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きのこ

 今日も森の中、にんげんは犬の横を歩いていました。

そして森の中でもじめじめした所にさしかかったところ、そこには色々なきのこが生えていました。

「あのさ、犬。」と声を掛けるにんげん。

犬は、「駄目だぞ。」と言います。

 一体何のことでしょう?するとにんげんは極彩色のきのこの傍によってぽふぽふと胞子が落ちる様にたたきます。

すると見る見る増えるきのこ。サイズも大きいものばかりです。

「そうやって遊ぶ分には構わんが…いや、本当はそうやって遊ぶのもな、危ないんだ。きのこは粉に毒がある奴も在るって話だしな。きのこそのものとなったらなおさらだ。」と犬がいいます。

 それでもまだ残念そうにきのこを見るにんげんに、犬は言います。

「それにきのこなんて良いもんじゃない。根元まで食べると土の味だし、広がった部分だけだと味はないし。美味いもんじゃない。それに小さい頃食べた事あるだろ。その時は味なんか解らずぶっ倒れたじゃないか。」と。

 倒れた、と言う部分はよく覚えていませんが、そこまでいわれればにんげんもきのこの傍を離れざるをえません。

でも諦めきれないのか、「きのこを食べる兄弟は居ないの?」とにんげんは聞きますが、犬は、「んん、そうだな、巨豚熊の兄さんはきのこを食べるらしいが…あの兄さんは匂いできのこに毒があるかどうかわかるし、毒も平気な身体だ。しかも毒のあるきのこの方が美味いとか言う。にんげんだと腹を壊しかねないからな。駄目だぞ。」といいます。

 完璧な禁止ににんげんは、「そっかぁ、だめかぁ。」とがっくりした声を出します。

その落ち込んだ声に心が痛まないでもない犬でしたが、ここはしっかり気を強く持たないとな、と心を引き締めました。

にんげんが小さい頃にきのこを食べて倒れたことがあるのです。

どんなにせがまれてもあんな背筋の凍る思いを二度も味わうのは避けたいところなのです。

その後は振り返り振り返り歩くにんげんを、「転ぶぞ。」と鼻先でつつきながら歩く犬の姿がありました。

ちょっと冒険したいにんげんと、冒険なんてとんでもないと過保護な犬のお話でした。

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