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トイレの事

副題の通りちょっとばっちい話かもしれません。

そういうのはちょっと、と言う方はこの話を避けた方がいいかもしれません。

 にんげんは排泄します。だって人間ですから。

ではどうするかと言うと、排泄したくなったら犬に言います。

そして手近な所に穴を掘ってもらい、そこにします。

後は手近に生えている木などから大きな葉っぱを取ってきて後始末をしたら、全部埋めておしまいです。

 後始末の拭くところはいちいち用足しの度に小川や湖の所に行くのが間に合わないことがあるので、魚の姉伝いにお母さんに教えてもらったのですが、後始末した葉っぱも埋めるのは犬の独断です。

なぜかと言うと、ある日犬が言いました、「森のあちこちからにんげんの匂いがする。」と。

「どういうこと?私はここにいるよ、増えないよ?」とにんげんが聞くと、犬は、「お前が用足しする度に増えている。お前の排泄とかいうのは匂いを付ける効果があるんじゃないか?」といいました。

 にんげんはうーん、と悩み顔でよく解っていない様子でしたが、犬の鼻は確かです。

そして犬はこういいました、「あんまり多い数の強くて同じ匂いが色んな所からすると頭の中が変な感じになる。」と。

 怪物達にはお気に入りの場所という概念はあっても、縄張りと言う概念はありません。

しいていうならお母さんの湖とそれを囲む森と山全てが怪物達共通の縄張りですが、そこは共有の場所でもあるので匂いをつけて所有権を主張する、などという事も無いのです。

そしてにんげんと大きく違うのは彼らは排泄しないのです。

どのような体のつくりになっているのかはわかりませんが、とにかく出しません。

だから犬にとってあちこちから同じ匂いが強くする、などと言うのは同じ植物の群生地が離れて存在する場合以外ではありえなかったのです。

それがにんげんの排泄で変わりました、だから犬の頭は混乱しているのです。

 そんな事解らないにんげんは犬がおかしくなるのは嫌だからうんうんと考えました。

そして犬に「匂いが消えるにはどうしたら消える?」と聞いたならば、「水に浸かった時、雨が降ったとき、台風という強い強い風が森の中を吹き浚っていく時には匂いが消える。」と答えます。

にんげんは悩みました。

 水に浸かる、ある意味簡単ですが急な排泄感には間に合わない場合があります。

それににんげんはあまりよくない頭で、ずっと同じ場所に排泄していたら匂いが溜まって川全体から匂いがするようになるのではないかと考えたのです。

 雨が降ったら、これは完全に天気任せの運任せです、問題の解決になっているとは思えません。

だからこれもだめです。

風も同じような理由でだめ、にんげんに風をふかす事など出来ません。

山に住んでいる翼狼の姉より大きな翼を持つ兄弟がいればそんな事も可能かもしれませんが、その兄弟にまでずっとにんげんについていてもらうわけにはいきません。

まぁ、犬は好きでにんげんのそばにいるので、そんな兄弟がにんげんの事を気に入ればずっと着いてきてくれるかもしれませんが。

 とにもかくにも八方塞です。そしてこんな時こそ頼れるお母さん。

そんなわけで湖に行って二人でお母さんを呼び出して、事情を説明するとお母さんはくすりと笑って髪を一本引き抜くと、犬に匂いを嗅がせました。

 そしてそれが強い匂いを発している事を確認すると、おもむろに指一本で湖周辺の柔らかい土に深い穴を掘ると髪を埋めてしまいました。

そして犬に、「今埋めた髪の毛の匂いはわかる?」と聞くと、犬は解らないと答えました。

 そうしてお母さんが、「今のようににんげんが排泄する時にも穴を掘ってやって、済んだら埋めてやれば自然の匂いににんげんの匂いは紛れて消えるでしょう。」と言うとにんげんは喜びました。

 「やった、これで犬はおかしくならなくてすむんだ!」といってはしゃぎまわって犬の首に抱きつこうとぴょんぴょん跳ねます。

当然、犬が頭を下げてあげなければとどかないのですが、犬はやれやれ、とにんげんの喜びを受け止めるために首を下げました。

 こうしてにんげんの匂い拡散事件は解決しました。

それからしばらく、犬がにんげんを連れて今まで用足しをして匂いが残っている場所を掘って埋めるという作業をしてこの話は幕となります。


 にんげんは犬に頼りっぱなしですね。

でも良いんです。犬はにんげんに頼られるのが嬉しいのですから。


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