽しいよ!」と弾んだ声で答えました。
犬は、「そうか、ならいいんだが。」と言って寝そべりました。
こうして後は体を乾かしながらにんげんが上がるのを待つのです。
楽しいお風呂の時間に、他の兄弟がいなければこれがいつもの風景なのです。




