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33話 食べ歩き

 放課後、互いに部活のない夏野 空(なつの そら)春木 桜(はるき さくら)は並んで学校を後に帰宅していた。

 夏野は文化祭での(あかね)先輩の事を歩きながら話していた。そして、(にぶ)葵 月夜(あおい つきよ)部長の事も。

 話しを聞いた春木は、あはははと笑って言った。

「あれだねー空は。前までは憧れの対象だったのに、いつのまにか本気になったヤツだ。今は腹立たしいけど、そのうち泣き出すよきっと」

「ち、違うし! 泣かないし!」

「はい、はい。わたしもレギュラー取れないしなー。なんであんなに部員が多いわけ?」

「そりゃ吹奏楽部は全国に行ってる唯一の部活だし、人気があるからでしょ。サッカーとか野球とかメチャ弱いし」

「でも、全国大会に出ただけで入賞経験ないみたいだし。はぁ、そんなんでも層が厚いしなぁー。めんどー」

 だんだん春木のグチになってきたのを夏野が話題を変える。

「だったらウチの部に来なよー。歓迎するよ!」

「ノーセンキュー。あんたと部長がイチャイチャしてるのなんて見たくないし」

「してないよー!」

 プンスカ怒った夏野に、あはははと春木は笑う。幼なじみの2人は互いの性格をよく知っていた。


 バス通りを渡ったとき、ふと春木は思い出した。

「そういえば、高校に入ってから買い食いってしてないよね?」

「んー。そうだねぇー」

 夏野も同意する。

「コンビニが家に近いから、買ったとしても家で食べちゃうもんね。小学生の頃はラムネとかよく買ってたね」

「うん」

「あの時は家まで遠かった気がするけど、今は近くに感じるもんね」

「そうだねー。マ〇クに寄ってく?」

「買い食いにならないじゃん!」

 夏野が提案すると憤慨した春木が拒否する。

「じゃあーコンビニで何か買って、その辺をプラプラ歩く?」

「つまんないよー」

 カバンを両手に持ち、振り子のように振って春木は言う。

 言い出したらきかないからなー。夏野は別の案を考えていた。


 2人はトコトコと幅広い歩道を進んでいく。

 春木は不意に顔を反対側へ向けると声を上げた。

「あ! 部長だ!」

「ウソ!? どこ!?」

 驚いた夏野がすごい勢いで春木の視線を追って相手を探しだす。だが、反対側の歩道には誰一人いなかった。

 あっさりと引っかかる夏野に春木は笑う。

「あははは! うそだよー」

「はぁああああ!?」

 怒った夏野が持っているカバンで春木の尻を叩いた!

「痛いって! もう! すっごく本気じゃん?」

「ち、違うから! 騙された仕返しだし!」

 痛がりながらも笑う春木にふくれた夏野が反論した。


「そういえば桜と最中ちゃんが行った、喫茶店は?」

 思い出したように夏野が聞いてくる。

「部長目当てでしょ? 今日はいないんじゃない?」

 興味なさそうに春木が答える。

 むーっとうなった夏野が日の沈みかけた近くの山を見た。あと1時間もあれば夜になりそう、冬になればすぐに暗くなりそうだ。

 気がつくと駅前に来ていた。

 家まではもう少しだ。

 ガッカリしている春木を見て、夏野が提案する。

「久しぶりに今日、泊まれば? うちに」

「んー。そうしょうかなー」

 悩んでいる振りをしながら春木が夏野にウインクする。

 2人は笑いながらコンビニへと向かって行った。


 お菓子を買い込んだ2人は春木の家へ行き、親に説明して夏野の家に向かった。

 近くにあるのですぐに着く。

 昔はよく互いの家に泊まっていたけど、最近は部活もあって疎遠になっていた。

 家に上がると、久しぶりに会う夏野の両親に挨拶をして部屋へと入って行く。

 あまり昔と変わっていない様子に春木は嬉しくなった。

 ご飯を囲んでお風呂に入った後はパジャマに着替え、買ってきたお菓子をポリポリ食べながら学校や部活での話で盛り上がる。

 ふと夏野は月夜部長の家に泊まったときの事を思い出していた。

 あのときもっと調べとけばよかった……今更の後悔が頭をよぎった。

 まあ、適当な理由をつけて強引にいけば泊まれるかな? 後で計画しておこうと夏野はニヤリとしていた。


 夜も更けてお開きにした2人は布団を敷いた。

 そして寝ている時に、春木はボソリと(つぶや)いた。

「勉強合宿だけは勘弁して……」

 ブッと吹き出した夏野は、自分の考えがいつバレてたのかと春木に顔を向ける。

 すまし顔で春木は寝ているふりをしていた。

 ああ、やっぱり幼馴染だなぁ…。

 ちょっと強引で自分勝手だけど、いつも自分の味方でいてくれる春木に夏野は感謝していた。

 桜が困ったときは、いつでも手を貸すし、助けるからね──

 見慣れた横顔を眺めながら夏野はそう思った。


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