毛皮
ある日にんげんは犬に髪を引っ張られました。
というのも用を足そうとして茨のある木陰に入ろうとしたからです。
その場は、「そっちは茨だ。」という犬に「そうなの?ありがとね犬。」と事なきを得たのですが。
問題は後始末をした後に待っていました。
「ねぇ犬、私髪を引っ張られたとき痛かったんだけど、犬に乗る時に私いつも犬の毛皮を思いっきり引っ張ってるよね。痛くなあい?」とにんげんが聞くのです。
犬は思いもよらない事を聞かれたので少し驚き、「痛くないぞ。なぜ、今更そんなことを?」と聞きました。
にんげんは、「だってさっき痛かったもん、首がぐいって、ひっこぬけるかと思った。犬も私が乗るときに身体が引っこ抜けそうになってたんじゃないかと思ったら…うー。」と犬の脚にしがみつきます。
これを聞いて犬は、にんげんを安心させるように、「一度も体が引っこ抜けそうに感じた事なんかないぞ。にんげんは軽いからな。引っ張られているときもしっかり掴まられてるなと感じるだけだ。」と言いました。
それを聞いた人間が、「ほんと?ほんとにほんと?痛くない?」と聞くので、犬は、「じゃあ俺の腹毛にぶら下がって見ろ。にんげんが足を地面から離して全身で引っ張っても俺はなんとも無いぞ。」と答えます。
それを聞いたにんげんは、おっかなびっくり、でもしっかりと犬の腹毛に掴まって思いっきりぶら下がって見ました。
そして、「痛くないー?」と聞きました。
犬は涼しい声で、「なんとも無いな。」と言いました。
これにはにんげんは大喜びして、「犬は強いんだねぇ」といいながら犬のお腹をぽんぽん叩きました。
そんなにんげんに犬は「当然だ。兄だからな。」と言いました。
そうして二人はまた仲良く、にんげんを犬が乗せて歩いていったのでした。
ちなみにこの後会った猫にもにんげんが、「兄だから大丈夫だよね?」と毛皮を引っ張って毛並みを乱し、「何をする!折角の毛並みが乱れてしまったじゃあないか。にんげん、レディーなら自分の毛並みは勿論だが他人の毛並みも気にしなければいけないよ。」と言われてまた面倒な事になりましたが、それは別の話。




