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花の意味

 ある日にんげんが犬と花畑で遊んでいると、ふとにんげんは思い立ちました。

そういえば花って食べた事無いな、と。

 そして聞いてみました、「ねぇ犬。花って食べると美味しい?」と。

その問いに犬は、「俺が花を食べると匂いで口の中一杯になって味なんかわからなくなる。味を確かめたいなら自分で試すんだな。」と答えました。

 そういわれると試したくなるものです。

にんげんは手近に咲いていた小さな黄色の花びらの花を取ると、一口で食べました。

そしてしばらく噛んでから、「んー、生臭い……でもちょっと甘いかも……?でもこれなら果物食べたほうがいいね。やっぱり花は飾りがいいよ。」といってごくりと花を飲み込みました。

 犬はそれを見て、「知ってるか人間、お母さんの話だと果物っていうのは他の生き物に実を食べてもらって種を運んでもらう為の工夫なんだそうだ。ということは花がそんな美味しくないというのは食べられるより他にしてほしいことがあるからなのかもしれないな。」と言いました。

 にんげんが、「他にして欲しい事って何だろう。」と考え始めると犬は、「俺には良く分からんが花は見た目と匂いが良いらしいな。俺には甘ったる過ぎる匂いだが……匂いが良いのは離れた所に居る動物も引き寄せる為だろう。そして見た目が良い、これは花っていうのは見てもらう為に咲いてるんじゃないのか?」と言いました。

 にんげんは、「うーん、そういわれると猫の兄にも花で髪を飾るように言われたし、花は見る為の物なのかもね。そっかぁ、見られるだけでいいのかぁ。」と感心しきり。

周りに咲く花を見回してうんうん、と頷きました。

 そしてにんげんは、「じゃあ犬はふかふかで優しいのが良い所だから、ええと、うーんと、優しくふかふかしてもらう為の生き物?」と言いました。

犬はくっと笑って、「俺はお前以外にはそんな優しくないぞ。昔お母さんに言われた分には俺は森の中の動物を適当に食って数を調節する為の生き物なんだとさ。正直子の森にそんな調節、いらないと思うがな。」と返しました。

 にんげんは、「ふーん。なんだか犬は凄いんだねぇ。じゃあ私はどんな生き物かな?」と犬に聞きました。

犬は、「足も遅い、力もそんなにない、声……は楽しそうな声なんかを出されてるとこっちも楽しくなるがそんなに大きくない。ふむ、声がそんなに通らないっていうのが引っかかるが、愛される為の生き物じゃないか。」と答えました。

 本当のところを言うと犬にはとろくさくて、弱くて、守られてばかりのにんげんがなんのための生き物なのかなんて分かりませんでした。

でもそこは巧く誤魔化したのです。

だって犬は気遣いのできる雄ですから。

 にんげんはそういわれると照れて、「愛される為の生き物かぁ、犬は私のこと愛してくれてる?」と言いました。

それに対する犬の答えは、にんげんのほっぺたへの一舐めでしたとさ。

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