巨人になったにんげん
にんげんが目を覚ますと近くにでっぱりと水溜りと草むらがありました。
あれ?寝た時にこんなのあったかな、と思いましたがそれ以上に大変な事にきづきました。
犬が居ません。
あれ?早がけにでも行ったのかな、と思いましたが足跡もありません。
にんげんもここに来て不安になってきました。
昨日は確かに犬と一緒に湖の近くで寝たはずなのに、犬も居ないし湖も無い。
にんげんは大声を上げて犬を探し始めました。
でもにんげんの声にいつも答えてくれる犬は何も答えてくれません。
姿も見せません。
とうとうにんげんはなきだしてしまいました。
そして涙も声も枯れ果てた頃、水溜りの横に細長い何かが立っているのに気づきよく見てみると、それは小さくなったお母さんでした。
驚いたにんげんはお母さんに「どういうことなの!?犬は?湖は?お母さんはどうしたの!?」と言いました。
それにたいしてお母さんはにんげんがかろうじて聞き取れる声で、「にんげん、貴女は一晩で私よりもずっとずっと大きくなってしまいました。太陽もつかめるほどに大きく。犬は…貴女に潰されてしまいました」と言いました。
にんげんは心臓が止まった気がしました。
大きくなって、犬を、潰してしまった、その言葉ににんげんはくらくらと世界が揺れたかと思うとばたんと倒れこんでしまいました。
そして…再び目を開けるとにんげんの目の前に犬の顔。
「うなされていたぞ。大丈夫か。」そういってにんげんの頬を何度も舐める犬に、にんげんはわんわん泣きながら抱きつきました。
「よかった、犬潰れてなくてよかった!私大きくならなくていい、犬よりちいさいままがいい!」と言った後も犬にしがみついて泣き続けます。
犬は困り果てて、「解った解った。お前はそのままで居ろ。」と言いました。
その後、にんげんは犬より自分が大きくなる夢を楽しめなくなりました。
だって、夢でもまた犬を潰してしまうのは嫌だから。
その代わり、にんげんは犬と普通に一緒に居る夢を好むようになり、「あれ?犬とさっき散歩に行かなかったっけ?」と寝ぼけ眼で言って、犬に、「行ってない。お前昼寝をしていただろう。夢だよ。」と。
少し夢と現実の境目が曖昧になってしまいましたが。




