落花
にんげんが頭に花をつけるようになってすぐの事。
犬は言いました、「ちょっと速めに走るからしっかり掴まってろ。」と。
にんげんは素直に犬の背中にべったりと体をくっつけ、毛皮の毛の束を掴んで犬が走りだすのを待ちました。
そして犬が走りだして風がにんげんの頭の上をごうっと通り過ぎるようになると、にんげんの頭から何かが飛んでいきました。
「あー!花ー!」
あっという間に風に煽られてにんげんの頭から外れた花は見えなくなってしまいました。
犬も止まろうとはしたのですが犬は急には止まれません。
「どうしたにんげん。花がどうかしたのか?」と聞く犬に、にんげんはちょっと呆然とした様子で「花、どっか飛んで行っちゃった。」と言いました。
これを聞いて犬はしまったな、と思いました。今日の花はにんげんが散々迷って選び出した花だったからです。
「にんげん。元気出せ。花ならまた選べばいい。」という犬に。にんげんは、「うん…」と答えました。
それから、「あのね犬。花が今度はどっかいっちゃわないようにするにはどうしたらいいかな?」と言いました。
犬は、「そうだな…にんげんは俺が走るときしがみつくだろう?なら走る時は俺の体とにんげんの体の間に挟めばいいんじゃないか?」と答えました。
それを聞いたにんげんは、「そっか、風で花が飛んじゃうなら風が当たらない場所におけばいいんだ!ありがとうね犬。今度から走る時はそうする!」と元気を取り戻した様子で言いました。
それの弾んだ声を聞いて、犬はやれやれ、どうやら一生懸命選んだ花が飛んだことはどうでもよくなったらしいな、と一安心しました。
まぁその後、「お洒落しなきゃ、猫の兄のいうとおりにしないと。ねぇ犬、花畑に寄って。」というにんげんのお願いで花蜜香る花畑に行く事になるのですが。




