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小さい頃

 ある日にんげんは犬と魚の姉、二人と一緒に昔話をしていました

それはにんげんが赤ちゃんだった頃の話です。

 魚の姉が言うには、にんげんの面倒を見るようになってから太陽と月が三百回ほど追いかけっこをする間は魚の姉の胸で大人しくしていたそうです。

ですがそれを過ぎてにんげんがはいはいをするようになると、魚の姉の元を離れてじっと湖の傍でにんげんを見ていた犬によちよちと近寄っては毛皮を口に入れたり、引っ張ったり、頭でぐりぐり犬を押したり元気に動きまわったという事です。

 そして、その時期についつい犬はにんげんをちょん、と突いたりしたそうです。

するとにんげんはころりと転がってわんわん泣くのだとか。

それを泣き止むまであやすのは魚の姉の仕事で、よしよしと胸に抱いてあやしたそうです。

 それを聞いたにんげんは魚の姉に感謝しながら、犬に、「犬。私が泣くの分かっててつっついたってことは私のこと嫌いだったの?」と聞きました。

それもなんだか悲しそうに。

 犬はゆっくり頭を振ると、「そうじゃない。お前から触られるだけじゃ物足りなくて俺から触ってみたかったんだ。そしたらお前、ふにゃっとしてくにゃっとなって……それが癖になったのかな。何度も触りたくなったんだ。まぁそのせいで何度も魚の姉には怒られたが。」と告げました。

 そういわれるとにんげんはあっと言う今に上機嫌、「なんだ。じゃあ犬は私がちっちゃい頃から私のこと好きなんだ。」と笑います。

 犬はそ知らぬ顔で、「そうだな。何せお前を兄弟にしてくれとお母さんに頼んだのもこの俺だ。好きじゃない奴を兄弟になんかしないさ。」と言いました。

 本当を言うと、好きになる前にかわいそうになったから兄弟にしてやってくれと言ったのですが、そんなことはにんげんに微塵も感じさせません。

魚の姉もその意図を察してかただにこにこ微笑んでいます。

 一方にんげんは犬の答えに有頂天になってふんふんと鼻歌を歌いだしました。

そんな上機嫌なにんげんを魚の姉はしっかり抱きしめ、一緒に伏せる犬の腹に倒れこみました。

こうして湖の畔の楽しい一日は過ぎていくのでした。

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